2009.11.22

米国に本拠を置く大手PR会社ウェーバーシャンドウィック社の調査によると、米国のFortune100にランクされる大手企業では、延べ540ものTwitterアカウントが開設されているが、その76%は、Tweetがきわめて少ない「休眠状態」にあるそうです。これは、米国においても、Twitterのビジネス活用については、その意義や可能性が充分には認識されていないことの裏返し、ともいえそうです。

同時に、米国の大企業が、Twitterをどのような目的で利用しているかに関する調査結果も発表されていますが、企業の最新ニュースなどを配信する手段として活用している割合が26%ともっとも高く、以下、次のような回答が多くなっています。

・ブランド認知の向上:24%
・ダイレクトマーケティング:16%
・Though-leadership:11%(あえて日本語に訳すと教育・啓蒙のような感じでしょうか…)
・カスタマーサービス:9%

これをみれば分かる通り、Twitterをある程度活発に利用しているという企業においても、その実態は、単に、旧来メディアでも実現できることを、Twitterでやっているだけというケースが多いようです。一方で、Twitterをはじめとするソーシャルメディアが本来得意とする、顧客との「エンゲージメント(結びつき)」を深めるといった次元に到達するためには、担当者が企業の最新情報に関するTweet(つぶやき)を垂れ流して終わりにするのではなく、ソーシャルメディアを活用したマーケティング活動について、全社的な戦略の企画・立案が必要であるとしています。

これを読んで、ふと頭をよぎったのは、「Twitter議員」と呼ばれる人たちのTwitterの活用です。法整備の遅れもあり、日本では政党や政治家によるインターネットの活用は、まだまだ始まったばかりですので、今のところはTwitterを使っているだけでも進んでいるというのが正直なところでしょう。特に、民主党の若手議員の中には、Twitterを使って、盛んに情報発信しているケースも目立ちますが、先の企業の例に例えていうならば、個々の議員が、好き勝手に「最新情報」を発信しているレベルにとどまっています。

私もこうした議員のTweetを何名かフォローしていますが、その中で、最近、民主党の藤末参議院議員に対して、Twitter上で次のようなコメントが寄せられました。

「あなたの国民の代表という、このtwitterの使い方を読んでる人にとって有益なものにしたほうがいいですよ。正直、あなたのプライベートには興味ありません。問題や解決策、考えをtweetしてください!」(原文通りに引用)

これに対し、藤末議員はTwitter上で、

「政策はブログとネット雑誌に書かせて頂きます。見て下さい。」

とリプライしています。

これは、正直といえばそうなのでしょうが、一方で、この議員のTweetをフォローしている人は7,000人以上いるのですから、これらの人に対して、自分自身の考え方や人となりをいかにプロデュースしていくかというマーケティングの視点を持たずにTwitterを使っているだけで良しとしてしまっているのだとすれば、それは随分ともったいない話のように思います。更に言うと、多くのTwitter議員を抱える民主党も、党のマーケティング・コミュニケーション戦略の中で、各議員のTwitterをどう組み込んでいくか、そろそろ党としても、きちんとした戦略を考える時期にきているのではないでしょうか?(もちろん同じことは野党となった自民党の広報本部長さんにも考えて頂く必要がある訳ですが。)

ちなみに、Twitterを会社(あるいは政党や議員)のマーケティング目的に使う場合であっても、そこにプライベートな情報を交えることは、やり方によっては非常に効果があると考えられています。例えば、先日見つけたあるブログでは、今日の夜に、どんなものを食べたのかをTweetすること自体は悪くないが、そこから自分の「人となりに関する何か」が垣間見えるような工夫をすることが大切だとしています。

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