2012.8.09

7月31日(火)、株式会社インフォキュービック・ジャパン とルグランの共催によるセミナーが開催されました。
今回は、「変化し続ける市場で一歩先をいくために必要な実践的デジタルマーケティングとは」をテーマに、インフォキュービック・ジャパン代表取締役 山岸氏と弊社代表 泉が、今春参加したSESロンドンとニューヨークで得た最新の業界情報やデジタルマーケティング戦略についてお話しました。
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■「検索エンジンマーケターに求められる意識改革~SEM先進国イギリスから学ぶ~」
株式会社ルグラン 代表取締役 共同CEO 泉浩人

SESロンドンに参加した泉からは、経済規模、広告市場ともに日本の約1/3であるイギリスが、ネット広告市場だけを見ると、日本を大きく上回る高い成長率を続ける点に着目、その要因について、今回の視察から得た知見をお話しました。(イギリスのネット広告市場についてはこちらのコラム をご覧ください)

日本では、ネット広告市場の伸び率が鈍化する原因のひとつに、「検索の枯渇」があげられますが、ネット大国イギリスにおいては、新たなデジタルマーケティング戦略が、その成長を支えているといえます。その戦略の根本となっているのが、SESロンドンの基調講演で登壇したAvinash Kaushik 氏が提唱する「エコノミックバリュー」思考です。直接コンバージョンにつながるマクロコンバージョンだけでなく、間接的に効果のあるマイクロコンバージョンもあわせて評価しましょう、という考え方は、「ディスプレイ+検索」を組み合わせた施策に活かされ、興味・関心を引き起こすディスプレイ広告が検索を誘引する効果が生まれているとお話しました。

そして、RTB(Real Time Bidding)やターゲティングがカギとなる、新たなディスプレイ広告が台頭し始めた今、サーチマーケターは、検索で培った入札やターゲティングといったスキルを、ディスプレイ広告でも活かし、検索とディスプレイを組みあわせて、効果をあげていくという戦略を立てることが大切であるとお伝えし、セッションを終了しました。

■本場、米国のSEO最新事情とウェブ担当者が考えるべき今後のGoogle SEO対策
株式会社インフォキュービック・ジャパン 代表取締役 山岸ロハン氏

続いて、山岸氏から、SEO対策におけるGoogleアルゴリズム(パンダ、ペンギン)とスパムの対応方法についてお話いただきました。
最近日本でも導入されたパンダアップデートでは、Googleの検索結果の品質を高めることが目的であるため、サイトのコンテンツの内容が評価されることがポイントであると山岸氏は言います。これまで、SEO対策というと、裏ワザやテクニックといった検索エンジンの裏をかいた対策に注力しがちでしたが、コンテンツが評価される今、テクニックレベルではなく「有益なコンテンツ」をつくることが重要になってくるとお話されました。

一方で、リンクからのSEO対策が求められるペンギンアップデートでは、リンクの質もさることながら、その貼り方にも注意が必要であることを事例を紹介しながら説明され、スパムと判断され警告を受けたときは、警告の解除に向けて早急にアクションをおこし、その後のランキングに影響を与えないことが大切であるとアドバイスされています。

そして、今後は、SEO対策にはテクニックだけでなくコンテンツ戦略が求められることから、SEO運用部隊は、企業の中で技術部門のトップであるCTO(chief technology officer)ではなく、CMO(chief marketing officer)の傘下に置かれるべきだとして、講演を締めくくりました。

最後のパネルディスカッションでは、会場からの質問に2人の登壇者が回答する形式で進められ、「ディスプレイ広告+検索」の効果がでるまでの期間や予算等の具体的なお話や欧米のネット広告に関する話題が取り上げられ、盛況のうちにセミナーが終了しました。

なお、ルグランでは、ロンドンに引き続き9月に開催されるSES香港への視察旅行を企画しました。現地では日本語でのTwitter解説があるので、英語が苦手な方も安心してご参加いただけます。ご興味がある方はぜひ、ご参加ください。

「ルグランと参加するSES香港」の詳細はこちら

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2012.3.22

ソーシャルメディアやモバイルに関連したセッションが目立った今年のSESロンドンですが、その中でも、もっともトラディショナルなSESセッションと言える“SEOトラック”にて、サイトの“スティッキネス”の向上の重要性について、セッションが開催されました。

“Understanding User Behaviour and Increasing Site”Stickiness””セッションでは、Conversion Factory 社のStephen Pavlovich氏が冒頭で大きな文字のスライドを表示させ、あらためてサイトの“スティッキネス”(stickiness)とは?について語りました。

Conversion Factoryは、2007年に創設者であるPavlovich氏が立ち上げたConversion Rate Optimization(CRO)に特化した企業で、SEOやサイト制作ベンダーと共にクライアントサイトのコンバージョン率の改善にフォーカスしたコンサルテーションサービスを提供しています。

“スティッキネスとは、滞在時間の事では無い”

Pavlovich氏によると、“スティッキネスとは、サイトでの滞在時間の事では無く、訪問者の内、何名がコンバージョンを達成するかが大事。また、滞在時間は直接的に売上に貢献しないので、サイトに長い時間滞在しようと、コンバージョンが発生しなければ売上に貢献しない”との認識が大事との事。

 “スティッキネスとは、コンバージョン発生後もサイト訪問者とのエンゲージメントを高める事

スティッキネスとは、コンバージョン発生後もサイト訪問者とのエンゲージメントを高める事。

“スティッキネスを向上させ、購買プロセスを完了するためにサイトへの再訪問を保証する”

