2010.11.01

先日、米国で放送された”Bloomberg Game Changers”というドキュメンタリー番組で、Googleの共同創業者セルゲイ・ブリンとラリー・ページの二人が採り上げられました。

Bloomberg Game Changers: Sergey Brin & Larry Page
http://www.bloomberg.com/video/64111786/

全編約48分かつ全て英語ではありますが、検索業界で仕事をしている方、Googleの生い立ちから、現在および将来の課題までを簡単に知っておきたい、という方には、一見の価値のあるドキュメンタリーだと思いますので、本ブログでは、その概要とあわせてご紹介をしたいと思います。

Sergey Brin and Larry Page

【二人の生い立ち】
・セルゲイは当時のソビエト、ブリンは米国ミシガン州で、ともに1973年にユダヤ人の家庭に生まれる。
・セルゲイの父親は数学者であったが、ワルシャワでの国際会議に参加した際、西側の科学者と交流したことをきっかけに、セルゲイが6歳の時、米国への移民を決意。
セルゲイへの父親の教育方針は「絶対に1番になれ」
・ラリーの父親は、一族で初めて大学に進み、その後、コンピューターサイエンスの教授となる。

【大学時代】
・スタンフォード時代の指導教官によると、二人の性格は「セルゲイは、ノックもせずに教授の部屋にいきなり乱入してくるタイプ。ラリーも、部屋に乱入はしていくるが、一応、その前にノックだけはするタイプ」とのこと。
・当時の検索エンジンは、レスポンスも遅く、かつ品質も低かった。「Alta Vistaで”Alta Vista”というキーワードで検索しても、Alta Vista自身が検索結果に表示されないというありさま。
・これに対し、二人は、まず世の中の全てのウェブサイトをダウンロードして、そこから効率的な検索につながる何らかの「パターン」を見つけようと考えた。
・その結果、行きついたのが「外部リンク」をサイトの評価基準として利用すること。
・サービスの名称は、膨大なデータを整理するというところから「10の100乗」を意味する「Googol」を文字って、「Google」と命名。
・当初は、スタンフォード大学のネットワークの中で立ち上げたが、あっというまに、学校全体のネットワークのリソースを使い切ってしまい問題に。

【Googleの船出】
・本格的なサービスとして開発を進めるには資金が必要ではあったが、当初、投資家達は「6番目の検索エンジン」の必要性には懐疑的であった。
・そんな折、スタンフォードのキャンパスで偶然出会ったアンディ・ベクトルシャイム(サン・マイクロシステムズの共同創業者)に、約20分間のデモを見せたところ、その場で10万ドル(約850万円)の出資を受けることに。(ところが、この時、グーグルは法人を設立しておらず、小切手を換金するための銀行口座も無かった。)
・その後、最終的には100万ドル(約8,500万円)の資金調達に成功するが、その中には、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏からの25万ドルも含まれていた。

Original Googleplex

・この資金を元手にオフィスを作い、社員の採用も開始。
・優秀なエンジニアを採用するため、入社を希望する者に対しては、全員SAT(日本でいうとセンター試験のようなもの)の成績表の添付も義務付けられていた。
・この頃になると、有力ベンチャーキャピタルであるKPCB・セコイアからもアプローチを受けるが、セルゲイ・ラリーはVCに過剰にコントロールされることを嫌いVCからの「単独出資」の条件は拒絶したが、それでも25万ドル(約21億円)の調達に成功。だが、売上は全くあがっていない。。。
・当時、セルゲイもラリーも、Googleのビジネスを、広告収入に依存するモデルにはしたくないと考えており、特に、検索の品質改善を追求していた二人にとって、検索結果がお金(広告)でコントロールされるということも許容することはできなかった。
・だが、最終的には検索連動型広告「AdWords」のシステムを提供することで、Googleの本当の躍進が始まることになる。(注:検索連動型広告というビジネスモデルを世に広めたのは、オーバーチュアを創業したビル・グロスだが、その点について、このドキュメンタリーの中では言及されていない。。。)
・2000年には10億ページをインデックスする巨大な検索エンジンとなったが、一方で、Googleを創業したのは誰なのかということは、当時、世の中には殆ど知られておらず、このビデオの中では、セルゲイ自身が、「本物は誰だ?」のような番組に出演していた様子も紹介されている。

