2013.4.05

去る3/27(水)、弊社は株式会社ロフトワーク と共催で「オンライン/オフライン広告~ボーダレス化が加速する今、考えるべきことは?」をテーマにしたトークイベントを開催、オン×オフ×クリエイティブエージェンシーのプロフェッショナルが集まり、激変する広告の現状とこれからについて語りました。

・モデレータ&パネリスト:

佐藤達郎 氏(多摩美術大学教授、カンヌ国際クリエイティビティ祭日本代表審査員)

・パネリスト:
稲本弾氏(AKQA
泉浩人(株式会社ルグラン)

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■オンとオフ、ボーダレス化を感じるのはどんなとき?
登壇者3名の自己紹介の後、こちらのお題からディスカッションがスタート。

オーバーチュアの立ち上げに参画し、デジタルマーケティング業界に長く携わる泉は、「脱・検索」がささやかれ、検索マーケティングだけでは上手くいかなくなっている、と言われ始めた2010年頃、クライアントからは検索以外の施策・提案を依頼され、この頃からオン/オフラインのボーダレス化が始まったように感じたと言います。

一方、米国のエージェンシーでの経験が長い稲本氏曰く、欧米ではオン/オフの区別はほとんどないとのこと。プロジェクトやキャンペーンを始める際は、オン/オフの代理店が集まってコンセプトからブレーンストーミングをし、アイディアを形にしていくのが主流だそうです。クライアント側の立場であれば、あくまでもプロジェクトの成功がゴールであり、そこにオン/オフのこだわりはありません。

また、AKQAでは、「広告代理店」と呼ばれることを好まないとのお話もありました。なぜなら、通常の広告代理店の領域は広告をつくること、と世間では認識されていますが、AKQAでは広告を作ることではなく、アイディアを出すことが仕事だと考えているとのこと。このお話に、会場ではあちこちでうなずく姿がみられました。

佐藤氏は、2012年のスーパーボウル(アメリカン・フットボールの全米チャンピオン決定戦)で流れたCoca Cola社のCMを例に挙げ、Facebookキャンペーンと絡めた斬新な手法で大きな話題となった同CMは、まさにオン/オフのボーダレス化だったとお話されました。

■オンとオフ、自分自身が感じる違いは?
続いてのお題に対して、まずは佐藤氏のご意見から。ここで”オフ育ち”の佐藤氏が語った内容は、オンライン広告に携わっている人間からすると、少し意外に感じた方も多かったようです。

それは、佐藤氏が大手広告代理店にいた時代、ネット系代理店と一緒にプロジェクトに取り組んだ際「クリエイティブ」という言葉の使い方に違和感を覚えたというもの。オフ側の人間からすれば、クリエイティブは、一から作ったものをさすのであり、工夫や新しい要素を入れなければクリエイティブとは言えない。しかし、オンの世界では、たとえば文字の大きさや文字数を変えるだけで「クリエイティブを差し替える」という表現を使い、「今でも慣れない」と苦笑されていました。

次に予算の考え方について、オフ/オンで違いがあるとお話されたのは稲本氏。特に日本では、「オンラインはコストがかからない、“ソーシャル”だから安く出来る」と考えるクライアントが多く、オン/オフに配分する予算に大きなギャップが生じています。米国では、効果を出すためには、オン/オフ関係なくコストがかかるという認識が日本よりは浸透しているのでは、ともおしゃっていました。

リスティングのプロである泉からは、オンラインでは“クリエイティブ”と呼ぶリスティングの広告文も、中にはテレビCMと同じ“クリエイティブ”と捉える人もおり、リスティングの広告文でさえ、社内の承認プロセスにこだわり、クイックに対応できないときにギャップを感じる、と話していました。

■オンとオフのボーダレス化時代を生き抜くのに必要なポイントは?
最後は、マーケターなら是非とも押さえておきたいポイントについてを、登壇者3名、それぞれの視点から語っていただきました。

泉:
「思い切って領空侵犯をしてみよう! 」

デジタル(オン)の領域の人は、自ら境界線を設けず、もっとオフの知見を得る姿勢を持ったり、オフの領域に踏み込んでもいいのではないか?なぜなら領域を超えた時に新しいビジネスが生まれるのだから。

稲本氏:

「シンプルに考える姿勢」
オン/オフという考え方に束縛されず、原点に立ち戻りシンプルに考える姿勢が必要。大事なのは人々に響くシンプルなアイディア。
「ボーダレスな姿勢」
日本だけでなく、世界にも響く国境を越えるという意味のボーダレスな姿勢も重要。
シンプルでわかりやすく心に響くアイディア。そこにオン/オフの区別はない。

佐藤氏:
「従来の自分の考え方にこだわらない」
「新しいサービスを毛嫌いせずにコンシューマーとして向き合う」
「変化を楽しむ姿勢」

■会場全体がインタラクティブに!~質問タイム
後半は参加者の皆さんからの質問が書かれた紙を壁に貼り、登壇者がピックアップして回答するという方式で進められました。質問内容は、前半のディスカッションに関することから、施策に関連したお悩みまでたくさん寄せられ、イベント終了時間が過ぎても、しばらくは登壇者と参加者の白熱したディスカッションが続き、内容の濃いトークイベントとなりました。

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今回のテーマをより深く掘り下げたワークショップ『「オン」から「オフ」へ~激変する広告の目線を学ぶ』が4/10より全3回にわたり開催されますので、こちらも是非ご参加ください。
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