先日7/30にAdWords日本版公式ブログにて、リマーケティング機能の利便性が向上したとの発表がありました。今回の改良によって1つのリマーケティングタグで複数のユーザーリストを管理することが可能となり、広告の管理・運用を行う側だけでなく、実際にタグの設置作業を行うサイト運営者側にとっても朗報といえます。
また、ブログの後半ではリマーケティングタグを活用したAdWordsの今後の展開についても触れられており、こちらも大変興味深い内容となっていますので、合わせてご紹介したいと思います。
■1つのリマーケティングタグで複数のリストが管理可能に
従来のAdWordsリマーケティングを運用していた方の中には、タグの発行・設置作業の煩雑さを経験していらっしゃる方も多いと思います。スポーツ用品全般を扱っているECサイトを例に挙げると、サッカー用品の商品ページと野球用品の商品ページの来訪者に対して異なるリマーケティング広告を配信する場合には、各商品ページへ来訪したユーザーを区別してマークするため、複数のリマーケティングタグを発行し、それぞれのページへ設置する必要がありました。
しかし、今後は1つのリマーケティングタグで済むようになり、上図の通り管理画面側([共有ライブラリ]⇒[ターゲットユーザー]⇒[リマーケティングリスト])でページのURLを設定するだけで、それぞれ設定したページの来訪者をマークすることができるようになります。
具体的には、全ページに1種類のタグを設置後、リマーケティングリスト作成画面にて例えば「www.xxx.jp/soccer/」を設定し、「次から始まる」を選択すると、下記サッカー商品ページ(soccer/以下)に来訪したユーザーをマークすることができますし、「www.xxx.jp/baseball/」と設定すると、野球商品ページに来訪したユーザーも同じくマークすることができるようになります。
・www.xxx.jp/soccer/ball.html
・www.xxx.jp/soccer/goal.html
・www.xxx.jp/soccer/item.html
従って、1つのタグがあれば後からいくらでも特定のページを来訪したユーザーのリマーケティングリストを追加設定することが可能となりますので、リマーケティングを実施しようとお考えの方は、全ページにタグ設置をお勧めします。(タグが1種類であれば設置も容易かと思います。)
■興味深いAdWordsの今後の展開
今回の発表記事の後半には今後のAdWordsの展開について触れた興味深い内容があり、その中の2点を以下に抜粋します。
(1)“例えば今後、サイト訪問者だけでなく、リマーケティングリスト内のユーザーと類似するユーザーに対しても広告を掲載できるようになる予定です。”
(2)“また、サイトへの訪問履歴の有無をもとに検索キャンペーンをカスタマイズするテスト機能(英語のみ)のリリースも進められています。(リマーケティング リストを使用した機能です。)”
(1)については昨今のディスプレイ広告市場でメジャーになりつつある、いわゆるオーディエンスターゲティング広告がAdWordsでもいよいよ始まるということを意味します。仕組みとしてはページに設置したリマーケティングタグを使って来訪者ユーザーのCookieデータを参照し、ユーザーの属性(性別、年齢、興味関心)を類推、来訪者に似た属性を持つユーザーへ広告を配信する、といった方法でしょうか。
(2)については、ディスプレイネットワークだけでなく、検索エンジンも持つAdWordsならではの面白い試みかと思います。検索結果画面に「一度サイトに来たそこのお客様、ただいまセール中です!」といった広告文を目にする日がそう遠い話ではないかもしれません。(それに対するユーザーの反応は別として…。)
余談ではありますが、Googleが提供しているこちらのページをクリックすると、今お使いのブラウザのCookie情報からGoogleが推定したプロフィールが表示されます。端的には、(1)のオーディエンスターゲティングではこのように推定したプロフィールを基に広告を配信するというものです。
ちなみに、この記事をお読みになっている方は、どんなプロフィール結果が出ているでしょうか…?
(by Tatsuhiko Kuwahara, Consultant, Le Grand)