2011.8.30

今年も盛況の内に閉幕したSESサンフランシスコ2011で気になった今後注目のトレンドとして、クラウドソーシングを活用したオンラインマーケティングについて、いくつかの企業の提供するサービスを例に紹介したいと思います。クラウドソーシングとは、英語の”CROWD”=群衆と言う言葉から来ている造語ですが、ウエブの利点を利用して、不特定多数の人に業務を委託するという新しい雇用形態として、ネットビジネス以外の分野でも注目されています。

既に米国ではグーグルの新アルゴリズム”パンダ”がSEOのランキングに大きな影響を与えていると言う状況にて、パンダが元々取り締まりの標的とした、いわゆるコンテンツファームサイト以外にも、ショッピング検索エンジンや、オリジナルコンテンツに乏しい、シンディケートされたコンテンツにより構築されているウエブサイトはことごとくランキングに悪影響が出ている状況です。

パンダアルゴリズムの大きな目的は、内容の薄いリンク集や外部リンクの為に作られた自動生成サイトを摘発する事ですが、サイトのテキストの内容を解析して、正しい文法の文章が使われているか、サイトのコンテンツの所有者であるのかと言う点までが、解析の対象となっていると言われています。これにより、他のサイトからコンテンツを勝手に流用(盗用)しているサイトや、正式なシンディケーションを受けているサイトでも、オリジナルコンテンツでは無いと言う理由によりSEOのランキングが落ちてしまう場合があります。

米国ではこの対策の為に、改めてオリジナルコンテンツを制作する事の重要性が見直され、さらに文章の質まで問われる事態に対応する為に、優秀なウエブ専門ライターの確保がサイト運営者側の課題となっています。今回SESの展示会場にて訪問した企業の一つ、「Servio Media」はクラウドソーシングを利用したコンテンツ制作サービスを提供するウエブサイトのコンテンツソルーションベンダーです。多種多様のクライアントのニューズに答えるには、専門知識をもったライターを社員として雇用するのではなく、ソーシャルメディアやオンライン広告を通じて専門知識をもったウエブ専門ライターをリクルーティングする方法をとっています。これにより、業種だけではなく、さまざまな言語のコンテンツ制作にも対応が可能となるのも利点の一つ言われていました。

Servioのサイトにはクラウドソースをリクルートする
為のサイト「CloudCrowd」への誘導もある

一方PPC広告の最適化に特化したクラウドソーシングベンダーとして、2010年にサービスを開始した「Trada」は、今年もSESの展示会場にブースを構え、私の参加したセッション”The Tools of the Trade for PPC”でもPPC広告の運用ツールの一つとして紹介されていました。このサービスの優れている点は、クラウドソーシングと言う人力に頼るサービスを、専用のウエブインターフェースを使い、最適化されたPPC広告キャンペーンをオンラインで管理できるシステムを構築している点です。他のツールベンダーと違い、最適化をアルゴリズムやテクノロジーに任せるのではなく、優れたノウハウを持った人の知識の掛け合わせによって、広告キャンペーンを最適化していく点は、ある意味では、弊社の広告キャンペーン運用にも当てはまる点があるので、共感を持ちました。

TradaのクラウドソーシングPPC最適化サービス概要ビデオ(英語)

また、一風変わったサービスとして、今回初めて話を聞く事が出来たのが、オンラインで募集をかけたパネルを対象とした、ユーザーインサイトやユーザービリティ調査するサービスとして立ち上がった「Userlytics」です。このクラウドソーシングを利用したマーケティングリサーチ企業の優れた点は、他のクラウドソースと同様に様々なジャンルのビジネスや言語に対応しているだけではなく、全てのリサーチがオンラインで行われるため、調査の実施の為の準備期間がきわめて短くなり、会場の手配等の必要が無い上に、パネルとなったユーザーのマウスの動きから(オンラインサービスユーザービリティ調査の場合)、リサーチ中のユーザーの顔の表情やリアクションまでが全て、ビデオ録画された結果がリサーチ内容として納品される点だと言われています。

Userlyticsの提供するユーザービリティテスト中の
テスターの表情やリアクションが見れるの提供データの一例

こうして見ると、サーチのアルゴリズムや広告配信テクノロジーがどんどん進化している一方で、オンラインマーケティングに欠かせない最適化の要素として、人の持つノウハウや、ユーザーフィードバックやリアクションと言うデータがこれらも重要な役割を持って行くのでは無いでしょうか。また、人々から得られるデータを解析し、データを元にアクションを起こすために必要なテクノロジーとの融合が今後も進化する事により、さらにオンラインマーケティングにて活用されやすくなるのでは無いでしょうか。

(by Kenta Umezu, Chief Operating Officer, Le Grand)

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2011.8.26

8月15日~18日に行われた、SES・サンフランシコ・2011の期間中、ルグラン代表 泉 浩人がSES運営チーム(Matt McGowan、Mike Grehan、Adaline Lau)に、今回のSESの見どころ、米国のSEM/オンラインマーケティングのトレンドと、SESの今後の日本への進出についてインタビューをさせていただきました。

インタビューは日本語字幕付きとなっていますので、お楽しみください!

インタビューアー:
泉 浩人
株式会社ルグラン 代表取締役 共同CEO

参加者:
Matt McGowan
Managing Director, Americas, Incisive Media

Mike Grehan
Chair SES Advisory Board, Global VP Content,
SES/Search Engine Watch/ClickZ

Adaline Lau
ClickZ Asia Editor

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動画が表示されない場合はこちらをクリックしてください。

http://www.youtube.com/watch?v=pylqV0Zpevc

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