2009.8.13

「SEMの成果を過大評価しているのではないか?」という問題については、今年のSESにおいても、マーケターが解決すべき重要な問題のひとつとして、議論が続いている。昨年は、どちらかというと「問題提起」という色彩が強かったが、今年は、より踏み込んで、SEMの「評価モデル」をどのように構築すべきか、という点に焦点が移っている。

SES 2日目最初のセッション”Credit Crunch: The Death of Last Click Attribution and its Impact on Paid Search Advertising”では、もはやLast Click、つまりコンバージョンに直接つながったクリックだけを評価するだけでは不充分であるという前提のもと、企業のマーケターが、SEMの成果を適正に評価するための具体的な取り組みについて紹介された。

Day2#1

最初に登場したパネリスト、レノボ社のGlobal Marketing Director Gary Milner氏は、プレゼンの冒頭で次のように語った。

Paid search –too much or too little credit? – it can be both!

つまり、SEMは過大評価されているという側面もある一方で、効果測定の技術や方法には、まだまだ改善の余地もあり、その結果、SEMの成果が過小に評価されているケースも多く、マーケターとして、この問題を解決しない限り、マーケティング予算の配分について適正な意思決定はできない、と強調した。

その上で、レノボ社が行った調査結果が紹介されたが、まず第一に、同社のウェブサイトから発生したコンバージョンの内、SEMやディスプレイ広告など、特定のプログラムの成果とみなせるものは、全体のわずか32%に過ぎず、残りの68%については、複数のプログラムから得られたコンバージョンということが判明した。つまり、Last Clickだけを見ていたのでは、コンバージョン全体の32%しか正しく評価はできない、ということになる。

実際、Last Clickだけを見た場合、SEMのコンバージョンへの貢献は全体の22%しかない、という結果になるのだが、データを詳しく解析していくと、SEMが直接・間接に貢献したコンバージョンは、その2倍近くあったにもかかわらず、そのほとんどは、アフィリエイトプログラムの成果として計上されていた。これは、多くのユーザーが、リスティング広告をクリックして同社のサイトを訪問したが、そこではコンバージョンにいたらず、その後、アフィリエイト広告を経て、コンバージョンに至ったことを示しており、こうした「カスタマージャーニー」のプロセスを理解した上で、SEMやアフィリエイトに適正な予算を配分することが重要だとしている。

次に登壇したLife Technolgies社のRobin Smith氏も、同社が抱える問題について、次のように語っていた。

Is paid search selling or is it just an order taker?(SEMは自社製品の売上拡大に貢献しているのか、それとも、購入を決めた顧客から注文をとっているだけなのか?)

また、自然検索で上位掲載されているキーワードについて、SEMにも出稿すべきかどうかを判断するためには、SEMの有無によって、獲得できるコンバージョンの「総和」に変化があるのか否かについて正確に検証することが必要だが、そのためには、外部ツールの導入も含め、アクセス解析についても、相応の投資や工夫が必要だともしている。


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