2009.8.12

今年からCMOなどマーケティングに携わる経営層のための専門トラックが設けられた。背景には、企業の幹部であっても、これまでの経験や知識に安住することなく、SEMやオンラインマーケティングについての最新知識を身につけなければ勝ち残れない、という危機感が高まっている事情もあるようだ。

オープニングのセッションは、OgilvyOne Worldwideの会長兼CEOであるBrian Fetherstonhaugh氏による講演。

Brian

インターネット時代が幕を明けた90年代後半以降の10年間は、マーケターにとって「暗黒の10年」であったという。人々が1日のうち、30%近くの時間をインターネットに費やしているのに対して、総広告費に占めるインターネット広告費の割合がいまだに10%余りにとどまっているという事実を見れば、多くのCMOが、消費者の動きに遅れをとっていることは明らかだ。

多くのCMOがオンラインマーケティングへの対応に遅れをとってしまった背景には、広告の費用対効果を高めることができなければ、CMOとしての職を失ってしまうというプレッシャーのあまり、インターネットをマーケティングに活用するかということを考える余裕がなかった、という事情もあるようだ。(広告に費用対効果を求められることもなく、安穏としていられるどこかの国のマーケターとは大違いだ。)

だが、インターネットを味方につけることで、CMOはより大きな力を発揮することができる、というのが同氏の提案だ。特に興味深かったのは、「Search=Research」である、という考え方だ。

マーケティング戦略を考えるために、消費者がどのようにして自社の商品やサービスのことを知り、興味を持ち、そして購入に至るかという「カスタマージャーニー」の分析が重要であることは、オンラインでもオフラインでも同じだ。だが、検索キーワードを分析することで、消費者の動向や嗜好の変化をリアルタイムで、かつグローバルに把握・分析することができるということに気付いていないCMOは多い。

また、旧来の考え方にとらわれたCMOにありがちな問題として、「検索はROIも高く優良メディアである。」といった評価を受けることに反感を持ち、検索を敵視する傾向が強い、ということも挙げている。だが、人々の検索行動を分析することで、オフライン広告のターゲット設定やコミュニケーションの方法を、より的確に検討することもできるし、また、オフライン広告によって喚起された需要を、検索で効果的に刈り取ることができれば、それはオフライン広告も含めた全体の費用対効果を高めることにも直結する。

これからの時代、CMOとして成功をおさめるためには、検索を敵視するのではなく、いかに自らが考案し実施するマーケティング戦略に取り入れ、効果的に活用するかが重要になる、というのが同氏からの提言だ。


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