2013.2.14

既に、国内外の多くのサイト・メディアで紹介されているので、ご存じの方も多いと思いますが、今般、グーグルはアドワーズの機能強化を目的とした新たなプラットフォーム「エンハンストキャンペーン 」の導入を発表しました。

既にアドワーズの管理画面に、このようなお知らせが表示されるのをご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、「エンハンストキャンペーン」へのアップグレードは、当面は「オプション」として提供されますが、今年半ばには全てのキャンペーンが、自動的に「エンハンストキャンペーン」に切り替わる予定です。

グーグルの発表や各種メディアの報道内容から、「エンハンストキャンペーン」の概要は以下の通りと考えられます。

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・今後はキャンペーン毎に出稿対象のデバイスを選択するのではなく、1つのキャンペーンでPC・タブレット・スマホに出稿する形がデフォルトになる。
・スマホ検索が増加しているにもかかわらず、PCにしか出稿しない広告主も多く、こうした消費者行動に機動的に対応できるプラットフォームを提供することが大きな狙いとしている。
・一方で、PCに比べて相対的にクリック単価の低いモバイルのマーケットプレイスを統合することで、グーグルとしては、マネタイズを強化したいのだ、という見方もある。
・とはいえ、特に既に、PC・スマホ両方に出稿している広告主については、1つのキャンペーンの中で、PC用とスマホ用の広告を作成したり、1つのキーワードに対して、検索されるデバイスや時間などの条件に応じて、入札価格を調整するといった機能も実装されるので、キャンペーン管理がむしろ簡単になるというメリットもある。
・また、設定オプションごとのレポート機能の強化なども同時に行われる。
海外メディアの報道 によると、グーグルの広報担当者のコメントとして、スマホ対応ができていないなどの理由で、スマホ検索には出稿したくないという場合、スマホ用の入札価格をPC/タブレットの-100%と設定することで、実質的にはスマホへの出稿を回避できるとのこと。
・但し、基準の入札価格はPC/タブレットになるので、スマホだけに出稿することはできない。
・また、PCとタブレットは、検索行動やCV率なども類似しているので、一体のマーケットとして扱うので、今後、PCとタブレットで別々の入札価格を設定することはできない。
・同様に、PCには出稿するが、タブレットには出稿しない、というオプションは無くなる。

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弊社で管理運用をしているアカウントの動向を見ると、PCとタブレットのクリック率やCV率は同レベルとなるケースが多いので、PCとタブレットの入札価格調整が一体化されること自体に大きなデメリットは無いと思われます。

ただ、これまではタブレット・スマホには出稿しないという広告主も多かったため、タブレットについては、PCと統合することで、Googleとしてはマネタイズが強化される一方、タブレット検索からの流入が多く、PCに比べて相対的に低いクリック単価の「恩恵」を受けてきた広告主にとっては、そうしたメリットが消滅する可能性もあります。

一方、スマホ対応が進んでいない広告主については、上述の通り、スマホへの入札価格調整幅を、PC/タブレット設定価格の-100%と設定することで、実質的には出稿対象からはずすことができるので、技術的には問題はないと思われます。

とはいえ、こうした機能に不案内な広告主が、PC/タブレットとスマホの入札価格を調整せずに同条件で出稿するケースも増えると思われ、そうなると、結果的には、スマホについても、入札価格が高騰する可能性もあり、グーグルも(大きな声では言わないでしょうが)そうした広告主の「不作為」によるクリック単価の高騰を期待している部分もあるのだろう、といった見方をする向きも多いようです。

今後、「エンハンストキャンペーン」についての運用実績やデータが蓄積されていく中で、本ブログでも、更に詳しい内容や運用上のノウハウなどもお知らせしていきます。また、「エンハンストキャンペーン」に関するアドワーズのヘルプ はこちらから。

(by Tatsuhiko Kuwahara, Consultant, Le Grand)

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