ご存知の方も多いと思いますが、検索連動型広告やコンテンツ連動型広告は、別名「PPC広告」とか「P4P広告」などと呼ばれています。
「PPC」「P4P」はそれぞれ、”Pay per Click”、”Pay for(=4) Performance”の頭文字を取ったもので、両方とも意味するところは「クリックされた時に初めて料金が発生する」広告ということになります。
従来のオフライン広告や(クリック保証のない)バナー広告では、本当に広告が視聴されたどうかに関係なく、「掲載された」ということに対してコストが発生します。このため、多くの広告主にとっては「PPC」広告の方が、より安心感が高く、それが市場の急速な拡大を後押しした要因ともなっています。
しかし、発生したクリックには、購買や申込につながる可能性が全くないクリックも含まれているとしたらどうでしょうか?
7/20に米国のClick Fraud Network(直訳すると「不正クリック対策ネットワーク」という感じでしょうか)が発表したレポートに、少し気になる数字が出ていましたのでご紹介します。
同ネットワークの調査結果によると、PPC広告全体で発生したクリックの内、誰かが特別な目的や意図をもってわざと発生させたクリック(以下「不正クリック」と呼びます)の比率は15.8%にも達しているそうです。更に、個人のブログなどに広く配信されるコンテンツ連動型広告だけを見ると、不正クリックの比率は更に高く25.6%、つまり4回に1回は不正クリックという計算になります。
こうした不正クリックが発生する背景は、2つの大きな要因があります。まず、コンテンツ連動型広告の場合、クリック料金の一部が、広告の配信場所を提供しているブログのオーナーに配分されますので、そこに不正にクリックを発生させる「動機」が存在します。一方、検索連動型広告では、上位掲載を巡って争っているライバル企業の予算消化を早めるためにわざとクリックを発生させるといった「動機」も存在します。
言うまでもなく、こうした不正クリックの増加は、PPC広告に対する広告主の信認を根底から覆すおそれがありますので、オーバーチュアやグーグルでは、独自の監視システムを使って、不正と判断されたクリックについては、クリック料金から控除するといった対策を講じています。また、コンテンツ連動型広告についても、例えばグーグルでは、アドセンス広告による収益のみを目的とした、品質の低いサイトMFA (Made for AdSense)サイトはGoogleインデックスから削除する、といったことも行っているようです。
この調査結果は、主に米国の広告主を対象としたものですが、日本においても、中国のIPアドレスを経由した不正クリックの被害なども確認されており、決して「対岸の火事」ではありません。検索エンジンだけに対策を任せっきりにするのではなく、広告主自身も、普段から目を光らせておくことが必要です。
そのためには、日頃から広告の効果測定をきちんと行い、不自然なクリックの急増や、コンバージョン率の急低下などがあった場合には、オーバーチュアやグーグルなどに調査をお願いしてみるといったことも必要ですね。