2013.8.01

先週7/24(水)、「今年のトレンドは? 佐藤達郎のどこよりも早い『2013年カンヌライオンズ』速報」が開催されました。小雨が降りしきる生憎のお天気でしたが、おかげさまで満員御礼、通常のセミナーとは少し趣を変えて、カフェでの開催、色々なカンヌライオンズの受賞作品がみられるとあって、会場はプチフィルム上映会のようなリラックスした雰囲気で進められました。
講師を務めたのは、カンヌ国際クリエイティビティ祭の元日本代表審査員の佐藤達郎さん。セミナーでは、3つのポイントでお話いただきました。

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 ■カンヌライオンズの魅力とは?
まずは、「そもそもカンヌライオンズって何?」という基本的な説明から始まり、佐藤さんが考えるカンヌの魅力をお話いただきました。
世界中から優れた作品が一堂に集まるカンヌでは、ヒントを探す目線が大切であると語る佐藤さん。カンヌだからできる、日本だからできない、と考えるのではなく、「自分たちにできることは何か」という目線で作品に触れることで多くのヒントを見つけることができるといいます。また、作品を見ただけではわからないその背景や狙いが、応募ビデオやプレゼンテーションボードからつかむことができるのは、現地でウォッチングする魅力の一つであるとお話されました。

■カンヌライオンズ、ここ数年の傾向は?
気になるカンヌライオンズの最近の傾向はというと、「作品のクリエイティビティ」から「仕掛けのクリエイティビティ」へと軸足が移ってきていると佐藤さんは言います。テレビやデジタル、ソーシャルを活用しクロスメディア的コンテンツが注目される中、作品の出来栄えも大切だが、近年グランプリに選ばれているのは、作品に「仕掛け」があるものが多くなっています。

毎年日本からも多く応募されていますが、今年は応募数が増加しているにも関わらず受賞作品は昨年と比較して減少しているそうです。以前のようにデザインが美しい作品が賞を取りやすかった時代が過ぎ「仕掛けのクリエイティビティ」に重点が置かれる今、従来、デザイン部門に強い日本にとっては賞を取りにくいのでは、とお話されていました。

■今年2013年の速報、そして話題性は?
今回で60周年を迎えたカンヌライオンズ。審査委員長にはアップルの広告で知られるリー・クロウをはじめ、ナイキで有名なダン・ワイデレ等、「レジェンド」と呼ばれる伝説的クリエイターたちが揃い、クリエイティビティの足元を見直した年であると佐藤さん。
そして、受賞作品を紹介していただきながら、話題作のポイントをいくつか挙げていただきました。そのひとつが、「TellingからDoingへ」。つまり、

・作品の中で実際に何かをやる
・伝えるというより体感させる

ということ。たとえば、スキンケアや石鹸のブランドDoveの動画「Real Beauty Sketches」。この作品は、FBIでトレーニングを受けた法医学の画家が、まず本人が自分について語った内容を元に(絵描きは本人を見ることなく)似顔絵を描き、次に他の人の証言を元に、同じ人の似顔絵を描き、最後に2枚の似顔絵を本人に比較してもらいます。その結果、「他人の目に映る自分の顔」の方が圧倒的に美しいことに気付く女性たちに伝えられるメッセージ、「You are more beautiful than you think. ―あなたはあなたが思っている以上に美しい」が視聴者の心にやさしく響きます。この動画は、世界中で大反響を呼び多くの人々の注目を集めました。

Doveは長期にわたり「real beauty(=ブランドの意思)」に特化した広告を作り続けることによって、今ではReal beauty=Doveのイメージが浸透し、他社では使い難い印象が定着したといえるでしょう。

Dove「Real Beauty Sketches」

また、カンヌライオンズはアイディアオリンピックとおっしゃる佐藤さんが紹介されたIBMの「Smart Ideas for Smarter Cities」は、作品の中でちょっとしたアイディアを形にしています。こちらの作品も「TellingからDoingへ」を表現しています。


IBM「Smart Ideas for Smarter Cities」

その他、たくさんの受賞作品を取り上げ、その作品の意図を丁寧に解説していただきました。
最後に、佐藤さんは、素晴らしい作品に出合うこともさることながら、カンヌライオンズに参加することによって、普段出会うことのない人々との交流が刺激となり貴重な体験となるとお話されセッションを終了しました。

佐藤さん、ロフトワーク諏訪さん、弊社泉によるトークセッションでは、何万本と作って1本当たれば良いとされるアプリ制作と比較して、カンヌライオンズに応募して受賞を狙ったほうが確率が高いのでは?といった話も飛び出し、短い時間の中でしたが充実したディスカッションとなりました。

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ルグランでは、今後も、デジタルマーケティングに携わるみなさまの有益な情報源となるようなセミナーを多数開催していく予定です。最新情報は本ブログやニュースレターにてお知らせしますので、どうぞ、お楽しみに。

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