2013.4.12

今回は、Googleアナリティクスを活用したリマーケティング広告の設定や活用例について簡単にご紹介します。

昨年7月「Remarketing with Google Analytics」として米国にてベータ版が発表され話題になってから久しく、既に日本でも実際に運用されている方もいらっしゃると思います。

Googleアナリティクス(以下GAと表記)を利用されている方、AdWordsによるサイト集客を行われている方にとって有益なマーケティング施策の一つとして活用できる機能かと思いますので、ご活用をお薦めします。

【GAでリマーケティング広告を実施するメリット】

GAを活用する大きなメリットは次の2点です。
(1)GAの計測用タグでリマーケティングの計測機能をもつため、AdWords用リマーケティングタグの設置が不要。
(2)GAで計測できるデータを基にしたユニークなリマーケティング広告配信が可能。
以下では設定方法や運用例をご案内します。

【GAタグの書き換え】
(1)のメリットのためにはGAの計測用タグにリマーケティングの計測機能を持たせるためには、下記の通り一行のみコードの書き換えが必要です。
こちらにある通り、直接書き換える方法もありますが、GA管理画面より書き換えられたタグを取得することもできます。

【GA管理画面からリマーケティング機能を持たせたタグを取得】

GAログイン後、[アナリティクス設定]>[トラッキング情報]より下記[ディスプレイ広告主のサポート]をオンにすると、コードの赤で囲まれた一行部分が次のように書き換わります。
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<ディスプレイ広告主のサポート“オフ”>
「ga.src = (‘https:’ == document.location.protocol ? ‘https://ssl’ : ‘http://www’) + ‘.google-analytics.com/ga.js’;」
↓↓
<ディスプレイ広告主のサポート“オン”>
「ga.src = (‘https:’ == document.location.protocol ? ‘https://’ : ‘http://’) + ‘stats.g.doubleclick.net/dc.js’;」
——————————————————————————————————————–
書き換えられたGAタグを既存のタグと全て入れ替える必要はありますが、1種類のタグで済みますので、大きな手間はかからないかと思います。
これからGAアカウントを開設される方は将来的にリマーケティングへの活用も視野に入れ、初めからこちらのタグを設置することをお薦めします。

【GA管理画面側でのリマーケティングリスト作成】
GAタグの書き換え作業と同時にリマーケティングリストを作成しておきましょう。[アナリティクス設定]>[リマーケティングリスト]より作成を始めます。
ここで上記(2)のメリットを最大限活用します。

通常のAdWordsリマーケティング広告では、どのページに来訪したユーザーにどの広告を配信するか、という“シナリオ”作成が主な設定となりますが、GA情報を活用すると、「自然検索経由の来訪ユーザー」や「リピート回数○回以上の来訪ユーザー」、「来訪してきた検索ユーザーの中で検索クエリに「XXX」を含むユーザー」(=サーチリターゲティング)といった特定のユーザーのみをリストとして蓄積することができます。

【GA管理画面でリマーケティングリストを作成】
【GAデータを活用したリマーケティングリスト】

売上データも計測している方は、「売上○○円以上のユーザー」のみを蓄積することもでき、金額に応じて“ヘビーユーザー”や“ライトユーザー”にそれぞれ別の広告を届けることも可能です。[+新しいリマーケティングリスト]より一度見て頂くと、膨大な数の“シナリオ”を設定できることが分かります。

最後にGAと連携しているAdWordsアカウントの管理画面にて、AdWordsログイン後、[共有ライブラリ]>[ターゲットユーザー]からGAで設定したリストが共有されていたら設定は完了です。

【AdWords管理画面側でリマーケティングリストの共有、リスト蓄積を確認】

※リマーケティング広告が機能するには、最低100人のユーザーがリストに追加されている必要がありますので、GAのデータをみながら対象ユーザーが一定数存在することを確認の上、効果的なリストを作成してみて下さい。

最後に、リマーケティング広告の運用に関して個人的な意見を述べます。
リマーケティング広告を運用されている方の多くは、「サイト(お店)へ来たけどCVしなかった(購入しなかった)ユーザーへ再検討してもらう」ことを目的に活用されていますし、実際CV率が高く、効果があると認識している方が多いのではないでしょうか。。

一方で、今年の2月に開催されたSES London 2013でも言われていましたが「リマーケティング広告は一度サイトへ来訪して物を買わずに出て行ってしまったユーザーを刈り取るため、尻拭いしていることと同じであり、CV率が高いことが必ずしも良いということではない」という見方もあります。

また、「パーミションマーケティング」の視点から考えると、サイトに来訪したから、ユーザーのパーミション(許可)を得たとみなし、そのユーザーをすぐその日からリマーケティングで追いかけて良い、と果たして安易に考えてよいものかとも思います。
もちろんCV率が高いことはある意味でユーザーにパーミションを得たからこそ出る成果でもあると思いますので、これについては議論の余地はあります。

今回ご紹介したGAを活用したリマーケティング広告では、GAで取得できるデータを利用して、ある意味「ユーザーのパーミッションの度合い」に合わせて配信ボリュームやメッセージをコントロールすることができると思います。そういう観点でもこの機能を是非活用いただけたらと思います。

(by 桑原 達彦, Consultant, Le Grand)

