ご存じとは思いますが、リスティング広告の「掲載場所」は一定ではありません。検索結果の中央上部に上位4件の広告が掲載され、5位以下の広告が右側に表示されることもあれば、中央上部には1件も広告が表示されず、右側だけに表示されることもあります。
このため、仮に掲載順位が1位であっても、検索結果の中央上部に1位表示された場合と、検索結果の右側の一番上に表示された場合では、広告が認知・クリックされる確率がかなり変わってくると思われます。
そこで、今般、アドワーズの管理画面では掲載場所による掲載結果の違いを確認できる機能が用意されました。
上図の通り、「分割」というプルダウンメニューから、「上部または側部」を選択すると、グーグル検索および外部の検索パートナーサイトにおいて、検索結果の「上部」と「側部」(=検索パートナーサイトにおいては「上部以外の場所」を意味します)に掲載された場合の掲載結果を、別々に確認出来るようになりました。なお、これは、キャンペーン単位だけでなく、特定の広告グループやキーワードについても、「上部」と「側部」それぞれの掲載結果を確認・比較することができます。
ケース①は、グーグル検索において、ある「キャンペーン」の掲載結果を「上部と側部」に分けて表示させたものですが、「上部」に掲載された場合の平均掲載順位が1.8位であるのに対し、「側部」に掲載された場合の平均掲載順位は3.9位となっています。このデータを見る時に注意して欲しいのは、ここで表示されているデータは「必ずしも同じキーワードが上部と側部に掲載された場合の比較ではない」という点です。
上部に掲載された方がクリック率が高いという結果は、当たり前と思われるかもしれませんが、たとえば社名やブランド名などは競争が少ないために、元々「上部」に表示されやすく、さらに検索ユーザーの意図もはっきりしているのでクリックもされやすいと考えられます。一方、「DVDレコーダー」「デニム」といった一般名称は競争相手が多く、掲載順位が低くなりがちのため、結果として「側部」に掲載されることは多くなります。また、検索ユーザーの意図も明確でない分、そうしたキーワードは、たとえ上位に掲載されても、社名やブランド名の検索に比べて、クリック率が低くなる可能性は高いと思われます。
つまり、「上部と側部」におけるクリック率の違いには、相関関係はあるが、因果関係があるとは必ずしも言えないということになります。
同様に、コンバージョン率や獲得コストなどの費用対効果についても、ブランド名の方が良好であるケースが高いので、そうした要素を無視して「上部に掲載された方がコンバージョン率は高くなる」という因果関係で考えてしまうことのないよう、注意が必要です。
次にケース②を見てみましょう。
ケース①に比べると、「上部と側部」において掲載順位には、余り大きな差はありません。実は、ケース②は、ある「キーワード」の掲載結果を比較したものなので、掲載順位、つまり競合している他の広告主との間での相対的な順位は、短期的にはそれほど大きな変動が無いためです。この場合、分析の対象となっているキーワードは一つだけなので、少なくともこのキーワードに関しては、掲載順位が変わらなくとも、掲載場所が「上部」→「側部」になると、クリック率は大幅に低下するということが言えます。
なお、今年の4月にInside Adwordsに掲載されたブログ記事(英文)では、掲載順位(Auction Position)と、掲載場所(Page Position)の考え方について詳しく解説をしていますが、このなかで、もし掲載順位が上位でも、掲載場所が「側部」になっている場合には、入札価格を引き上げることで「上部」に掲載される可能性が高くなるとも書かれています。
従って、コンバージョン貢献の高いキーワードについて、掲載順位は高いのだが、この機能を使って確認した結果、「側部」に表示されているケースが多いことが判明した場合には、入札価格を引き上げ、できるだけ「上部」に掲載させることでクリック率を高め、更に多くのコンバージョンを獲得する、といった施策も可能になります。
(by Rod Hiroto Izumi, Founder & Co-CEO, Le Grand)