広告主のウエブサイトは購買プロセスの各フェーズで訪問者とエンゲージしているかを再確認し、スティッキネスを向上させる事で、ユーザーの意図をとらえ、購買プロセスを完了するためにサイトへの再訪問を保証する。

さらに、購買につながる3つのエンゲージメントプロセスを重要視する事を提案し、(1)Immediate(訪問直後)、(2)Session(セッション中)、3)Between Sessions(セッション間)の中でPavlovich氏は2つのプロセスついての重要性を語りました。

【Immediate・訪問直後のユーザーエクスペリエンスがもっとも重要】
サイト訪問直後にユーザーが満足を得られないと、そのユーザーが再訪問する確率はかなり低くなる。

レラバンス(適合性)
ユーザーの訪問先のページは求めている内容か?
商品やサービス名は分かりやすく、明確に表示されているか?

信頼を得る
・サイトに掲載されているブランドやサービスの知名度があるのか?
・ユーザーを安心させるようなロゴマークや信憑性の高いストーリーがあるか?

アピール
・ユーザーが購入を続ける要因があるのか?
・割引率や低価格を提示
期間限定セールや限定在庫

アクション
ユーザーにとって欲しいアクションを明確に提示
重要な購入・申し込みへのアクションボタンはページをスクロールしなくても見える範囲に配置

【Between Sessions・セッション間のユーザーエクスペリエンス】
特に旅行・宿泊予約サイト等の場合、初回のサイト訪問ではコンバージョンが発生しない場合があります。ユーザーは一度サイトから離脱してから、比較、検討を行い、家族や知人等に相談し、再訪問後に商品やサービスを購入する傾向があります。

サービス・商品の利点を伝える
・自社のサービスや商品がなぜ選ばれるのか?
・ブランドやサービスのロゴで信頼度をアピール
・ユーザーレビューや事例を紹介
・明確なタグラインで自社をアピール

顧客の連絡先情報を記入してもらい、サイト離脱後に再訪問を促す
・ユーザーの記憶に頼るのでは無く、積極的にアプローチする
・ニュースレターのサインアップをサイト内の全ページに配置
・見積サイト等の場合は一番最初にメールアドレスを記入させる
・ダウンロードコンテンツや資料の提供と引き換えにメールアドレスを記入させる
・サイト上の検索結果や閲覧ページを保存するためにメールアドレスを記入させる

セッションの後半は、Pavlovich氏の取り上げた3つのエンゲージメントプロセスの中のSession(セッション中)でのスティッキネスの向上施策として、トラベルサイトとして日本でも有名なExpediaのSEO Strategy Manager、Jeff Slipko氏が自社のサイトの実例を取り上げて進められました。

Expedia.comと言えば、オンライントラベル業界では言わずと知れたスティッキネスの高いサイトですが、その成功の背景にはセッション中のユーザーに対して、以下のポイントが実践にされているとの事でした。

【関連性の高い検索結果を提供する】
・1ページに表示する検索結果の量を増やす
・検索結果をソート可能とする
・イメージや地図などのビジュアルコンテンツを活用
・複数のオプションをサジェスチョンとして提示

【ユーザビリティを高めるフィルターを提供する】
・ユーザーの好みの画面閲覧設定を提供する
・ダイナミックに画面が切り替わるフィルターを活用
・操作性を高めるスライダーバーを配置
・検索結果やフィルター、ソート結果を保存出来るようにする

【明確な価格表示】
・価格は大きめに表示
・特典や特価情報はハイライトする
・価格や特価情報は購買プロセスの中で変わらない様にする
・価格表示に透明性を与える

【緊急度を高める】
・希少価値をアピール
・人気の指標を表示
・閲覧者数の表示
・最新予約日時を表示

空き部屋の残数表示で希少価値をアピールすると、コンバージョン率が2.5%上昇

【操作性の高いページ】
・ナビゲーションタブは最小限に抑える
・検索を極力しないで済む様にコンテンツを提供
・トップページにはサムネール画像を多用する
・利用者のレビューをコンテンツとして提供

サムネール画像を多用する事でコンバージョン率が2.28%上昇

【チェックアウトプロセスの最適化】
・必要のないフィールドやステップは排除する
・1ページで完結するフローをテストする
・チェックアウトプロセスのページからリンクを取り除く
・問い合わせ電話番号を明記する
・購入内容を確認させる

Expedia.comではこれまでのサイト運営の経験から、データを取得しながら、テスト繰り返した結果、自社サイトの最適化のポイントを探り出す事ができました。セッションの最後にSlipko氏は参加者へのメッセージとして以下の様に述べました。

“イーコマースサイトのスティッキネスの向上とはサイトのコンバージョンを増やすことを目的として、サイト滞在時間を増やす施策では無い。”

“ユーザーエキスペリエンスに焦点を置き、ユーザーが購入に至るまでのプロセスを簡単にする事でスティッキネスの向上につながる。”

“商品やサービスの透明性を保つ事。

このセッションを通して感じた事は、サイトのスティッキネスの改善とは、リスティング広告の運用施策と同じで、ユーザーの行動データとトライアルアンドエラーを繰り返しながらサイトの最適化を行うのが大事である事とサイトのスティッキネスを高める事によりサイトのコンバージョン率を向上させる事の重要性です。また、これらの施策は、多くのウエブサイトのオーナーの方にお勧めのサイト改善の大事な一歩だと思いました。

(by Kenta Umezu, Chief Operating Officer, Le Grand)

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