もうご存じ無い方も増えているかもしれませんが、今週サンフランシスコで開かれている”SES”は、元々は、Search Engine Strategiesという名前のカンファレンスの「略称」でした。
その名の通り、検索エンジンマーケティングに特化した、非常にギークな専門性の高いイベントで、企画・運営には、現在、SMXというカンファレンスを主宰しているDanny Sullivan氏が携わっていました。
その後、スマートフォンの普及等により、検索エンジンの利用環境は大きく変化する一方、ソーシャルメディアや、RTBなど新たな配信・ターゲティング技術によるディスプレイ広告の普及に伴い、検索エンジンマーケティングの戦略についても、よりメディアニュートラルな視点で考えていくことが求められるようになりました。
こうした環境の変化を踏まえ、テーマを必ずしもSearchに限定したくない、という主催者側の思いから、元々は「略称」であったSESが、イベントの正式名称に「昇格」したという経緯にあります。
SESの「Search色」が薄れていく中、かつてに比べ、SESへの登壇機会も減っていたマット・カッツ氏ですが、2日目のキーノートスピーチの「サプライズゲスト」として登壇しました。
キーノートでは、Googleで、検索結果に掲載するコンテンツに関するポリシー策定を担当するPatrick Thomas氏(写真・左)とともに、多くの人が「不適切」と考えるコンテンツを検索結果から排除することへの取り組みについてディスカッション形式で話が進みました。
その中で、Googleの基本姿勢として、
“Google wants to be as comprehensive as possible. We prefer to limit manual decisions or interruptions.” (グーグルの検索結果は、可能な限り、幅広い内容をカバーすることを宗としており、検索結果の適否を人が判断して変更を加えるといったことは極力排除したいと考えている。)
という一文を紹介した上で、これがいかに難しいことであるか、に話の中心は移りました。
たとえば、どこまでが「芸術」で、どこからが「ポルノ」なのかという線引きは、おそらく人によって異なるでしょう。また、「バラク・オバマ」という検索クエリに対して、どのようなコンテンツが検索結果にふさわしいと考えるかについても、おそらく、答えは百人百様でしょう。となると、どんなにアルゴリズムを磨きあげたところで、万人を同時に満足させる検索結果を提供することは、非常に難しいということになります。
また、最近日本でも問題になっている「ヘイトスピーチ」についても、検索結果に。そうしたコンテンツが表示されることは好ましくないという「総論」では、意見の一致を見る訳ですが、世界各国の異なる言葉や文化の中で、そもそも何が「ヘイトスピーチ」にあたるのかという判断は容易ではなく、さらに、そうした判断基準をアルゴリズムに組み込んで処理するとなると、これも、実際にはかなり難しい作業であることが分かります。
ちなみに、検索結果に「適切」なコンテンツを表示させるため、Googleでは、毎年500を超えるアルゴリズムの変更を実施しており、マット・カッツ氏自身、毎日、1〜2時間のミーティングで、平均8〜10個のアルゴリズム変更を検討しているそうです。それでも、できるだけ多くの人を満足させる検索結果を提供するためのチャレンジには終わりが来ることは無いようです。。。
こうした業界の第一人者から、思いがけず、面白い話が聞けてしまうのも、海外のカンファレンスに参加する楽しみの一つですね。ということで、少々気が早いですが、2014年2月に開催されるSESロンドン についても、視察ツアーの催行が決定しましたので、次回は、ぜひ、現地で一緒にSESを楽しみませんか?
【SESロンドン視察ツアー(予定)】
東京発:2014年2月10日(月)
SES視察:同2月11日(火)〜13日(木)
企業訪問:同2月14日(金)
ロンドン発:2014年2月15日(土)→東京着は日本時間の2月16日(日)
概算費用:670,000円程度の見通し *
* 往復航空券、ホテル5泊、SES入場料、空港-ホテルの送迎、毎朝食及びウェルカムディナーを含みます
【参加の仮申込やお問い合せはこちらから】
メール:ses@LeGrand.jp
電話:0120-066-898