2012.1.12

ルグランでは、視察ツアーにお申込み頂いた方々と一緒に、2/21から開催されるSESロンドン に参加をすることになっていますが、昨日、基調講演のスピーカーが発表 されました。

今回講演するのはAvinash Kaushik 氏。

Avinash Kaushik

Kaushik氏は、Market Movite というネットマーケティング関連のオンライン教育ビジネスを手がける傍ら、Googleの「デジタルマーケティングエバンジェリスト」という肩書きで、Twitterブログ などを通じ、特にアクセス解析や効果検証など、デジタルマーケティングにおけるデータの分析手法について、積極的に情報を発信しています。日本語にも翻訳された『Webアナリスト養成講座 』 や『Web Analytics 2.0 』などの著者でもあり、欧米では業界の第一人者として広く知られています。

今回の基調講演のテーマは「Business Optimisation in a Digital Age“z”ではなく”s”なのがイギリスのイベントらしいですね…)」、あえて日本語に訳すなら「データ分析による事業の最適化手法」 といった感じでしょうか。

Kaushik氏のブログには「Occam’s Razor 」というタイトルが付けられていますが、これは「オッカムのかみそり 」という哲学用語で、簡単に言うと「ある事柄を説明しようとするときに、必要以上に多くの要素を持ち出して説明してはいけない」といった考え方を示しています。このタイトルからも、Kaushik氏のデータ分析へのスタンスがうかがえるような気がしますが、その中でも、2010年6月に書かれた記事「Win With Web Metrics(Web解析データで勝利を収める) 」は、今回の基調講演の予習にもうってつけの内容なので、この機会にご紹介をしておきたいと思います。

この記事でKaushik氏が訴えているのは「Web解析の目的は、無用に膨大なデータをちらつかせて周囲を圧倒することではなく、Webが企業の利益にどう結びついたかという視点に絞り込んでデータを収集・分析すべきである」ということです。

更にKaushik氏は、企業の利益に影響を与える要素を、以下の4点に集約した上で、

1. 製品やサービスの価格
2. コスト
3. 市場シェア
4. 市場規模

これら4つの要素に照らして、企業がどういう状況にあるのかを説明できないのであれば、そのような指標は分析しても意味が無い、と言っています。つまり、「計測できるから分析するのではなく、(企業の利益を最大化するための経営判断に)必要なデータのみを収集・分析せよ」 というのがKaushik氏からのメッセージです。

さて、SESロンドンで、Kaushik氏からはどんな話が聴けるのでしょうか?今から楽しみです。

なお、ルグランでは、引き続き、SESロンドンの視察ツアー 参加者を募集中です。 ツアーの詳細ならびにお申込み・お問い合せはこちら から。

株式会社コラボレート研究所:担当 村田・一篠
http://www.collaborate.co.jp/index.php/tourlist/106-tour289.html
Email: murata@cken.jp
TEL: 03-5487-8970
FAX: 03-5487-8971

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2011.12.01

これまで、本ブログではad:tech tokyo 2011の会場内に設けられた『ルグランルーム 』で開催された各セッションについてのレポート を中心にお届けしてきましたが、今日は、10/27(木)に行われたad:tech tokyoのメインセッション『ソーシャルリスニングによるサーチキャンペーンの最適化 』でのディスカッションについて、少し触れてみようと思います。

このセッションは、小職がモデレータとして、セッション内容やパネリストの人選などをさせて頂き、ad:tech tokyo事務局の方々、ならびにパネリストの方々のご理解とご協力によって実現することができました。

本セッションのディスカッションのバックボーンとなった問題意識は『いかにして検索ユーザーの意図を読み解くか』という点にありました。日本におけるリスティング広告の歴史も10年目をむかえ、参入する広告主も増える中で、人気のキーワードについては競争によるクリック単価が上昇するといった傾向も見られます。

一方、ソーシャルメディアの普及により、消費者は、購入の意思決定までに、クチコミ評価など、多くの、そして多様な情報を簡単に入手できるようになり、そうした流れの中で、検索エンジン自身も順位決定のアルゴリズムの中に、いわゆる「ソーシャルシグナル」を取り入れるようになるなど、検索エンジンマーケティングを取り巻く環境は大きく変化をしています。

こうした環境変化の中で、引き続き、検索エンジンマーケティングにおいて成果をあげ続けるためには、マーケターの側も、これまで以上に、しっかりと「検索ユーザーの意図」を理解した上で、キーワードの選定やランディングページの最適化といった施策をとることが重要になっています。

そこで、まずは、検索ユーザーの意図を読み解く手がかりとして、「ソーシャルリスニング」、即ち、ソーシャルメディア上での発言や会話を傾聴することが役に立つのではないだろうか、という点について、マーケットリサーチの第一人者であるトランスコスモス エグゼクティブリサーチャーである萩原雅之さん に、ご意見を伺うことから始めました。

萩原さんからは、お話に先立ち、米国における「beer(ビール)」と「drunk(酔っぱらった)」という言葉に関するツイートの曜日別の推移に関するグラフが紹介されました。(左図)これを見ると、「ビールを飲んでる」というツイートがピークを迎えたあと、暫くして「酔っぱらった」というツイートのピークが訪れていることや、さらに金曜の夜になると、「酔っぱらった」というツイートが顕著に増加するといった傾向が見てとれます。

これを例に、萩原さんからは、ソーシャルメディアを傾聴することで、こちらから、わざわざ、「調査」に赴かなくとも、そこに生活者の声や行動が、赤裸々に刻まれているというお話がありました。また、ソーシャルメディアの普及により、マーケットリサーチの手法や、マーケットリサーチに携わる人や会社に求められるものも変わりつつあるという点も、非常に興味深かったです。

たとえば、これまで、調査を行う場合、対象となるAさんとBさんとは、完全に独立した関係にあることが必要であり、Aさんの発言や意向に、Bさんが影響を受ける状態では正しい調査はできない、といった考え方が主流でしたが、ソーシャルメディアを使った調査においては、反対に、AさんがBさんからどういう影響を受けている可能性があることを前提として、調査が進められます。

続いて、 アユダンテの安川洋さん 、AcquisioのRichard Couture さん から、検索エンジンにおけるソーシャルシグナルのお話や、フェイスブックとリスティング広告の相乗効果に関する事例紹介などのお話に移って行くわけですが、これについては、また回を改めてレポートします。

なお、来たる12/7(水)に開催される第三回のデジタルマーケティングカレッジ には、先にご紹介した萩原雅之さんにゲスト講師として、再びご登壇を頂けることになりました。今回は「次世代マーケティングリサーチ〜ソーシャルメディア時代に於ける消費者理解とは?〜」というテーマでご講演を頂きます。

ソーシャルメディアを活用して、どのように消費者に対する理解を深めるのか、ad:tech tokyoでのセッションの「続編」ともいえる、大変楽しみで、かつ貴重なセミナーになると思いますので、みなさんもぜひ、ご参加下さい。詳細およびお申込みはこちら から。

(by Rod Hiroto Izumi, Founder & Co-CEO, Le Grand)

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