2012.6.07

コストと時間をかけて構築したウェブサイトが、自社のビジネスにどう貢献しているのかを知りたいと考えるのは当然です。それを把握するための代表的な手法として「アクセス解析」に取り組んでいる方も多いでしょう。

では、みなさんは、アクセス解析から得られる様々なデータを、どういう観点から分析・評価しているでしょうか?平均ページビューは、多い方が良いのでしょうか?直帰率が上がるのは良くないことなのでしょうか?

こうした問いに対し、アクセス解析の「神様」とも呼ばれるアビナッシュ・コーシック氏は「経済的価値(エコノミック・バリュー)」に注目せよ、と説いています。私が、この話をアビナッシュから直接聞く機会を持ったのは、今年2月に参加したSESロンドンの基調講演 でした。

多くの場合、ウェブサイトで最も重要なのは、売上あるいは購入・申込といった売上につながるアクション(=コンバージョン)であると考えられています。このため、1度の来訪から、売上やコンバージョンにつながる確率、つまり「コンバージョン率」を最大化することが至上命題と考えられ、サイト上には「買わせるための仕掛け」が張り巡らされることになります。

誤解の無いよう、念のため、書いておきますが、アビナッシュも売上やコンバージョンの意義や重要性を否定しているのではありません。ただ、直接的なコンバージョンに目を奪われ過ぎると、仮に3%のコンバージョン率があっても、97%は失敗、つまり「無駄な流入」であったということで片付けられてしまいます。

しかし、今日の消費者の購買行動はもっと複雑であり、私たち自身がサイトで何かを買う時の行動を振り返っても、1回の来訪で購入に至ることの方が少ないのではないでしょうか?それゆえ、最終的な購入につながる「小さな成果」を積み重ねていくことにも、実は大きな意味があり、だとすると、アクセス解析においても、そうした「小さな成果」をしっかりと測定・評価することが必要になってきます。

アビナッシュはこうした小さな成果を「マイクロ・コンバージョン」と呼び、例えば、「サイトで商品やサービスを紹介する動画を視聴した」「購入者・利用者のリビューを参照した」といった行動を、マイクロ・コンバージョンと位置付け、それらが、どのような形で最終的なコンバージョン(アビナッシュは「マクロ・コンバージョン」と呼んでいます)につながっていくのかを検証していくことこそが、アクセス解析担当者に課せられた使命であると言います。

そして、「マイクロ・コンバージョン」と、その積み重ねの先に実現する「マクロ・コンバージョン」を合わせたものが、ウェブサイトがビジネスにもたらす「経済的価値(エコノミック・バリュー)」と考えられる訳です。

Economic Value by Avinash Kaushik

今般、ルグランでは、こうした「経済的価値(エコノミック・バリュー)」に注目したウェブサイトの最適化や、その前提となるKPIの設定やアクセス解析の考え方を考えるセミナーを開催することにしました。セミナーでは、私から、この「経済的価値」の考え方について、更に詳しくお話をすると共に、星野リゾートのブライダル事業部門でWeb戦略を担当する深水善道さんや、ロフトワーク代表の諏訪光洋さんからは、ウェブ戦略の立案や全体最適のために必要なプロジェクトマネジメントのあり方について、お話を頂きます。

ぜひ、ご参加下さい!

『〜星野リゾート、ブライダル事業に於けるWeb戦略とは?〜 Web全体最適化のための「エコノミックバリュー思考」』
・日時:2012年6月22日(金) 14:30〜17:30(受付開始 14:00)
・会場:スタジアムプレイス青山 ビジョンホール 東京都港区北青山2-9-5  スタジアムプレイス青山(アクセス
・定員:80名(定員になり次第、受付を終了しますので、お早めにお申し込み 下さい。)
・主催:株式会社ロフトワーク/株式会社ルグラン

(by Rod Hiroto Izumi, Founder & Co-CEO, Le Grand)

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2012.5.24

既に実際に管理画面でご覧になった方も多いと思いますが、アドワーズでは今年4月末より品質スコアの透明性が向上 し、品質スコアの情報が詳しく表示されるようになりました。

[キーワード]タブから表示されるキーワードのステータスアイコンをマウスオーバーすると従来の10段階の数値スコアに加え、品質スコアの主な要素に関する個別の評価が新たに表示されていることが確認出来ます。

【品質スコアの詳細情報 (AdWords管理画面)】

今回の品質スコアの透明性向上により、品質スコア の主な決定要素である 「推定クリック率」、「広告の関連性」、「リンク先ページの利便性」の(他の広告主と比較した)相対評価を把握することが可能です。

相対評価は3段階(平均値、平均より上、平均より下)で表され、各指標の評価が”平均より上”であるほど、品質スコアの値は大きくなります。(なお、今回のアドワーズの機能変更では品質スコアや広告ランクの計算方法が変更されたわけではありません。)

先日のブログ記事(AdWords広告グループレベルでのインプレッションシェア)でもご説明した通り、掲載順位を決定する指標である広告ランクは主にキーワードの入札価格と品質スコアによって決まるため、入札価格を引き上げるまたは品質スコアを向上させることで、広告ランクが上昇し、広告の上位掲載が可能となります。

従って、品質スコアを向上させることが出来れば、入札価格を引き上げることなく広告の上位掲載が可能となるほか、既に上位掲載が出来ているキーワードに対してはクリック単価の低下が生じ、広告の費用対効果の改善にもつながるといえます。

従来は品質スコアの数値のみ表示されていたため、品質スコアが低い場合に、「主な決定要素のどれがボトルネックになっているか」といったところまでを明確に判断することは困難でしたが、今後はこれらの指標の相対評価を活用することで品質スコアを向上させるための具体的な改善案が立てられるようになります。

例えば、広告の関連性の評価が「平均より下」であるために(キーワードとそのキーワードを検索したときに表示される広告との関連性が低いために)品質スコアが低いとされている場合、そのキーワードに密接に関連した広告へ変更することで品質スコアの向上が可能となります。

具体的には、(広告自体は広告グループ単位で作成するため、一般的には広告グループ下の“複数の”キーワードに対して広告が設定されている状態ですが、)そのキーワードを別の広告グループで管理し、“個別の”キーワードに特化した広告を作成することで、キーワードと広告の関連性が向上し、結果的に品質スコアの向上が期待できます。

このように、品質スコアの透明性が向上したことで、品質スコア低下の要因特定、さらにその要因に応じた改善アクションを実施することが可能になったといえます。

(by Tatsuhiko Kuwahara, Consultant, Le Grand)

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