2012.5.24

既に実際に管理画面でご覧になった方も多いと思いますが、アドワーズでは今年4月末より品質スコアの透明性が向上 し、品質スコアの情報が詳しく表示されるようになりました。

[キーワード]タブから表示されるキーワードのステータスアイコンをマウスオーバーすると従来の10段階の数値スコアに加え、品質スコアの主な要素に関する個別の評価が新たに表示されていることが確認出来ます。

【品質スコアの詳細情報 (AdWords管理画面)】

今回の品質スコアの透明性向上により、品質スコア の主な決定要素である 「推定クリック率」、「広告の関連性」、「リンク先ページの利便性」の(他の広告主と比較した)相対評価を把握することが可能です。

相対評価は3段階(平均値、平均より上、平均より下)で表され、各指標の評価が”平均より上”であるほど、品質スコアの値は大きくなります。(なお、今回のアドワーズの機能変更では品質スコアや広告ランクの計算方法が変更されたわけではありません。)

先日のブログ記事(AdWords広告グループレベルでのインプレッションシェア)でもご説明した通り、掲載順位を決定する指標である広告ランクは主にキーワードの入札価格と品質スコアによって決まるため、入札価格を引き上げるまたは品質スコアを向上させることで、広告ランクが上昇し、広告の上位掲載が可能となります。

従って、品質スコアを向上させることが出来れば、入札価格を引き上げることなく広告の上位掲載が可能となるほか、既に上位掲載が出来ているキーワードに対してはクリック単価の低下が生じ、広告の費用対効果の改善にもつながるといえます。

従来は品質スコアの数値のみ表示されていたため、品質スコアが低い場合に、「主な決定要素のどれがボトルネックになっているか」といったところまでを明確に判断することは困難でしたが、今後はこれらの指標の相対評価を活用することで品質スコアを向上させるための具体的な改善案が立てられるようになります。

例えば、広告の関連性の評価が「平均より下」であるために(キーワードとそのキーワードを検索したときに表示される広告との関連性が低いために)品質スコアが低いとされている場合、そのキーワードに密接に関連した広告へ変更することで品質スコアの向上が可能となります。

具体的には、(広告自体は広告グループ単位で作成するため、一般的には広告グループ下の“複数の”キーワードに対して広告が設定されている状態ですが、)そのキーワードを別の広告グループで管理し、“個別の”キーワードに特化した広告を作成することで、キーワードと広告の関連性が向上し、結果的に品質スコアの向上が期待できます。

このように、品質スコアの透明性が向上したことで、品質スコア低下の要因特定、さらにその要因に応じた改善アクションを実施することが可能になったといえます。

(by Tatsuhiko Kuwahara, Consultant, Le Grand)

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2012.4.12

既にご存知の方も多いと思いますが、今年1月末よりAdWordsでは広告グループ単位でのインプレッションシェア のデータが見られるようになりました。

広告グループ>表示項目>競合指標>にて管理画面に表示させ、確認することができます。

【広告グループレベルのインプレッションシェア(AdWords管理画面)】

本データを有効に活用するため、まずは従来からあったキャンペーン単位でのインプレッションシェアについておさらいしたいと思います。
(なお、キャンペーン単位でのインプレッションシェアについてはヤフーにおいても2011年11月より新システムであるスポンサードサーチVer.3に移行されたことに伴い、確認することができます。)

そもそもインプレッションシェアというのは、広告が掲載され得る全機会に対して実際のインプレッション数が占める割合であり、文字通りインプレッションのシェアを表します。(キャンペーン>表示項目>競合指標>より見ることができます。)

【キャンペーンレベルのインプレッションシェア】

すなわち、上記の掲載結果の例で言うと、キャンペーンAにおいてはインプレッションシェアが19.24%となっていることから、このキャンペーンでは、広告配信できる全ての機会のうち約2割に、広告が掲載出来ているということになります。

言い換えれば残りの約8割の掲載機会は”何かしらの要因”によって、広告が表示されていないということになりますが、この要因特定に参考になるのがその隣にあるインプレッションシェア損失率(予算)、インプレッションシェア(広告ランク)という指標です。

これらを見ると、キャンペーンAではインプレッションシェア損失率(予算)が11.61%、インプレッションシェア損失率(広告ランク)が69.15%となっています。

つまり、広告が掲載出来ていない8割のうち、約1割はキャンペーンの予算制限によって広告が配信されず、7割は広告ランクが低いために広告が配信されていないということがわかります。

従って、仮にこのキャンペーンAのCV(コンバージョン)率が好調である場合には、キャンペーンの日額上限予算を引き上げることで1割の機会損失が解消されることになり、クリック数、CV数ともに増加することが見込まれると言えます。

一方、インプレッションシェア損失率(広告ランク)についてですが、広告ランクは主に、キーワードの入札単価と品質スコアによって決まり、これらの値が低い場合、広告ランク が低いと見なされ、広告が上位に掲載されません。

つまり、広告ランクが低すぎる場合、検索結果の1ページ目に広告が表示されない等といったことが生じ、これが広告ランク起因によるインプレッションの機会損失となります。逆に言えば、キーワードの入札単価を引き上げる(長期的には、リンク先ページの改善等によって品質スコア向上を図る)ことで広告ランクが向上し、機会損失を解消することができるということになります。

さて、上記の例で、現在好調なキャンペーンAの日額上限予算を引き上げたことによりインプレッションシェアを2割近くまで上昇させた上で、さらに広告の露出を広げたい場合、インプレッションシェア損失率(広告ランク)を解消するために具体的にどのキーワードの入札単価の引き上げを行えば良いのでしょうか。

ここで便利な指標として今回の新たにアドワーズに加わった広告グループのインプレッションシェアを活用することができます。

実際にキャンペーンAにおける広告グループレベルのインプレッションシェアを見てみると、最もコンバージョン率の高い広告グループにおいては既に、8割以上のインプレッションシェアを達成していることが分かります。

つまりこの広告グループAにおいては、入札価格を引き上げたところで広告の露出はそれほど大きく変わらないということになり、好調な広告グループにおいてはキャンペーンレベルでのインプレッションシェア(2割)にみるほど機会損失は生じていないといえます。

【CV率上位の広告グループのインプレッションシェア】

一方で、2、3番目にCV率が高い広告グループB、Cにおいては、インプレッションシェアがそれぞれ48.51%、27.96%となっていることから、入札価格を引き上げる広告グループとして候補に挙がるといえます。

このように広告グループレベルのインプレッションシェアを活用することで、よりデータに基づいた最適化が可能になるといえます。

(by Tatsuhiko Kuwahara, Consultant, Le Grand)

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