2012.6.28

6月22日(金)、株式会社ロフトワークとルグランの共催によるセミナー、『〜星野リゾート、ブライダル事業に於けるWeb戦略とは?〜 Web全体最適化のための「エコノミックバリュー思考」』が開催されました。
今回は、株式会社星野リゾート Webディレクター 深水氏、株式会社ロフトワーク代表取締役社長 諏訪氏、そして、弊社代表 泉の3名が登壇し、Webがビジネスにもたらす「経済的価値」という視点から、正しくKPIを設定することをテーマにお話しました。
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■マクロとミクロで考える、エコノミックバリュー思考
株式会社ルグラン 代表取締役 共同CEO 泉浩人

最初に、泉がお伝えしたことは、データによって可視化されたときにすべきことは、目標を明確にすること、そして、その目標設定をするにあたり「経済的価値(エコノミックバリュー)」を見出すことが大切であるということです。

「経済的価値(エコノミックバリュー)」とは、Googleのエバンジェリストであるアビナッシュ・コーシック 氏が提唱するマイクロコンバージョンとマクロコンバージョンを合わせた考え方。コーシック氏は、情報が持つ価値を活かすためには、いきなりデータに飛び込むのではなく、経済的価値を考えようと訴えます。
この考えに従いデータを見ると、たとえば、直帰率が高いからといって一概に悪いというのではなく、サイトの目的を考えて評価すればその良し悪しの判断がおのずと変わってくるので、まずはサイトの目的やユーザーのターゲットは何かを考え、内部の人間が目標・目的を正しく理解することが大切であるとお話しました。

また、エコノミックバリューとは、ミクロコンバージョンが積み重なってマクロコンバージョンへとつながるので、マクロコンバージョンだけでなく間接的に効果のあるミクロコンバージョンを測定することが必要不可欠であること、そして、膨大なデータをアクセス解析には、正しく目的・ゴールに向かっているかどうかの観点でデータをみることが、エコノミックバリューの観点で考えるということであるとお伝えしました。

最後に、エコノミックバリューの考え方が重要視される背景に、ZMOTが関係している点に触れ、サイトに流入してからのユーザーの行動はサイトの目的から遡り、間接的な効果も含めて分析する必要があるとして、講演を締めくくりました。

■全体最適化のためのWebプロジェクト設計とは?
株式会社ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋氏

諏訪氏からは組織という側面からWeb事業における全体最適化についてお話いただきました。
Web構築のプロジェクトをスムーズに進行させるためには、社内やステークホルダーとコンセンサスを取ることが重要であるという認識に基づき様々な事例を元に全体最適化についてお話されました。

また、ネットワークデバイスが多様化する中、それらのコンテンツ構造がサイトを構築・運用する組織に依存してしまうと全体最適とは程遠くなるケースが多く、ユーザーとの共通認識がサイトの最適化には必要であると説明。
ロフトワークでは、ワークショップを通じて組織全体で共通のターゲットを認識し、どのようにしてそこに情報を与えるか、ユーザーとの会話を想定したサイト内の導線シナリオを構築し、レポーティングするといった形式で多様な企業のInnovationパートナーとして活動されていることをご紹介して頂きました。

組織体から「最適化」を図り適切なプロジェクト環境に導くプロジェクトデザイニングは人との関係性や、何をすればスムーズなコミュニケーションに結びつくのかも考えさせられる、まさに右脳からのWeb最適化でした。

■星野リゾート ブライダル事業に於けるWeb戦略とは?
株式会社星野リゾート ブライダル広告ユニット Webディレクター 深水 善道氏

続いて、深水氏からは星野リゾート様の事業ドメインの一つであるブライダル事業のWeb戦略におけるKPI設定についてお話いただきました。

ブライダル業界では、現状、リクルート社が発行する「ゼクシィ」が大きなメディア力を持っており挙式者の8割が購入しているとされる中で、深水氏は独自のウエディング業界行動モデルZIBRA (Zexy→Internet→BridalFair→Reserve→Action)を提唱。一方、Webメディアへのシフトも進んでおり、インターネット上で認知を獲得し、検討まで導くためのKPI設定の重要性も語られました。星野リゾート様では、ホテル認知を最大限に活かすWebマーケティングを戦略に掲げながらも、取るべき戦術と取らない戦術があるとし、SEOなどによるブライダルのダイレクトな集客対策には注力しないとしています。ホテル関連からのトラフィックを重要視し、そこにKPIを設定することでA/Bテストなどによる定量的な評価ができると語られています。

戦略の数だけ戦術があり、取るべき施策ごとにKPIを設定することの重要性を、実例を交えてお話いただきました。

■パネルディスカッション/質疑応答
諏訪 光洋氏 × 深水 善道氏 × 泉 浩人
モデレーター:株式会社ロフトワーク 君塚氏

最後に、講演を振り返り、登壇者3名がKPIに対する思いを語り合いました。

まず弊社代表の泉から、コンサルティングを行う際に、どのようにKPIを設定しているかというお話からスタート。サイトの全体的な目的から段階的な達成プロセスを立て、それぞれのプロセスに於いてKPIを設定し、実現するために左脳から考えるというお話をさせていただきました。また、そのKPI達成の一助となりうるのがサイトデザインの構築であることが多いことについても言及。ロフトワークは、2012年からカフェ事業 をスタート。当初はKPIを売上に置いたが、施策を打ったところで変化が表れなかったので、今は接触を持った人数(来客数)をKPIとして設定しているようです。星野リゾート様からは、メディアによる流入数の増加などがあるとKPIが正しい指標にならない点をお話されました。

登壇者3名が最終目標を達成するためのKPI設定の難しさと、マイクロコンバージョンでの貢献を考慮し、そこのPDCAサイクルを回すことの重要性について共感しながら、セミナーを締めくくりました。

左脳と右脳の取り組み方が展開された中で、星野リゾート様による実務を交えたご紹介と、組織とユーザーの共通認識から最適化を図るロフトワーク、そして、データを元にKPI設定を行うルグランがそれぞれの視点からKPIについて語るという非常に興味深いセミナーとなりました。
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ロフトワークとルグランでは、今回のセミナーのテーマをさらに深く実践的に学ぶために、来月7月に「Web全体最適化のためのKPI設計講座ワークショップ「Web全体最適化のためのKPI設計講座」を開催します。こちらもふるってご参加ください。
・7月13日(金)/27日(金) 全2回 「Web全体最適化のためのKPI設計講座~ワークショップ形式で学ぶ、エコノミックバリュー思考~

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