2014.4.03

SESでは、以前からWEB解析に関するセッションが頻繁に開催されています。

ただ、これまでは、Google Analyticsの操作や設定方法など、テクニカルな話題が中心であったのに対し、今年のSESロンドンでは、WEB解析についても、様々な『顧客理解』の手段一つと位置付け、顧客の興味や関心、購買意向などを、Google Analyticsからどこまで読み解けるのか、というテーマを中心に話が進みました。

登壇したDara Fitzgerald氏は、英国でWEB解析などの分析サービスを専門に提供するMeasurelab社の分析担当ディレクターで、アトリビューション分析の可能性と限界について話をしました。

【Measurelab社のFitzgerald氏】

まずはGoogle Analyticsの「マルチチャネル分析ツール」や、「アトリビューションモデル比較ツール」などの機能について解説しつつ、複数のメディアやセッションを経てコンバージョンに至った場合の成果配分に関する考え方を紹介。

また、Google Analyticsプレミアム(有償版)を利用している場合には、独自のアルゴリズムにより過去のコンバージョンの発生パターンを解析し、最もふさわしいと思われる成果配分ルールを自動的に算出してもらうことも可能といった点にも話が及びました。

一方で、Fitzgerald氏は、アトリビューション分析だけで、『カスタマージャーニー』の全てを分かった気になってはいけないとも警鐘を鳴らします。

たとえば、認知の向上を目的に実施されたディスプレイ広告によって、リアル店舗への来店や購入が増えたといった軌跡を、アトリビューション分析で把握・検証することはできません。

あるいは、一人のユーザーが、個人のスマホ→会社のPC→自宅のPCを経て、ネットで購入に至ったといったケースでも、全ての行動がネット上で完結しているにもかかわらず、Cookie情報が分断されてしまうと、アトリビューション分析にできることは限られます。

また、リピート購入が想定されるような商材の場合も、初回購入までの足跡はトラッキングできたとしても、その後のリテンション施策の効果分析などは、アトリビューション分析では対応できません。

【アトリビューション分析の限界とは】

こうした問題の解決には、別途、検証のためのテストを行うことが重要であり、例えば、ディスプレイ広告の実施時期やメッセージなどを変えながら、実店舗での来店・売上の変化を見ることで、両者の因果関係を特定するといった努力が不可欠になります。

最後にFitzgerald氏は、『アトリビューション分析とは、戦略を教えてくれるものではなく、戦略を考えるための示唆を与えてくれるものである。』と結んで、講演を終えました。

弊社でも多くのクライアント様に対し、『マーケティング戦略を考えるために必要な情報や示唆を得る。』ことを目的にWEB解析やCRM分析、ソーシャルリスニングなどのデータ解析のお手伝いをさせて頂いております。

様々なデータを顧客理解につなげたいが、どうすれば良いか分からない、社内のリソースに限界があって対応が難しい、といったお悩みをお持ちの方は、どうぞ、お気軽にご相談下さい。

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2014.3.27

SESで取り上げられるSEO対策といえば、かつてはリンクビルディングやアルゴリズムに関するテクニック的なテーマが主流でした。

しかし、近年は、Googleの検索アルゴリズムも、サイトに掲載されているコンテンツの内容や質を重視する方向に大きく舵を切る中、SESにおいても、『検索エンジンに評価されるためのコンテンツ作り』に関するセッションが増えています。

OPTIMIZE 』というという書籍の著者でもあるLee Odden氏は、SESロンドンをはじめ、世界各国の様々なイベントで、コンテンツマーケティングに関するセッションには、度々登壇しているスピーカーです。

【昨年に続きSESロンドンに登壇したLee Odden氏】

今年のSESロンドンのセッションテーマは『Influence the Influencers』で、インフルエンサーの力を借りて魅力あるコンテンツ作りをするためにはどうすればよいのか、というお話でした。

まず冒頭でOdden氏は、英国企業の94%が何らかの形でコンテンツマーケティングに関する施策を実施しており、更に、2/3の企業が今後1年以内に、コンテンツマーケティング関連の予算を増やす意向であるといった数値を紹介した上で、もはや、コンテンツマーケティングを「やっている」というだけでは差別化にはならないという点を強調。

また、コンテンツマーケティングを単なるSEO対策の手段と考える人たちの中には、『質より量(More is better.)』という考え方を捨てきれない人も多いが、これからは、『人々が有用と考える情報を提供できているかどうか』が、コンテンツの優劣を決め、差別化の大きな要因になると話しました。

ただ、そうした情報やコンテンツを、毎回、ゼロから自力で作り上げることは容易ではありません。もし、その業界やテーマについて影響力のある人を巻き込み、そうした人々にコンテンツを書いたり、提供してもらったりすることができれば、それは、影響力や注目度の高い情報を効率的に発信するための有効な方法となり得ます。

一方で、そうしたインフルエンサーの協力を得るためには、彼らに協力したいと思わせるような場所や機会を提供できなければなりません。ここでOdden氏はイベントを例に次のような話をしました。

たとえば、自らが主催するイベントに、有名人や著名人をゲストスピーカーとして招くことができれば、イベントの注目度はあがり、多くの集客も期待できるでしょう。

一方で、そのイベント自体が、話をする価値がある魅力的な場、つまり、そこで話をすることで、インフルエンサー達の影響力が更に増す可能性がある場、だと思ってもらえなければ、忙しい彼らに登壇してもらうことは難しくなります。

【インフルエンサーにインフルエンスを与えるにはどうすればよいか?が今回のテーマ】

最後にOdden氏は、今後のコンテンツマーケティングが向かうべき方向性について、

“It’s About Being the Best Answer for Customers.”
『現在および未来の顧客に対して、彼らの疑問や悩みに対するベストアンサーとなるようなコンテンツであるか』

を判断基準として、量ではなく質の高いコンテンツを提供することが必要と結んでセッションを終えました。

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