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2013.4.05

去る3/27(水)、弊社は株式会社ロフトワーク と共催で「オンライン/オフライン広告~ボーダレス化が加速する今、考えるべきことは?」をテーマにしたトークイベントを開催、オン×オフ×クリエイティブエージェンシーのプロフェッショナルが集まり、激変する広告の現状とこれからについて語りました。

・モデレータ&amp;amp;パネリスト:

佐藤達郎 氏(多摩美術大学教授、カンヌ国際クリエイティビティ祭日本代表審査員)

・パネリスト:
稲本弾氏(AKQA
泉浩人(株式会社ルグラン)

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■オンとオフ、ボーダレス化を感じるのはどんなとき?
登壇者3名の自己紹介の後、こちらのお題からディスカッションがスタート。

オーバーチュアの立ち上げに参画し、デジタルマーケティング業界に長く携わる泉は、「脱・検索」がささやかれ、検索マーケティングだけでは上手くいかなくなっている、と言われ始めた2010年頃、クライアントからは検索以外の施策・提案を依頼され、この頃からオン/オフラインのボーダレス化が始まったように感じたと言います。

一方、米国のエージェンシーでの経験が長い稲本氏曰く、欧米ではオン/オフの区別はほとんどないとのこと。プロジェクトやキャンペーンを始める際は、オン/オフの代理店が集まってコンセプトからブレーンストーミングをし、アイディアを形にしていくのが主流だそうです。クライアント側の立場であれば、あくまでもプロジェクトの成功がゴールであり、そこにオン/オフのこだわりはありません。

また、AKQAでは、「広告代理店」と呼ばれることを好まないとのお話もありました。なぜなら、通常の広告代理店の領域は広告をつくること、と世間では認識されていますが、AKQAでは広告を作ることではなく、アイディアを出すことが仕事だと考えているとのこと。このお話に、会場ではあちこちでうなずく姿がみられました。

佐藤氏は、2012年のスーパーボウル(アメリカン・フットボールの全米チャンピオン決定戦)で流れたCoca Cola社のCMを例に挙げ、Facebookキャンペーンと絡めた斬新な手法で大きな話題となった同CMは、まさにオン/オフのボーダレス化だったとお話されました。

■オンとオフ、自分自身が感じる違いは?
続いてのお題に対して、まずは佐藤氏のご意見から。ここで”オフ育ち”の佐藤氏が語った内容は、オンライン広告に携わっている人間からすると、少し意外に感じた方も多かったようです。

それは、佐藤氏が大手広告代理店にいた時代、ネット系代理店と一緒にプロジェクトに取り組んだ際「クリエイティブ」という言葉の使い方に違和感を覚えたというもの。オフ側の人間からすれば、クリエイティブは、一から作ったものをさすのであり、工夫や新しい要素を入れなければクリエイティブとは言えない。しかし、オンの世界では、たとえば文字の大きさや文字数を変えるだけで「クリエイティブを差し替える」という表現を使い、「今でも慣れない」と苦笑されていました。

次に予算の考え方について、オフ/オンで違いがあるとお話されたのは稲本氏。特に日本では、「オンラインはコストがかからない、“ソーシャル”だから安く出来る」と考えるクライアントが多く、オン/オフに配分する予算に大きなギャップが生じています。米国では、効果を出すためには、オン/オフ関係なくコストがかかるという認識が日本よりは浸透しているのでは、ともおしゃっていました。

リスティングのプロである泉からは、オンラインでは“クリエイティブ”と呼ぶリスティングの広告文も、中にはテレビCMと同じ“クリエイティブ”と捉える人もおり、リスティングの広告文でさえ、社内の承認プロセスにこだわり、クイックに対応できないときにギャップを感じる、と話していました。

■オンとオフのボーダレス化時代を生き抜くのに必要なポイントは?
最後は、マーケターなら是非とも押さえておきたいポイントについてを、登壇者3名、それぞれの視点から語っていただきました。

泉:
「思い切って領空侵犯をしてみよう! 」

デジタル(オン)の領域の人は、自ら境界線を設けず、もっとオフの知見を得る姿勢を持ったり、オフの領域に踏み込んでもいいのではないか?なぜなら領域を超えた時に新しいビジネスが生まれるのだから。

稲本氏:

「シンプルに考える姿勢」
オン/オフという考え方に束縛されず、原点に立ち戻りシンプルに考える姿勢が必要。大事なのは人々に響くシンプルなアイディア。
「ボーダレスな姿勢」
日本だけでなく、世界にも響く国境を越えるという意味のボーダレスな姿勢も重要。
シンプルでわかりやすく心に響くアイディア。そこにオン/オフの区別はない。

佐藤氏:
「従来の自分の考え方にこだわらない」
「新しいサービスを毛嫌いせずにコンシューマーとして向き合う」
「変化を楽しむ姿勢」

■会場全体がインタラクティブに!~質問タイム
後半は参加者の皆さんからの質問が書かれた紙を壁に貼り、登壇者がピックアップして回答するという方式で進められました。質問内容は、前半のディスカッションに関することから、施策に関連したお悩みまでたくさん寄せられ、イベント終了時間が過ぎても、しばらくは登壇者と参加者の白熱したディスカッションが続き、内容の濃いトークイベントとなりました。

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今回のテーマをより深く掘り下げたワークショップ『「オン」から「オフ」へ~激変する広告の目線を学ぶ』が4/10より全3回にわたり開催されますので、こちらも是非ご参加ください。
お申込みはこちら

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