既にご存知の方も多いと思いますが、今年1月末よりAdWordsでは広告グループ単位でのインプレッションシェア のデータが見られるようになりました。
広告グループ>表示項目>競合指標>にて管理画面に表示させ、確認することができます。
本データを有効に活用するため、まずは従来からあったキャンペーン単位でのインプレッションシェアについておさらいしたいと思います。
(なお、キャンペーン単位でのインプレッションシェアについてはヤフーにおいても2011年11月より新システムであるスポンサードサーチVer.3に移行されたことに伴い、確認することができます。)
そもそもインプレッションシェアというのは、広告が掲載され得る全機会に対して実際のインプレッション数が占める割合であり、文字通りインプレッションのシェアを表します。(キャンペーン>表示項目>競合指標>より見ることができます。)
すなわち、上記の掲載結果の例で言うと、キャンペーンAにおいてはインプレッションシェアが19.24%となっていることから、このキャンペーンでは、広告配信できる全ての機会のうち約2割に、広告が掲載出来ているということになります。
言い換えれば残りの約8割の掲載機会は”何かしらの要因”によって、広告が表示されていないということになりますが、この要因特定に参考になるのがその隣にあるインプレッションシェア損失率(予算)、インプレッションシェア(広告ランク)という指標です。
これらを見ると、キャンペーンAではインプレッションシェア損失率(予算)が11.61%、インプレッションシェア損失率(広告ランク)が69.15%となっています。
つまり、広告が掲載出来ていない8割のうち、約1割はキャンペーンの予算制限によって広告が配信されず、7割は広告ランクが低いために広告が配信されていないということがわかります。
従って、仮にこのキャンペーンAのCV(コンバージョン)率が好調である場合には、キャンペーンの日額上限予算を引き上げることで1割の機会損失が解消されることになり、クリック数、CV数ともに増加することが見込まれると言えます。
一方、インプレッションシェア損失率(広告ランク)についてですが、広告ランクは主に、キーワードの入札単価と品質スコアによって決まり、これらの値が低い場合、広告ランク が低いと見なされ、広告が上位に掲載されません。
つまり、広告ランクが低すぎる場合、検索結果の1ページ目に広告が表示されない等といったことが生じ、これが広告ランク起因によるインプレッションの機会損失となります。逆に言えば、キーワードの入札単価を引き上げる(長期的には、リンク先ページの改善等によって品質スコア向上を図る)ことで広告ランクが向上し、機会損失を解消することができるということになります。
さて、上記の例で、現在好調なキャンペーンAの日額上限予算を引き上げたことによりインプレッションシェアを2割近くまで上昇させた上で、さらに広告の露出を広げたい場合、インプレッションシェア損失率(広告ランク)を解消するために具体的にどのキーワードの入札単価の引き上げを行えば良いのでしょうか。
ここで便利な指標として今回の新たにアドワーズに加わった広告グループのインプレッションシェアを活用することができます。
実際にキャンペーンAにおける広告グループレベルのインプレッションシェアを見てみると、最もコンバージョン率の高い広告グループにおいては既に、8割以上のインプレッションシェアを達成していることが分かります。
つまりこの広告グループAにおいては、入札価格を引き上げたところで広告の露出はそれほど大きく変わらないということになり、好調な広告グループにおいてはキャンペーンレベルでのインプレッションシェア(2割)にみるほど機会損失は生じていないといえます。
一方で、2、3番目にCV率が高い広告グループB、Cにおいては、インプレッションシェアがそれぞれ48.51%、27.96%となっていることから、入札価格を引き上げる広告グループとして候補に挙がるといえます。
このように広告グループレベルのインプレッションシェアを活用することで、よりデータに基づいた最適化が可能になるといえます。
(by Tatsuhiko Kuwahara, Consultant, Le Grand)