前回のレポート 【開催報告】第2回ワークショップ開催4/24(水 )では、「アイデア開発プロセスの3層構造」を紹介しました。「広告会社のクリエイティブは芸術家ではない」という講師の佐藤達郎 氏は、広告は広告主であるクライアントの課題に対するソリューションでなければならないとお話されていました。
今回はそれに引き続き、クリエイティブの実務の流れ8ステップを紹介します。クリエイティブの実務の流れを挙げると、以下の8段階に分類されます。
1. オリエンテーション
最初に、クライアント側から広告会社に対して、プロジェクトに関する基本的な考え方、諸条件を提示します。広告目的、広告目標、ターゲットなどのみならず、想定媒体、予算規模、納期等を共有します。
2. コンセプトワーク
クライアント側からプロジェクトを任された広告会社は、まず広告表現全体の核となる「考え方」「方向性」といった、一般に「コンセプト」と呼ばれるものを設定します。マーケティング・セクションが重要な意思決定権を持つことが多いとのこと。場合によっては数案案出することもあります。
3. 表現案開発
コンセプトが決まれば、次は実際に企画コンテ(CM)、カンプ(ポスター/新聞広告)、原稿(ラジオ広告)というカタチで表現案を開発していきます。100案近く考えだすことも良くあるそうで、その意味で「オフ」の広告とは“至極の一枚”と言えるわけです。
4. プレゼンテーション・表現案決定
広告会社が開発した表現案は、次の段階でクライアントに提示されます。実制作へ向かう前の最後のステップで、クライアント側は修正や追加を指示していきます。広告代理店にとっては、このプレゼンテーションの場が、クライアントに広告を訴求するのに非常に大切です。佐藤氏もプレゼンテーションに工夫を凝らし、時に歌を披露したというエピソードも。参加者一同、プレゼンテーションの意義を改めて認識しました。
5. 制作準備
表現案が決定し、ようやく実制作段階へ。
ここからは、CM制作を事例にお話が進められました。
6. 撮影
途中、何度もクライアントと確認しながら、いよいよ演出家主導の下、撮影を開始。一本のCMで短くても1日か2日かかることがしばしばあるそうです。
7. 編集・後処理
撮影してきた素材をつなぎ合わせ、決められた時間内のCMに編集していきます。ここでも、クライアントと確認を繰り返し、音声を入れてようやく完成です。
8. 試写・納品
最後に、クライアント内関係者に試写し、最終確認を行いOKが出てやっとオンエアとなります。もしこの時点で大幅な修正が必要となるようなことがあれば、予算的にも時間的にも厳しい状況となります。その後の質問コーナーでは、「再試写の場合、誰が費用を払うのか」といった質問も飛び出しました。
オンライン広告のクリエイティブ制作とは進行方法も関わる人等、様々な点で大きく異なることを理解した第2回のワークショップ。
最終回となる第3回「自分で学べるBTCシートで、クリエイティブ力を高めよう」では、佐藤氏が独自にアレンジしたBTC(Behind The Creative)シートを活用し、“世の中にある実際の広告”がどういう発想で作られているかを探る手法を学びます。
第3回は5/15(水)に開催されます。現在、第3回のお申込みを受付けておりますので、ぜひご参加ください。
概要と申込みはこちら
(by Kenju Wagatsuma, Intern, Le Grand)