2011.12.22

毎年この時期になると、来年のトレンドや市場予測に関するコラムや記事を目にする機会が多くなりますが、今年は、特に海外において「2012年、デジタルマーケティングで重要になるのはコンテンツマーケティング 」といった論調が目立ちます。

コンテンツマーケティングについては、コンテンツを拡散させるための手段としてのブログやTwitter、あるいはYouTubeやFacebookなどの活用といった方法論として語られることも多いようですが、私たちは、それ以上に、コンテンツ自体の持つ価値や魅力、その結果としての得られる伝播力の重要性に注目をしています。

とはいえ、コンテンツの伝播力が注目され始めたのは昨日や今日の話ではありません。たとえば、今から10年も前に出版された『バイラルマーケティング 』の中で、著者セス・ゴーディン氏”我々はかつて食物を作り、物を作った。そして今、我々はアイディアを作る”と書いています。つまり、人を惹きつけてやまないような驚きのアイディアがなければ、どんな製品やサービスも、人々が(頼まれもしないのに)勝手にクチコミで広げてくれるようなパワーは持ち得ないということです。

こちらは、今から1年ちょっと前に米国ヤフーのサイトに掲載されたセス・ゴーディン氏のインタビュー動画(英語)ですが、ここでもキーとなるメッセージは、“NO ONE CARES ABOUT YOU!”、つまり“誰もあなた(の会社や商品・サービス)のことなど知ったこっちゃない”というものです。

さらにゴーディン氏はこう続けます。“1960年代、マーケティングに必要だったのは「才能」ではなく(広告を出すための)「お金」であった” と。こうした「成功の方程式」が成立していたのは、「平均的な商品を多くの中流層にたくさん売る」ことができた時代だったからです。

それから数十年を経て、インターネット広告の黎明期に、多くの企業がバナー広告に多額の資金を投じましたが、それが売上につながることは殆どありませんでした。なぜか?

もはや、大量生産・大量消費の時代が終わり、テレビなどのマス広告が効かなくなっているにもかかわらず、マス広告と同じ考え方で大量に出稿されたバナー広告は、ゴーディン氏いわく“TV2.0”、つまりTVでうまくいかないことが証明済のモデルを単にネットに持ち込んだだけなので、失敗して当然だったという訳です。

では、今日求められているものは何か。このビデオの中で、ゴーディン氏はそれをFirst 10(最初の10人)という言葉で表現しています。

世の中に伝えたいメッセージがある時、あなたやあなたの会社、商品・サービスのことをよく知る10人の人たちに、それを伝えてみて下さい。そして、もし、その10人が、あなたから聴いた話を、他の誰にも伝えようとしなかったら? 残念ながら、そのメッセージには、「伝播力」、つまり、クチコミで広まっていくだけの力はありません。

どんなに広告費をかけたところで、おそらくはムダ打ちに終わるでしょう。それよりも、また一から、新しいメッセージを考える必要があります。伝播力の無いメッセージは、広告の力を使ったところで「最初の10人の壁」を超えることはできないのです。広告にできることは、もともと伝播力をもったメッセージが拡散するスピードを上げることだとゴーディン氏は言います。

これについては、今年7月に開催された第1回目のDigital Marketing College にゲスト講師として登壇頂いた佐藤達郎さんも全く同じことをおっしゃっています。佐藤さんは「ソーシャル・クリエイティビティ 」という言葉を使って、ソーシャルメディアが普及した今日、オフラインの広告においても、メッセージが人と人をつなぐ、「人から人へ伝わる」広告が重要になっていると説いています。

ソーシャル・クリエイティビティ

つまり、ソーシャルメディアの台頭により、誰でも自由に、そして簡単に、情報を発信・共有できるようになった今日、ブログやTwitterで、製品やサービスに関する情報を発信・共有したいという人々の思い、あるいは欲求を後押しするようなコンテンツを創り出せるかどうか。それがコンテンツマーケティングの重要性、ということなのだと私たちは考えています。

また、海外においてコンテンツマーケティングが重要視されている背景には、通称「パンダ」と呼ばれるグーグルの新たな検索アルゴリズムの導入の影響が広がっていることもあると思われます。

これまで、自動生成されたり、第三者が作成したコンテンツを集めてサイトを作り、それを検索結果の上位に表示させることでトラフィックを集め、広告収入をあげるというやり方は、一つのビジネスモデルとして成立していました。しかし、多くのユーザーが、そういうサイトに掲載された情報には価値がないと感じている場合、そうしたサイトを検索結果の上位に多数掲載しているグーグルもまた、質の低い検索エンジンと評価されてしまう可能性があります。

そこでグーグルも、人々が有用と感じられない、質の低いコンテンツしか持たないサイトについては、検索結果から排除しようと具体的なアクションを取り始めたのが「パンダ」という訳です。ともすると、SEOのテクニック論として片付けられてしまいそうな話ですが、質の低いコンテンツでは、人間にも、検索エンジンのロボットにもスルーされてしまう時代が到来しつつあるという点は、よく理解しておく必要がありそうです。

こうした環境変化の中で、人々が興味を持つようなコンテンツを作り出すにはどうすればよいのか?この問題について、第2回目のDigital Marketing College にゲスト講師として登壇頂いた、アスキー・メディアワークス/Web Professional 編集長の中野克平さんには、Webライティングにおいて人々を惹きつけるストーリーの作り方 というテーマでお話を頂きました。

中野さんからは”人々がストーリーを求めるのは、現代の豊かな社会では人生が退屈だからであり、「起承転結」の「転」を欠いた退屈な日常から逃れるためには、人々は「転」のあるストーリーに惹かれる”というお話がありました。

WEBライティング

さて、みなさんは2012年、コンテンツマーケティングの時代を勝ち抜いていくための準備は整っていますでしょうか?

ルグランでは、これからも、皆さまのパートナーとして、マーケティングROIを最大化するために必要なサイトやコンテンツ作りについて、戦略立案から制作、ソーシャルメディアや広告を活用したメッセージの拡散から需要の刈り取りまで、一環したサポートを提供して参ります。

また、セミナーやワークショップの開催を通じ、国内外の最新情報やノウハウの提供にも努めて参りますので、どうぞ2012年もルグランをよろしくお願い致します。

(by Rod Hiroto Izumi, Founder & Co-CEO, Le Grand)

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