2008.10.02

Yahoo!側の主張によると、グーグルとヤフーの広告提携は独占では無く、あくまでもオープン化の第一歩と言うことになります。

yahoo_google

今年の6月あたりから、ネット広告業界のニュースをにぎわせているグーグルとヤフーの広告提携ですが、このニュースに関してはGoogle、そしてつい最近ではYahoo! Inc.共にネット上にオフィシャルコメントが配信されてましたが、それぞれの契約に対するニュアンスは微妙に違う様に受け取れます。

Facts about the Yahoo-Google advertising agreement(英語)
http://www.google.com/yahoogooglefacts/

Myth-busting and the Yahoo!-Google agreement(英語)
http://ycorpblog.com/2008/09/26/myth-busting-and-the-yahoo-google-agreement/

Yahoo! Inc.の社長Sue Decker氏は自社のブログにて正式な声明を発表しました。それによると、Googleとの契約について、多くの憶測や噂が飛び回っているが、明確にしたい事は二つあると語り、以下の2点をあらためて強調しました。

1)オンライン広告マーケットの中でさらにYahoo!ブランドの競争力を強化する
2)Yahoo!は検索連動型広告市場から撤退するつもりは無い

また、一部の報道ではこの契約によりGoogleは検索連動型広告市場の90%をコントロールする事が可能になるとも報じられている件についても、まったくの誤解であるとしたうえで、今回の契約により、逆に今迄Yahoo!での広告配信をYahoo!が独占していた状況を他のネットワークからする事ができるようになるのは、検索連動型広告の“オープン化”の始まりと言う捉え方をして欲しいと語っています。

確かに最近のYahoo! Search Marketing(旧US Overture)の大きなニュースとしては、2007年のPanamaを上回る大きなプラットフォームの刷新(米国のみ)といわれている “APT”(http://www.ysmblog.com/blog/2008/09/24/apt-to-change/)が一部の新聞社系の配信パートナー向けにローンチしていますが、これはYahoo! Inc.版アドネットワークとも言われているとおり、広告ネットワークのオープン化のプラットフォームと言われています。しかしながら、2007年の SES San Joseでは大きく取り上げられていたAd Networkも2008年になって話題が今ひとつ盛り上がっていない感じがします。

対照的にGoogleのサイト上の発表内容はGoogleらしいと言うべきなのか、Sueのような広告主への釈明メッセージではなく、プレゼンテーション資料がリンクされていて、そこには淡々と事実が書かれているほか、Yahoo!のサイトではまったく話題になっていないGoogleとYahoo!メッセンジャーサービスの互換性についての発表が取り上げられています。

これもGoogle特有の騒ぎを沈静化させる為の作戦なのでしょうか?明確な答えはわかりませんが、日本でも米国でも過去にはYahoo!の検索結果にGoogleの検索連動型広告が表示されていた事を考えると、始まってしまえばそれほど違和感は無いのかもしれませんね。

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2008.7.31

前回、クリック率に代表される広告の「品質」の低い広告に対して、高い最低入札価格が適用されるのは、検索サイトが広告主に対して課す「ペナルティ」のようなものだ、というお話をしました。

一方で、広告主の貴重な予算が、コンバージョンにつながりにくい「品質」の低いクリックによって費消されてしまわないよう、オーバーチュアやグーグルが、広告の配信先に対しても、しっかりとした「品質」管理が行うことが重要になってくる訳ですが、この点について、インターネットの掲示板などを見ると、一部の広告主の間から、不安の声が上がっているようです。

話題になっているのは、「アービトラージュ」とよばれる、「鞘取り」を目的としたサイトの増加です。「アービトラージュ」というのは、金融取引などで良く用いられる用語で、例えば、異なる国や市場の間での、金利や為替レートの差がある場合に、そこから利鞘を稼ぐ取引を意味します。

下図はこうした「鞘取り」を目的としたと思われるサイトの一例です。

example

アドワーズで「HD修復」というキーワードを検索し、そこに表示された広告の一つをクリックしたところ、このサイトが表示されました。ところが、よく見ると、このサイトもまた検索サイトで、検索結果として表示されているのはオーバーチュアの広告です。また、検索窓を見ると、このサイトでは、アドワーズの検索に使われた「HD修復」ではなく、「ハードディスク復旧」というキーワードが検索されたことになっています。

こうしたサイトでは、自社のサイトで表示するオーバーチュアの広告がクリックされた場合に、クリック単価の一定割合を配分して得られる収益と、「HD修復」というキーワードに対してアドワーズに支払うクリック単価との差額を利用して「鞘取り」を行っていると考えられます。従って、オーバーチュアにおいて、よりクリック単価の高いキーワードに対する広告を表示した方が、当然、利鞘は大きくなります。

アドワーズで「HD修復」というキーワードをクリックして来訪したユーザーに、「ハードディスク復旧」というキーワードに入札しているオーバーチュアの広告を表示しているのも、そうした事情があるのではないかと思われます。

もちろん、最終的には、広告主が期待する費用対効果が実現できていればよい訳ですし、少しでも多く広告収入を稼ぎたい検索サイトと、少しでも安く集客をしたい広告主の利益が相反する場合に、どこでバランスを取るかは、オーバーチュアやグーグルなど、検索連動型広告を提供する事業者が判断すべき問題です。

ただ、こうした「鞘取り」サイトが増殖を続けた場合、例えば、費用対効果の観点から、あえて「HD修復」というキーワードへの出稿は避け、「ハードディスク復旧」というキーワードをオーバーチュアにだけ出稿していたとしても、実際には、アドワーズで「HD修復」というキーワードを検索したユーザーに広告が表示される、といったことが頻繁に発生することになります。

個々の検索キーワードに隠された検索ユーザーの意図を推し量りながら、ターゲットとするユーザーにだけ広告を表示させることで、費用対効果の高い集客ができるという点が検索連動型広告の大きなメリットであることを考えると、入札したキーワードが実際には検索されていないにもかかわらず、広告が表示されてしまうことには、違和感を覚える広告主もいるのではないでしょうか。

広告が掲載される条件を広告主が主体的にコントロールできないという点では、コンテンツ連動型広告と同じような仕組みと考えることもできます。とすれば、コンテンツ連動型広告と同様に、広告主が、そうした広告の表示を希望しない場合には「オプトアウト」できたり、「ドメインブロック」のように、広告の配信先を広告主が主体的に選べるような仕組みが、あわせて提供されれば、広告主としては、より安心して広告の出稿ができるのではないかと思います。

みなさんはどのようにお考えでしょうか?


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