2008.5.01

嘘のような本当のお話です。

これはアメリカのフロリダにあるオリオン銀行(Orion Bank)という銀行が、オリオン住宅金融(Orion Residential Finance)という会社を相手に、「オリオン銀行」という商標を巡って起こした裁判で下された判決です。

この中で、裁判所は、オリオン住宅金融に対して、「オリオン」という名称を広告などに使用することを禁ずると共に、検索連動型広告を利用する際には「オリオン」という言葉を対象外(除外)キーワードに登録することを命じています。原文(英語)の記事はこちら

ここまで読んでピンとこない方は、検索連動型広告の管理・運用担当者としては、ちょっと勉強不足かもしれません。(笑)

そんな方のために解説しますが、もしオリオン住宅金融が、「住宅ローン」というキーワードを部分一致で入札している場合、検索ユーザーが「オリオン 住宅ローン」と検索すると、オリオン住宅金融の広告も表示されてしまいますよね?そこで、裁判所はこれを禁ずるための手段として、オリオン住宅金融に対して、検索連動型広告を利用する際には「オリオン」という言葉を対象外(除外)キーワードとして登録するよう命じたという訳です。

この判決は、オリオン銀行とオリオン住宅金融とのケースにのみ適用されるものではありますが、もし今後、広告主は、他社の登録商標に入札しないだけでは済まされず、それらを対象外(除外)キーワードにも登録しておかないと訴えられる可能性もある、ということになれば、広告の管理は非常に煩雑なものになり、検索連動型広告の利用自体を阻害する可能性もあります。

また、オーバーチュアやグーグルなど、検索エンジン側では、収益の拡大を目的に、部分一致の適用範囲を積極的に拡大し、検索キーワードと広告文やサイトのコンテンツに関連性があると認められれば、入札キーワードと必ずしもマッチングしていなくとも広告を表示するということも行っていますが、こうした戦略も見直しが迫られることになるかもしれません。

とはいえ、対象外(除外)キーワードが判決に登場してしまうことに、日米間の検索連動型広告に対するリテラシーについて彼我の差を感じてしまうのは私だけでしょうか。。。


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2008.2.14

弊社が開催するセミナーやワークショップなどでは、目標とする獲得コストやROIを達成するためには、リスクの高いキーワードと低いキーワードをバランスよく出稿する「ポートフォリオ管理」が重要だというお話をしています。

一般にビッグキーワードは、検索キーワードに託された検索ユーザーの意図も絞りにくいため、コンバージョン率(=成約に結びつく確率)は低いとされています。一方で、言葉の概念が広い分、色々な場面で頻繁に使われるため検索回数も多く、また多くの広告主にとって利用価値があるため、クリック単価も高くなりやすいという特徴があります。

これに対しスモールキーワードからは、検索ユーザーの意図が容易に推し量れるため、自社のサイトや商品に関連の高いキーワードを選べば、高い成約率が期待できる一方、利用できる広告主の数は限られている分、クリック単価は安くなる傾向があります。こうしたキーワードをポートフォリオに加えることで、全体のクリック単価や獲得コストを引き下げる効果が期待できますが、検索回数が少ないため、ある程度、まとまった数を出稿しないと、目に見える効果は期待できないという難しさもあります。

これらの基本原則をまとめると、次のようになります。

Rules

ところが、物事には常に「例外」もあります。

例えば「データ復旧」といったキーワードは、検索回数も多く、クリック単価も高いという点では、一般的にビッグキーワードと考えられますが、このキーワードからのコンバージョン率(%)が2桁に達することは珍しくありません。なぜでしょうか?

これは「データ復旧」というキーワードで検索をする人は、パソコンのハードディスクがクラッシュするなどして、必要なデータが失われかけているという「危機的」な状況にある人が多いため、検索して見つけた業者の中から、どこかを選んでサービスを申し込む可能性が極めて高いため、と考えられます。

従って、自社にとって適切なポートフォリオを作り上げるためには、いつも申し上げていることにはなりますが、効果測定をしっかりと行い、それぞれのキーワードからのコンバージョン数や獲得コストをしっかりと把握しておくことが重要です。


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