2012.7.19

「数字はウソをつかない」などと良く言われますが、果たして、数字は私たちに常に真実を伝えてくれているのでしょうか?

数字をつかむ肌感覚

確かに、ある方程式があって、そこに同じ情報をインプットすれば、誰が計算しても、常に同じ数字が導かれるはずです。しかし、デジタルマーケティング、あるいは企業経営において求められるのは、「客観的事実に基づく意思決定(Evidence-Based Decision Making)」つまり、計算によって得られた真実から何をつかみ取り、それをどう経営判断に活かすのか、ということです。

しかし、同じ計算式から得られた同じ数字を見ていても、人によって、その数字の受け止め方や解釈が大きく異なるため、同じ数字を見ているにもかかわらず、その先にある経営的な判断には大きな違いが出るといったことも珍しくありません。例えば、以下のような2つの情報があったとき、みなさんがこのサイトのウェブマスターだったら、どちらが気になるでしょうか?

1. ウェブサイトのコンバージョン率が4.87%→4.38%に低下した。
2. ウェブサイトからの売上が前年同月の1億円から9,000万円にダウンした。

経験上、多くの人は2.の情報に対して、より危機感を感ずる傾向が強いのですが、実は1.も、コンバージョン率が10%低下している、つまり、ウェブサイトからの売上が10%低下した要因を説明しているという点では、2.と同じ意味や重要性を持っています。

しかし、こうした見方ができない場合、「コンバージョン率は4%台で”安定的”に推移しているのに、売上だけが10%ダウンしている…」という間違ったストーリーを頭の中で作り上げてしまい、その結果、「客単価が減少したのか?」「リピート客が減ったのか?」などと、売上高の回復策を探るのに遠回りをしてしまうことも珍しくありません。

こうした事態に陥らないようにするためには、平素から、数字が意味することをザクっと、しかし正しくつかみとるための「肌感覚」を鍛えておくことが大切です。たとえば、「コンバージョン率が4.87%→4.38%に低下」という情報を前にした時に、ただ漫然と数字をながめて終わらせるのではなく、ちょっと面倒でも、電卓を叩いて、これが実際には何%の低下かを意味しているのかを計算してみる、といったことを習慣づけてみて下さい。そうすると、「数字は余り変わっていないように見えるが、実は結構な変化が起きているんじゃないか?」といった勘が、段々と働くようになります。

一方、こうした我々の数字に対する肌感覚の鈍さを逆手にとって、自分たちの商品を少しでもおトクに見せよう、という「努力(?)」も、あちこちで行われています。値段を100円ではなく98円にすることで、まるで100円が90円近くまで下がったように感じさせる、といった手法はあまりにも有名ですが、洋の東西を問わず、こうした手法が今日も廃れずに残っているということは、わかっていても錯覚してしまう人が多いということなのかもしれませんね。

では、ここで、みなさんの肌感覚を鍛える練習問題を一つ。(笑)

普段、1袋(200g)700円で売られているコーヒー豆が2種類あります。

A社:いまなら期間限定で20%増量中!
B社:いまなら期間限定で20%お値引き中!

さて、賢い消費者であるみなさんは、A社とB社、どちらのコーヒー豆を買いますか…?

(by Rod Hiroto Izumi, Founder & Co-CEO, Le Grand)

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