2007.5.01

ヤフーは従来から、いわゆる「ネット広告代理店」経由でバナー広告などの営業を行ってきました。それらの代理店の殆どは、オーバーチュアの代理店としても機能し、検索連動型広告の販売も行っています。

日本の検索市場においてはヤフーが圧倒的なシェアを持っており、オーバーチュアは収益のほとんどをヤフー検索に依存していることは明らかです。

つまり、実質的に同じ媒体に、同じ広告主が同じ広告代理店を経由して広告を出している訳ですから、広告代理店の窓口をヤフーに一本化するというのはある意味、当然の流れといえるでしょう。

実際、ヤフーの井上社長は、パナマを含めたオーバーチュアの基幹システムは米国ヤフーインクにより開発・提供されているため、オーバーチュアを子会社化する狙いは、「営業組織の統合につきる」といった趣旨のコメントもされていますが、確かにその通りなのでしょう。

井上氏はオーバーチュアの社長も兼務すると見られており、そうなれば、広告の販売戦略や掲載ガイドラインなどについても、よりスムーズな意思決定が可能になるでしょう。

さらに、井上氏はジェリー・ヤンをはじめとするヤフーインクの経営陣とも非常に強いコネクションを持っています。一方、ヤフーインクも自社株式の時価総額に大きな影響を与えるヤフーの株価や業績について、強い関心とコミットメントを示しています。

そのため、今般の子会社化により、オーバーチュアがグーグルに対して出遅れているモバイルやコンテンツ連動型広告の分野で、日米の開発リソースを投入したテコ入れを期待する見方も出ています。

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一方、オーバーチュアが得意とする中堅中小広告主への直販チャネルについては、検索連動型広告についての専門的なトレーニングを積んだスタッフによる電話やメールでのサポートがウリの1つとなっているだけに、今後、ヤフー傘下でこうしたサポートをどのように維持・運営していくのか、その舵取りも注目されます。

いずれにせよ、これで日米欧の3大市場すべてにおいてオーバーチュアの検索連動型広告ビジネスは、名実ともにヤフーの事業に統合されることとなりヤフー対グーグルのグローバルなガチンコ対決は第2幕に突入します。

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ユーザーの立場としては、検索業界における両雄が切磋琢磨することで、サービスや利便性の向上が図られ、日本のSEM市場の更なる発展につながることを大いに期待したいところです。

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 (参考記事)
【ヤフー、オーバーチュアを子会社化–SEMのシェア拡大を狙う】(CNET Japan)


※この記事は、2007.04.26 配信の [ニュースレター]Le Grand News Flash より抜粋したものです。
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