最近、日本でも「プログラマティックバイイング」「RTB」「DSP」「DMP」といったターゲティング広告の配信技術や、それを支えるプラットフォームに注目が集まっています。
個々の言葉の説明については、別の機会に譲りたいと思いますが、簡単に言うと、個々のネットユーザーの行動履歴から推察される興味・関心や、年齢・性別に関する情報をもとに、洗い出されたターゲットに対し、カスタマイズされた広告メッセージを自動的に配信するといった仕組みのことを指しています。
こうした新しい技術や手法については、広告の効果を高める可能性があるということで、「広告を出す側」からは、おおむね好意的な声が聞かれることが多いのですが、一方、「広告を見せられる側」からも、同じように歓迎されているのでしょうか?
例えば、サイトに来訪歴のあるユーザーを特定して配信されるリターゲティング広告。
確かに、「サイトに来訪したことがある人」は、そうでない人に比べれば、その会社の製品やサービスに対する興味・関心が高いという仮説は、それなりに正しいでしょう。
また、広告主側の議論を聞いていると、「きちんとターゲットしているからバラマキでもスパムでもないのだ」といった話をよく聞かれます。
しかし、みなさんもユーザーの立場になって考えれば分かると思いますが、サイトを訪問したからといって、そのサイトの運営者から、広告やメッセージを受け取ることに無条件に同意した訳では無いでしょう。
この点をきちんと理解しないと、高度な「プログラム」を使ってスパムを乱造することになってしまいます。
では、広告を出す側は、何を考え、行動すべきなのでしょうか?
1. まずは、広告の配信レポートのほか、ウェブ解析やCRMデータなども丁寧に分析し、「顧客理解」に最大限の努力を行うこと。
2. その上で、それぞれのターゲットに対し、カスタマイズされたコンテンツやメッセージを届けること。
3. さらに、そうしたコンテンツやメッセージに対する反応を検証し、受け手にとっても、できるだけ意味や価値があると思われるような情報を届けられるよう努力を続けること。
それでも、広告目的で送られるメッセージは、どこまで言っても、「土足」で人の家に上がり込んでくる邪魔者であることには変わりはありません。
しかし、私たち人間が、頭と手を使って、きちんと分析し、戦略を立て、最適化を続けることで、靴底についた泥くらいは落とせるでしょう。
とかく、技術的な進化にばかり注目が集まりがちですが、今後ターゲティング広告が多くの人々に受け入れられ、適正に発展していくためには、広告を出す側がこうした意識を持てるかどうかも、同じくらい重要なのかもしれません。