今回の「ルグランルーム」・『Convince & Convert ~買いたくなるキモチにさせるしくみとシカケ~』事前対談は、以前にも「Digital Marketing College 」にて講師としてご協力をいただいている、コミュニケーション・ラボの佐藤達郎さんです。
『教えて!カンヌ国際広告祭』の著者である佐藤達郎さんは今回、ルグランルームでは、「これからのソーシャル・クリエイティビティ ~伝えるから繋げるへ~」と題したセッションにてスピーカーとして登場していただきます。
では、早速対談の模様をお楽しみください。
________________________________________________________
泉浩人(以下、泉):達郎さんには、7月に弊社の「Digital Marketing College」でゲスト講師として「ソーシャルメディア時代に求められる広告」というテーマでお話をしていただきました。そしてまた今回、アドテックのルグランルームでお話をして頂くことになりまして、ありがとうございます。
今回のアドテックでは、テーマは、「ソーシャル・クリエイティビティ」になっていますね。
佐藤達郎(以下、佐藤):ソーシャルメディアの時代になって、広告のクリエイティビティが変わってきているという話をしようと思っています。今までは、どんでん返しがあってとか何がどうなってみたいなストーリー性や、美しい映像が出てくるようなアート性が大事だったのが、伝播性が大事になってきています。人から人へ伝わるってことですね。僕は、この「ソーシャル・クリエイティビティ」という言葉を、2010年10月に広告学会で初めて使ったんですけれど、たまたまその同じ10月にDDBというグローバル・エージェンシーが”Introducing Social Creativity”という文書を出していて、彼らがその表紙に書いていたのは、今まで広告コミュニケーションというのは、ブランドと消費者を繋いでいたけれど、それに加えて、これからは人々と人々を繋がなければならない、ということ。つまり、その商品の良さを、僕が広告を作る人としてお二人にどう伝えるかということを考えるだけじゃなくて、二人がそれについて語るようなことを考えなければいけないってことなんですよ。それが、これからの広告がやっていかないといけないことなんですよね。
山辺仁美(以下、山辺):その話は、是非詳しく伺いたいですね。達郎さんのブログをいつも拝見しているんですが、面白い話ばっかりで、このお話も聞きたい、あのお話も聞きたいって思っちゃうんです。例えば、ブランドウィルのお話も面白いですよね。最近は特にソーシャルで声をリスニングすることがフォーカスされすぎているように感じますが、その企業のウィルって大事だと思います。
佐藤:ブランドウィルの話は、やはり広告主の方々、特に商品開発の方々は興味を持って下さいます。ジョブズが亡くなって、ネットでいろんな話が出ていますが、ジョブズが「消費者に自分の欲しい物を聞いたってわかるわけない」って言っていて、それはその通りだと思いますね。
あと、前回、泉さんとお話しした時には、クリエイティブジャンプって言葉に反応されていましたよね。
この言葉は外資のクリエイターが好きで、広告代理店のクリエイターからすれば当然の話で、論理で詰めて作れるならクリエイターはいらないじゃないかという話なんです。ベースは論理で作るけど、どこかでジャンプしないといけないんですよ。
山辺:そういう論理と感覚の話は、デジタルマーケティングでも一緒で、データは大事なんだけど、データは全てじゃないっていうことも私たちはお客様にお話ししています。
佐藤:そうそう。最近考えていることがあるんですが、総務省の調査などで、10年前と比べて情報量が400倍になっているという話があって、大体結論は、情報過多で情報がありすぎるのが嫌になっているということに落ち着くんです。でも、それは、ネットがない時の人が、ネットが出来て感じていることで、二十歳の子たちはそうは思っていないんじゃないかと思うんです。
実際に手を挙げさせて聞いてみると、6:4から7:3で、情報が多くても自分で取捨選択するので情報過多とは思わないと言うんですよ。実際、うちの子供たちも4歳くらいからYoutubeでいろんなものを検索していますしね。それが普通な環境で育てば、今の情報量が普通なんですよね。
泉:弊社アドバイザーでもあるITジャーナリストの佐々木俊尚さんがどこかで書いていたんですが、情報が過多で大変だって言っている人たちの特徴は、スルー出来ないことなんだそうです。全てを読もうとしちゃうし、ちょっとでも自分にネガティブな情報があると、そこにズーンと入っちゃうような人は大変に感じちゃうんですよね。デジタルネイティブな人は、最初から全部読もうなんて思わない。