【急成長そしてIPO】
・Googleが急速な成長を始めるにつれて、出資していたベンチャーキャピタルは、巨大企業の舵取りができるプロの経営者が必要だと考え始めた。
・セルゲイもラリーも、自分達で経営はできると考えていたが、最終的にはベンチャーキャピタルの説得に負けて、外部から経営者を招聘することに合意。
・その過程で、実はスティーブ・ジョブズにも、CEO就任を持ちかけていたというエピソードが紹介されている。
・最終的には、現在もCEOであるエリック・シュミッド氏が就任することになる。
・2004年には株式公開も果たし、時価総額230億ドル(約2兆円)の巨大企業が誕生。

【成長と挫折】
・Gmailは、Googleのエンジニアリング気質が生み出した秀逸なサービスではあったが、その技術先行の姿勢が災いし、サービス提供と同時に「Googleがメールの中身を見ているのでは?」というユーザーの疑念をも招くことになり、その後、今日まで、Googleは「プライバシーの保護」という問題と戦い続けることになる。
・Android携帯や、Chrome・Google Docなど、次々の新たなサービスを展開していく中で、アップルやマイクロソフトも敵に回すことになり、ついにはGoogle自身が、その大きさゆえに「市場を独占しようとしているのではないか?」という疑念や批判を浴びる存在になっていく。
・一方で、「ソーシャルメディア」的なサービスの投入には成功しておらず、フェイスブックのような新興勢力に足元を脅かされつつもある。
・中国進出にあたっては、当局からの検閲要請を受け入れるという苦渋の決断も。(セルゲイ自身は、かつて父親が、旧ソビエトの共産党政権による検閲に苦しんだという過去もあり、彼自身にとっても苦渋の決断であったとのエピソードも紹介。)
・セルゲイもラリーも結婚して、それぞれ一児の父親に。ただ、セルゲイは、パーキンソン病を発症する可能性の高い遺伝子を持っていることが判明。
・そこで、パーキンソン病の治療方法を解明するために、資金や自身の遺伝子情報を提供するほか、研究開発にコンピュータサイエンスの手法を取り入れるといった取組にも積極的に関与。

(by Rod Hiroto Izumi, Founder & Co-CEO, Le Grand)



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2010.9.15

supercharge

毎年SESに参加して驚かされることは、世の中にてこれだけインターネット検索やオンラインマーケティングが一般化されてきているにもかかわらず、SESの会場には常に新しくオンラインマーケティングに参入する広告主やマーケターが絶えず来ている事です。そして、イベントの主催者となるSES側でも各セッションで新しいマーケティング手法やトレンド情報を提供しながらも、必ずSEMの手法や考え方についての基本を押さえたセッションが用意されていると言う事です。

もちろんSEMに長年携わってきているルグランのスタッフでもこれらのセッションは基本に戻る為の良い機会でもあり、また、世の中の広告主の方の悩みや考え方に生で触れる絶好の機会でもあります。今回レポートする「10 Things To Supercharge Your SEM Campaigns 」もそんなセッションの一つで、SEMに初めて挑戦するビギナーから、エキスパートまで幅広いユーザー層が参加しているセッションとなりました。

英語のタイトルを分かりやすく訳すと、この記事の題名にもあるように「SEMキャンペーンをスーパーチャージする為の10カ条」と言う事になるかと思いますが、本当に馬力アップが可能かどうかは別として、その内容にはこれまでルグランでも日々の運用にて実施している手法もあり、あらためて基本の重要性を認識する事ができました。

では、さっそく10カ条の内容に入りたいと思います。

1)テストする事が重要、そして常にすべてをテストする意識を持つ。たとえば、広告テキストの文言を使ったA/Bテストは検索連動型広告ではもう当たり前となっていますが、リンク先のサイト上のボタンのラベル表示や色、イメージの内容までテストを行い、結果を見極める事が重要です。いかに優秀なマーケターであってもすべての答えを最初から持っている訳ではありませんので、ユーザーの動向やサイトへのフィードバックを入手する為のテストを行う事が重要です。

2)検索連動型広告とリマーケティング(リターゲティング)広告を併用する。前回もこのブログの投稿記事にてリマーケティングついてご紹介をさせて頂いていますが、一般的にサイト訪問者の97パーセントはコンバージョンに至らずサイトから離脱していきます。どんなに優れたサイトを構築しても、今まではこれらのユーザーに対して指をくわえて見過ごしている状況が多かったのですが、検索連動型広告経由で訪問したユーザーを特定したリマーケティング広告の導入により、損失する可能性があったコンバージョンを発生させる事が可能となります。

