米国の調査会社comScoreの発表によると、携帯電話ネットワークを利用した、いわゆる「モバイル通信」経由でインターネットに接続するPCの台数は、ここ1年で、85万台から216万台に急増したそうです。
日本でも、イー・モバイルの加入者数が、昨年3月のサービス開始から9ヶ月で20万人を突破するなど、モバイル通信ネットワークの利用者は急速に拡大していますので、これ自体は、さほど驚くべきニュースではありませんが、comScoreのレポートで面白いのは、モバイル通信の利用率と年収の相関関係についても調査をしている点です。
ご覧の通り、モバイル通信の全利用者の36%が年収1,100万円以上(1ドル=110円で換算)の高所得層に集中しており、825万円以上の利用者が全体の79%を占めるという結果になっています。
これを見て、昨年、ネット上でも話題になった『パソコン見放す20代「下流」携帯族』という記事のことをふと思い出しました。これは、日本のネットレイティングスが行ったWeb利用者の年齢構成比に関する調査で、2001年まで20%を超えていた20歳代の構成比が、2006年には約12%に半減したという結果を発表したのを受け、「高額のPCが持てず、インターネット利用を安価な携帯電話で済ませてしまう下流社会がネット上にも出現した。」と結論づけたことに対して、様々な議論が巻き起こりました。
果たして、モバイル通信でも同じような「下流社会」が出現しているのか、手許にある資料をいくつか調べてみましたが、残念ながら、年収との相関関係に関するデータは見つかりませんでした。ただ、インプレスが発行している「インターネット白書2007」に「ワイヤレスインターネット全体動向」という調査結果が掲載されており、これによると、日本のワイヤレスインターネットユーザー(公衆無線LANも含む)のうち、22.6%は費用を払っておらず、全ユーザーの37%は、1,000円未満の費用で利用しているそうです。
もっとも、これは、モバイル通信ネットワークに「下流社会」が出現している訳ではなく、世界一安いといわれる我が国のモバイル通信環境の恩恵を受けているとみるべきなのだと思います。
ところで、「白書」には更に気になる調査結果が載っていました。
「外出先・移動先でインターネットを利用することはない」87.2%
最近出張でよく新幹線を利用しますが、ビール片手にスポーツ新聞で情報収集に励むニッポンの出張族の姿を思い出し、確かにパソコンを使わなければ、モバイル通信も要らないか、と妙に納得がいった次第です。。。
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