2011.2.04

弊社に相談に来られる方々のお話をうかがっていると、(リスティング広告の管理運用を任せてきた)代理店について「費用対効果が悪化しているのに何も手を打ってくれない。」「こちらから指示しないと何も提案してくれない。」といった不満をよく聞きます。

diagnosis

確かに、代理店によって、あるいは担当者によって、リスティング広告の管理・運用に関する知識や経験には大きなバラツキがありますから、常にクライアントが期待するようなサービスや提案をしてくれるとは限りません。また、あるいはリスティング広告というビジネス自体が、その代理店にとって、どれほど重要かによっても、提供されるサービスの内容や質は変わってくるでしょう。

一方で、クライアント側が、リスティング広告の管理・運用について、余りに細かな指示を出し過ぎていることが、代理店を「受け身」「無責任」にさせているという側面があることも理解しておく必要があるでしょう。特に、クライアントあるいはその担当者が、それまで、TVや新聞・雑誌などのオフライン広告を中心に手がけてきた場合、リスティング広告についても、「条件反射」的に出稿前の事前承認を、当然のこととして求めてくるケースがあります。

最近話をしたある代理店の担当者も「広告文はもとより、出稿予定のキーワードについて、全て事前に承認をもらわないといけないし、しかも、何か変更作業を行う度に、承認をもらう手間が大変だ。」とこぼしていました。

もちろん、広告文で何を訴求したいのかといった「意向」をクライアントから聞くことには意味がありますし、クライアントに、事実確認としてのチェック(e.g. 送料無料の適用条件やセールの割引率・期間等々)をお願いすることもあります。

しかし、クライアントのビジネスの目標や広告に期待するROIなどをヒアリングした上で、その実現のためには、どういうキーワードに出稿し、それにどのような広告文やリンク先ページを組み合わせるのが良いのか、またその場合、クリック単価や予算、あるいはキャンペーン・広告グループの編成はどうあるべきか、といったことは、まさにリスティング広告の成否に直結する「ノウハウ」です。つまり、代理店から出されたキーワードや広告文のリストをみて、(事実確認以外の)修正・変更を依頼するのであれば、クライアント側にも、代理店と同等かそれ以上のノウハウが求められます。

考えてみて下さい。心臓バイパスの手術をしてもらうのに、心臓外科の知識を持たない患者が、医者に対して、「ここは切ってもよいがここは触るな。」「血管の縫合はこういう風にしろ。」などと指示を出したら、どうなるでしょうか?そして、もし医者に「すべて、あなたの言う通りに手術をしますが、その結果、生命に危険が及んでも、我々は関知しませんので、悪しからず。」といわれたら…?

ただ、リスティング広告に関して言えば、「プロ」として全てを任せるには、あまりに心許ない代理店や担当者の存在が、広告主を疑心暗鬼にさせ、結果として、あれこれ指示を出さずにはいられない、という状況を作り出しているケースがあることも事実です。そこは自戒の意味も込めて、代理店には「プロ」としての矜持をもって仕事にあたることが求められていることは言うまでもありません。

(by Rod Hiroto Izumi, Founder & Co-CEO, Le Grand)



Share Button

Back to Blog Top