これも、今回のSESで語られているもう一つの共通テーマといえそうです。
費用対効果が明確である、比較的低いコストでコンバージョンが獲得できるといったメリットから、欧米では、ここ数年でSEMがネット広告の中で、最大のシェアを占めるようになりました。特に、現在のような景気後退局面では、企業のCFO(最高財務責任者)がマーケティング部門に対して、費用対効果が客観的に測定・検証できないTVや紙媒体への広告出稿を控えるよう指示を出す、といったところまで来ているようです。
こうした最近の傾向を踏まえ、今年のSESではオフライン広告やディスプレイ広告の「再評価」とも言える動きが見られます。例えば、TV広告を行うと、それに連動して検索も増えることはデータでも検証されている訳ですが、その結果、SEMからのコンバージョン数が増えた場合、それをSEMだけの「手柄」とするのは、公平さに欠けるのではないか、といった議論が、色々なセッションで行われています。
これによって数値による費用対効果の測定・検証が不可欠であるという大前提が変わることはありませんが、オフライン広告やディスプレイ広告に対しても、正当かつ客観的な評価を与えることができるよう、新たな評価システムやプロセスを工夫すべき時期に来ている、ということのようです。
言うまでもありませんが、費用対効果には目をつむり、簡単に予算が「消化」できるからという理由で、いまだにSEMよりもバナー広告が売れ続けている我が国の状況とは似て非なるものですので、そこのところはお間違えなきよう。