本ブログに5/1にアップしたエントリー【震災関連】検索データはGW旅行の需要急回復を予言していたでは、事前の予想に反し、活況を呈した今年のゴールデンウィークの旅行需要について、3月〜4月の「旅行」というキーワードの検索動向に、その予兆が表れていたということを書きました。
その中で、「海外旅行」というキーワードの検索も4月末には、震災前の8〜9割の水準に回復していることから、この検索のトレンドが続いた場合、今年の夏休みを海外で過ごそうと言う人は、かなり増えるのではないか、という予想も立てていました。
そこで、今回は、その「続編」ということで、海外旅行に関する検索動向に加え、ソーシャルメディア上でのクチコミデータも検証しながら、この夏休みの海外旅行需要がどうなるかを予測してみたいと思います。
下図は、今年の2月上旬から6月上旬までの約4ヶ月間について、「海外旅行」というキーワードに関する検索数の推移と、Twitterやブログ上で、「海外旅行」がポジティブに語られていると思われるクチコミ数の週毎の推移を示したものです。
検索については、前回エントリーにも書いた通り、震災後、暫くして検索数は増加に転じていますが、顕著な増加に転じたのは、震災から1ヶ月近く経った4/4の週以降となっています。一方、これに「海外旅行」に関するポジティブなクチコミ数の推移を重ね合わせてみると、検索よりも早く、震災直後から増加に転じていたことが分かります。
つまり、震災の被害を直接受けなかった人々の多くは、震災直後から「被害を受けなかった自分たちは、海外旅行に出かけても問題ないのでは?」という考えを持っていたことが見てとれます。そうした思いが、Twitterやブログを通じて広まっていくうちに、徐々に「過度の自粛は必要ないのでは」といった空気が支配的となり、それまで海外旅行に行くべきかどうか迷っていた人たちも、積極的に旅行の計画をするために検索をするようになったのではないか、と考えられます。
実際、ツーリズムマーケティング研究所が5月に実施した調査でも、今年の夏休みに宿泊を伴う旅行を計画している人は回答者の54%(国内 38%・海外 16%)となっており、旅行するかどうかは未定と回答した46%についても、「自粛」「不謹慎」といった震災にかかわる心理的な要因を理由に挙げた人は2%未満という結果が出ています。
上図を見ると、海外旅行に関するポジティブなクチコミは、5月中旬の時点で、ほぼ震災前の水準に戻っており、今後は、より多くの人たちが、積極的に海外旅行に関する情報を検索し、旅行の予約・手配に動くと思われます。以上を勘案すると、今夏の海外旅行については、前年と比べてもさほど大きな落ち込みはないのではないかと予想されます。
このようにソーシャルメディア上で交わされるクチコミの動向を追っていくと、そこから人々の心理や空気といったものが見えてくることも多く、人々の動きを先読みした上で、商品やサービスを準備したり、事前にリスティング広告で網を張って、需要の取りこぼしがないようにしておくといった施策も可能となります。
先日行われたロフトワークECセミナー「プロが語るEC全体戦略と大手アパレル2社の成功秘話」でも、昨年秋から冬にかけて起きた「ポンチョブーム」を、検索とクチコミの動向から読み解いた事例をご紹介していますので、ご参考までに、当日のスライド(抜粋)もご紹介をさせて頂きます。
また、弊社では、こうしたクチコミ分析を行う『ソーシャルリスニング』のサービスも提供しておりますので、ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談・お問い合わせ下さい。
(by Rod Hiroto Izumi, Founder & Co-CEO, Le Grand)