3)コンテンツ連動型広告と検索連動型広告を併用する。特にグーグルアドワーズ広告が提供するコンテンツ連動型広告などは近年そのマッチング精度の向上だけではなく、細かいターゲットの指定や広告を表示するサイトやネットワークのターゲット指定などが可能となり、広告主にとっても利用価値が高まっているように感じられます。自社のブランディングにも有効な広告手法ですが、覚えておきたい大事な基本としては、必ず検索連動型キャンペーンとは別のキャンペーンを作成する事により、予算の配分や細かい設定を個別に行います。

4)検索連動型広告の広告グループ設定の見直しを怠らない。ご存じのとおり、広告グループの構成はクリックコストに直結するため、常に掲載状況を確認して見直しが必要となる広告コンポーネントです。また、広告グループのパフォーマンスは色々な要因で変動するので、一時の結果に満足したり、失望するのではなく、その都度対策を打つ必要がある事を認識します。

5)リンクビルディングは近道をせず基本に忠実に。リンクはお金で買うものではなく、リンクは他のサイトとの関係を深める事により成長していくものだと認識しましょう。自社サイトと外部ベンダー、提携パートナー、店舗、ユーザー、友人、カスタマーとの関係により、リンクを成長させていく事が大事です。

6)SEOの為のコンテンツ作成には、コンテンツの内容が重要である。むやみにコンテンツを増やすのでは無く、あらかじめコンテンツのロードマップを作成する事でサイトの方向性が固まり、地道な努力を惜しまず最低でも1日1ページのコンテンツを作成する事を目標とする事の積み重ねでサイトは成長していく。

7)タイムリーで季節感のあるサイトプロモーションを行う事が大事。実店舗にて商売をされている広告主にとっては当たり前かもしれませんが、多くの場合この考え方がオンラインの店舗のプロモーションに適用されていない場合があります。同じ商品でも、季節感を用いる事で、売り方のバリエーションが増え、異なる側面から顧客のアプローチが出来る良い機会となります。また、10カ条の一番目にあるテストの重要性を理解して、これらのプロモーションのバリエーションもテストの一つとして考えると良いでしょう。

8)顧客との対話を大事にする。これもまた実店舗にて商売をされている広告主には当たり前の事なのかもしれませんが、店舗に来店されたお客様にはそれぞれのニーズがあり、求めているサービスも異なり、売り手側はコミュニケーションを取りながら接客をする事になります。

残念ながら、オンラインの店舗にて見込み客に対してワンツーワンのコミュニケーションを取るのは難しい事ですが、ユーザーがサイトにたどりついた経緯を把握し、情報を利用する事で顧客に対してカスタマイズされたメッセージを送る事が可能となります。たとえば、広告テキストにてキーワードインサーションを活用したり、リマーケティング広告にて顧客の行動履歴を盛り込んだメッセージを表示する事でサイト訪問者の数を増やし、訪問した顧客の満足度を高める事が可能となります。

9)ツールを使った情報収集を行う。たとえばすっかり有名になったグーグルインサイトを使って、話題となっているキーワードを把握して、そのワードの出現がピークとなる時期をあらかじめ見越したキャンペーンを展開する事が可能となります。また同時に対象外となるべきキーワードの洗い出しも可能になるので、オンラインマーケターはぜひ活用するべきツールです。

10)最後は今話題となっているソーシャルメディアの活用となります。ソーシャルメディアの中にある情報はSEMキャンペーンにとっても有意義な情報がたくさんあります。ここではいきなり自社のサイトでソーシャルメディアと取りいれるのでは無く、まずは最初の一歩としてソーシャルなサイト上にて、上手な聞き手になる事をお勧めします。ソーシャルメディアにて日々行き来している情報は、グーグルアラートツイッターサーチやその他のツイッターアプリを使う事で簡単に入手する事ができるので、グーグルインサイト同様にブレイクしそうな情報をいち早くキャッチするのに有効な手段となります。

いかがでしたか?かなり長いリストになってしまって、一気に飲み込むのは大変かもしれませんが、一つ一つを着実に実行する事によって、SEMの基本知識を深める事ができると思うので、ぜひ自社のキャンペーンにもこれらの考え方を導入してみては如何でしょうか?

(by Kenta Umezu, Chief Operating Officer, Le Grand)



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