2011.9.21

FacebookやTwitterの台頭により、今や企業のマーケティング戦略はWeb・ソーシャルメディアといったデジタルマーケティングなくして語ることはできません。「スピード」が成功の鍵となるこの領域では、的確に自社に適したメディア・手段を把握し、施策を打てるかどうかで集客や売上の効果は異なります。一方で、巷にあふれる膨大な情報から最適なメディア・手段を取捨選択することは容易ではありません。

そこでルグランでは、Digital Marketing Collegeを開講。毎回、マーケティング業界で活躍中の方をゲスト講師としてお迎えし、「海外を含む業界の最新動向」をはじめ、「具体的な成功事例・失敗事例」等、デジタルマーケティングを実践するために役立つ生の情報を提供していきます。

前回 は『教えて!カンヌ国際広告祭』の著者である佐藤達郎氏をお迎えし、カンヌの最新情報を交えながら、「ソーシャルメディア時代に求められる広告 」というテーマで、講義・ディスカッションを行いました。

そして、10月5日(水)に開講する第二回目は、アスキー・Web Professional編集長である中野克平氏をゲスト講師に迎え、「デジタルマーケティングの効果を最大化するWebライティング~ストーリーを作ろう~ 」というテーマで、ライティングスキルの重要性についてディスカッションを行います。

開講に先立ち、中野氏と弊社代表 泉との間で行われた対談の模様をお伝えしながら、デジタルマーケティングにおいて、ライティングがなぜ重要なのかについて考えてみます。

中野克平氏と泉浩人が語る「アリストテレスに学ぶWEBライティング」

泉浩人(以下、泉):中野さんは、元々は新聞社のご出身なんですね。

中野克平氏(以下、中野):はい。地方に住んでいた友人に新聞社の支局に応募書類をもらってきてくれないか頼まれて、ついで自分の分をもらった私の方が受かってしまいました。(笑)

:新聞社では記者として事件を追いかけたり?

中野:いや、記者を志望すると、色々なところに転勤させられるのがイヤだったので、新聞社といいながら出版部門の採用枠に応募したんです。

:そうでしたか。ということは、新聞社時代から今日まで、一貫して、出版に関する仕事に携わっていらっしゃるわけですね。

中野:ただ、新聞社の中にある出版部門ということで、「新聞社的なノウハウ」を叩きこまれたという点では、ちょっと変わっているのかもしれません。中野克平氏

:といいますと?

中野:たとえば、書籍や雑誌の「タイトル」と新聞の「見出し」の考え方の違いなどは、人々の興味・関心を惹く記事やコンテンツを書く上で、今でも役に立っていると思います。

:面白いですね。

中野「見出し」は英語では「ヘッドライン(=直訳すると「頭の一行」)」と言われますが、これって、大衆を煽るために、新聞記事の1行目がだんだん大きくなって独立したものから来ているんですよ。それに対して、「タイトル」というのは、書籍や雑誌など「商品名」を表したもので、人々の注意を惹くには「見出し」の使い方が重要になる訳です。

:なるほど。今日、ウェブ上には、膨大な数の情報が流通しているので、その中から、いかに自分のサイトや記事・コンテンツに注意を向けてもらうかが非常に重要になっています。そういう意味では、WEB上でのライティングにも応用できることは多そうですね。

中野:そう思います。

泉 浩人:8月にサンフランシスコで開催されたSESというデジタルマーケティングに関するカンファレンスでも、ライティングの重要性は、多くのセッションで強調されていました。

中野:それは興味・関心を惹くためのライティング手法みたいな話ですか?

:はい。ただ、商品やサービスあるいはターゲットユーザーによって、興味・関心を惹くポイントは違いますから、こう書けばうまくいく、いうような「具体例」が語られている訳ではないんです。

中野:なるほど。

:これは海外のカンファレンスに多く見られる傾向なのですが、参加者の多くは、個別の企業や商品に関する成功事例だと、普遍性がないので、あまり興味を持ちません。日本だと、具体的な社名を出した事例の方が喜ばれることが多いので、正反対ですね。

中野:確かに、事例ネタの人気は高いですよね。

:なので、ライティングについても、たとえば、マッチョになりたい男性の興味・関心を惹く「決めゼリフ」が何だったのか、という話はどうでもよくて、その「決めゼリフ」を見つけるために行ったテストや検証の方法についての考え方やロジックを持ち帰ろう、という人が多いんです。

中野:ロジックは大事ですよね。実は、ライティングというと、とかく職人芸的な要素が注目されがちですが、実は基本的なロジックを身につけることで、誰でも、ある程度のところまでは面白いストーリーが書けるようになるんですよ。

:そういうロジックは、いつ頃から確立され始めたんでしょうか?

中野:2,400年前には確立してたと思いますよ。

:え、2,400年前ですか!?

中野:はい。みなさん歴史の教科書なんかで聞いたことあると思いますが、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが書いた『詩学』という本には、ウケるストーリーを書くためのロジックが書かれています。

:読んだことないです。。。(汗)

中野:普通の人は読まないですよ。(笑)たとえば、悲劇なら、正直で真面目な人がヒドイ目に遭った方が涙を誘いやすい訳です。

:その方がギャップが大きいから?

中野:そういうことです。起承転結って言いますけど、要はこの「転」の部分をどう作れるかで、ストーリーとしての面白さが決まる訳ですよ。

:なるほど。第1回のデジタルマーケティングカレッジに登壇頂いた佐藤達郎さんも、ソーシャルメディア時代には、オフライン広告にも「伝播性」というクリエイティビティが求められるというお話をされていたんです。

中野:はい。

:そこで大事になのは「何これ?」と思わせる「クリエイティブジャンプ」なんだというお話があって、中野さんがおっしゃる「転」も、実は同じことを指しているんじゃないかと思いました。

中野:「イチゴ大福」などは「転」がうまく作用した成功例だと思いますよ。

:確かに、イチゴとアンコって、一歩間違うと、アブナイ組合せですよね。(笑)

中野:でも恐る恐る食べてみたら、これが予想以上に美味かった。そのギャップがイチゴ大福を、一気に和菓子の定番にまで押し上げたんだと思うんですよ。

:なるほど。10/5(水)のセミナー当日は、他にも色々と面白いお話がうかがえそうですね。

中野:はい。まだ内緒ですが、19時開始ということもあるので、「オトナ限定」ネタでいこうかな、なんて思ってます。

:私も聴衆の一人として、今から楽しみです。よろしくお願いします。

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