佐藤:誰かがTwitterで書いていましたけど、テクノロジーの発展って言う人は、それがない時代を知っている人なんだ、と。だって、電話で声が聞こえてすごいとか、テレビが映ってすごいとか思わないですからね。
山辺:そう考えると、私たちはものすごい変化の時代を見てきているということですね。
佐藤:僕は、メディアの歴史をまとめて学生たちに教えているんですが、ずっとそうなんですよね。電話もそうだし、新聞もそう。印刷という技術が生まれる前は手書きだった。新聞が出始めた頃は、ヨーロッパでも文盲の人が多かったから、読み聞かせの場所に、お金を払ってもニュースを聞きたいと言って集まってくる人たちがいた。また、メディア論的に言うと、革命があったり、新大陸の発見があったりして、人々がニュースを聞きたかったんですよね。
山辺:なるほど。今は、ラジオを聞く若い人たちはいるんでしょうか。
佐藤:学生たちに聞いてみると、100人に10人くらいはラジオ大好きな子たちもいるんですよ。メディア論には、もちろん電話も出てくるんですが、昔は、固定電話しかなくて、電話も大変でしたよね。学生の頃は公衆電話に並んだりして。(笑)それが、親機と子機に分かれるようになって、携帯電話が出来て、スマホになって、データがクラウドで共有まで出来ちゃう。Wi-Fiなんてすごい技術だよね。
泉:今は、ワイヤレスで充電まで出来ちゃうみたいですよ。
佐藤:そうなんですか!?びっくりですね。
山辺:本当に達郎さんとお話ししていると話題が尽きませんが、アドテックではこんなにいろいろお話し頂いて、お時間足りるでしょうか。
佐藤:いやいや。ソーシャル・クリエイティビティの話は必ずしますけど、それ以外は、まだ何を話すか決めていません。(笑)
山辺:ところで、達郎さんは、近々、また新しい本を出されたり、大学でもお忙しいところなんですよね。
佐藤:そうそう、本は今週出ます。「自分を広告する技術」というタイトルで、自分ブランドというか自分マーケティングを、広告のテクニックを使ってやろうという本です。若い人が参考にして、就職活動や仕事で活用してくれると良いと思うんですよ。
大学の方は、今、多摩美術大学の他、非常勤で青山学院大学、東京女学館大学で教えています。その他にも最近バンド始めちゃいましてね。
泉・山辺:え~っ!すごいですね。
佐藤:なんだかね、見に行ったバンドが、ロックバンドなんですけど、オリジナル曲やっていて、良いなぁと思っていたら、ベースがいないってことでやることになっちゃって。物置から腐ってるベースを引っ張りだしてきましたよ。でも、もう使えなくて、新しいのを買っちゃいました。
最近は、シンガー・ソング・プロフェッサーを名乗っています。(笑)
山辺:すごいですね。さすがコピーライター。そういう名前を付けるのお上手ですね。
アドテックでのワークショップでも、是非、歌ってください!持ち時間は自由にお使い頂いて構いませんので。(笑)
佐藤:僕、2006年くらいかな、アドフェストで歌ったことありますよ。セミナーで、テーマを考えていた時に思いついた曲があって、それをやっちゃえと。セミナーの最初にギターを持って出て行って、弾きながら歌ってね。良い掴みになりましたよ。
それでね、この間、韓国のエージェンシーの人と会った時に、「おまえはADKにいたのか?タイで歌ってなかったか?」って聞かれたんです。5年も経ってるのに驚きました。(笑)
山辺:それは、またすごいですね!こうやってお話を伺っていても、次から次へといろいろなお話が出てくるのが達郎さんの魅力です。
当日、一体どんなことになってしまうんでしょうか!ものすごく楽しみです!
________________________________________________________
「アドテック東京」 まで残すところ、あと1週間を切りました。ご存知の方も多いと思いますが、「アドテック東京」は、最先端企業によるセミナーやワークショップが開催さ れ、変化し続けるマーケティングに関する最新情報が発信される場として、年々規模が拡大している国内最大のデジタルマーケティングのカンファレンスです。
今年は、弊社CEOの泉が「ソーシャルリスニングによるサーチキャンペーンの最適化」をテーマにセッションを持たせていただくことになり、それに加え、アドテック会場内にルグラン専用セミナールーム「ルグランルーム 」を開設し、国内外のマーケティングの業界で活躍する識者やメディア関係者を招き、『Convince & Convert ~買いたくなるキモチにさせるしくみとシカケ~ 』をテーマに海外を含む業界の最新動向や、集客・売上を上げるための施策作りなど、2日間で10以上のセッションを開催することになりました。
ご来場の際は、ぜひお気軽に「ルグランルーム」お立ち寄りください。