米国のデジタル・マーケティング調査会社eMarketerの今年の米国でのオンライン広告市場予測 (原文:US Online Ad Spend to Close in on $40 Billion)によると、今年(2012年)のオンライン広告の売上は2011年(去年)を23.3%を上回る、395億ドルが見込まれているとの発表がありました。
この結果、米国では史上初めてオンライン広告費が新聞と雑誌を合わせた、印刷広告費を上回ると言う予測が立てられています。また、オンライン広告の勢いはこの先5年間の見通しを見ても、若干の成長スピードの減少は見込まれるものの、依然成長を続け、2016年には620億ドルに到達すると言う予測が立てられています。
米国オンライン広告費の予想推移2011~2016
「“Advertisers’ comfort level with integrated marketing is greater than ever, and this is helping more advertisers and more large brands put a greater share of dollars online,” said David Hallerman, eMarketer principal analyst.」
eMarketerのプリンシパルアナリストDavid Hallermanによると、「これまでに以上に広告主、大手ブランドを中心に統合マーケティングに対する理解が得られている。広告主が安心して、オンライン広告へ投資を始めている傾向が見られていて、これがオンライン広告費への予算の増加を招いている」と語っています。
一方の印刷広告には、2012年には338億ドルの広告費が予想されていますが、この数値および、この先5年間の予測値を見ると下降現象がみられる状況です。特に2016年には新聞と雑誌を合わせた広告費がオンライン広告費の半分近くまで減少すると言う、衝撃的な発表がされています。
米国での印刷広告費 vs オンライン広告費の予想推移 2011~2016
しかしながら、テレビ広告については今後も少ないながらも伸び率を保っていく事が予想されています。テレビ広告に至っては統合マーケティングの観点から、印刷広告の様なオンライン広告からの予算の移行の影響は出ない見込みではありますが、こちらも2016年までには2011年に倍近い差があった広告費のマージンが大分縮まっていくことが予想されています。
米国でのテレビ広告費 vs オンライン広告費の予想推移 2011~2016
全体の傾向としては、2012年の米国広告業界は6.7%の伸び率を見こんでいて、明るい材料が多くみられるようです。特に今年は、米国大統領選挙に関連したオンライン広告キャンペーンや、モバイル広告のさらなる伸びに注目がされています。今後もオンライン広告の勢いは続き、トラディショナルメディアの伸び率の鈍化を尻目に、2016年までには広告全体の3分の1を占める勢いが続くと予想されています。
さて、2012年の日本のオンライン広告市場はどうなるのでしょうか?残念ながら2011年は災害の影響を背負った年となってしまいましたが、本格的な復興の年となる2012年は広告業界から日本の復興と経済の活性化が始まる事に期待をしていきたいと思います。
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(by Kenta Umezu, Chief Operating Officer, Le Grand)