2010.1.02

元旦にアップした『一年の計は元旦にあり』というエントリーの中で、このお正月休みは、今年のSEM運用にあたっての目標設定や運用方針を考えてみる良い機会であると書きました。私自身も、箱根駅伝を横目でみながら、SEMに関する海外のサイトやブログを読んでいたところ、参考になる記事を見つけましたので、その内容を簡単にご紹介しながら、みなさんと一緒に、改めてSEMで効果を上げるための基本動作について、おさらいをしてみたいと思います。

1. 全てはキーワード選びからはじまる

キーワード探しのコツは、「自社の商品やサービスを必要としている検索ユーザーなら、どういうキーワードで探すだろうか?」という観点に立って、幅広く、可能性のあるキーワードを探してみることが大切です。SEM関連サイトやMLなどを見ていると、「ビッグキーワードだけで充分」とか、反対に「効果を上げるためには20万ワード以上は必要」といった、『都市伝説』とも言うべき諸説が流布しているようですが、本ブログ読者のみなさんは、こうした俗説に惑わされることなく、検索ユーザーの視点に立った「キーワードマイニング(=発掘)」に努めてください。

2. 常に複数の広告文を掲載して効果を比較・検証する

自社でSEMの管理・運用をしている場合、ともすると広告文の内容も「業界の常識」にとらわれて、画一的な表現になってしまうことがあります。ですが、みなさんの広告を目にする人の多くは、業界とは無縁の「シロウト」であり、彼らは、みなさんが思いもよらない意外なポイントに反応して広告をクリックしてくる可能性もあります。従って、キーワードの発掘同様、予断を持たず、さまざまな表現や訴求ポイントを含んだ広告文を試してみることで、「機会損失」の可能性を最小限に抑えることができます。

3. 明確な目標を設定する

元旦のエントリーにも書きましたが、SEMを実施する目的は、企業やショップによって様々でしょう。ただ、より多くのトラフィックも欲しいが、受注も獲得したいし、その場合の獲得コストはできるだけ小さくしたい、といった風に、あまりに多くのことを一度に望むと、結局、キーワードの選定や広告文の作成をする際に、どっちつかずに終わってしまう可能性が高くなります。時間の経過や企業・ショップの成長ステージによって目標の優先順位が変わること自体は全く問題ありませんが、その時々においては、できるだけ具体的かつ明確な目標を設定し、それに対して最適化策を実施していくことが、成功への近道となります。

4. 仮設検証のサイクルを回し続ける

コンバージョン数や獲得コストなどについて、期待するような数値が達成できたとしても、残念ながら、その状態が永遠続くことはまずありません。競合企業が値下げをしたことで、自社の商品が売れにくくなったり、あるいは、これまでSEMを実施してこなかった競合相手が、みなさんの成功をどこかで聞きつけて、同じようなキーワードに入札した結果、クリック単価が上昇してしまう、といったことは日常茶飯事です。また、季節や気候の変化によっても検索ユーザーの気分や動向は変わりますので、SEMの担当者には、常にこうした変化に対応しながら、キーワードや広告文、あるいはリンク先ページの見直しを行い続けることが求められます。

5. 情報収集は貪欲に

少し検索をしてみるだけで、SEMやネットマーケティングに関する最新情報やノウハウを提供しているサイトやブログは無数に見つけることができるでしょう。また、この分野では、日本よりもSEMの歴史の長い、アメリカやイギリスの方が一歩進んでいますので、情報収集の対象を英語圏まで広げれば、更に多くの有益な情報を手にすることができるでしょう。前述のような『都市伝説』に惑わされないためにも、できるだけ幅広い情報源から、多くの情報に触れるよう心がけて下さい。

本ブログにおいては、2010年も、SEMやネットマーケティングに関する最新情報を発信して参ります。また、Twitterを利用している方々は、ぜひ、こちらのアカウントもフォローしてみてください。

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2009.12.22

検索連動型広告の管理・運用を外部に委託した場合、そこには当然費用が発生します。日本では、発生した「媒体費(=クリック料金)」の20%程度を管理・運用費として支払う「マークアップ方式」が一般的ですが、欧米では、検索連動型広告経由で獲得したコンバージョン数や売上高に応じて費用を支払う「成果報酬型課金」モデルも広く採用されています。弊社でも、一定の条件が整えば、「成果報酬型課金」を適用させて頂くケースはありますが、一部の広告主には、広告主にとって、成果報酬型課金モデルは、常に、「マークアップ方式」よりも優れて有利な課金方式であるという「誤解」もあるようです。

そこで、今回は、米国のSEM専業代理店のブログにアップされたエントリーも参照しながら、成果報酬型課金を考える際の注意点について考えてみたいと思います。

1. 「成果」の認定や定義に関する合意形成が必要

「成果報酬型課金」モデルの場合、「成果」が発生した場合にのみ、費用が発生する訳ですから、何をもって「成果」とするかは、広告主・代理店双方にとって極めて重要な問題となります。広告主にとっては、できるだけ「成果」の認定を厳しくしておきたいというインセンティブが働く一方、代理店としては、「成果」の定義をできるだけ広く、曖昧ににしておきたいという思惑がありますので、この点について合意を形成するための交渉に、非常に長い時間がかかり、肝心の管理・運用がスタートできないといったケースになることもあり得ます。

特に、電話やFAXなど、買い物かご以外でもコンバージョンが発生するケースでは、代理店は「タダ働き」を回避したいという理由から、そうした「オフライン」のコンバージョンも成果に含めるよう要求したいと考える一方、特別なツールを導入するなどしない限り、電話やFAX経由で発生したコンバージョンが検索連動型広告経由であったかどうかを正確に測定することは難しいという問題もあります。また、仮に、検索連動型広告経由での入電であったことは確認できたとしても、それが、単なる問い合わせで終わったのか、最終的に「成果」に結びついたのかを、誰が、どのように判定するのかという問題も残ります。

また、より多くの「成果」をあげるために、例えば代理店としては、サイトの修正や価格設定・商品構成の見直しが必要であると判断した場合に、広告主が、そうした代理店の要望に対して、どのくらい迅速に応えることができるのかという点も、「成果報酬型課金」モデル導入にあたっての重要な論点となります。

2. 代理店に「働かない自由」も与えてしまうという問題

これは、特に上記1の合意形成プロセスにおいて、広告主側が主導権を握り、「成果」の認定基準を非常に厳しくしたり、あるいは、サイトの修正や価格の決定について、代理店側の意見を受け入れる余地がほとんど無いといった形で「成果報酬型課金」モデルがスタートした場合に起きうる問題です。

例えば、実際には、検索連動型広告から、かなりの数の電話による受注が発生していると考えられるにもかかわらず、それらは「成果」としてカウントされないことになった場合、代理店としては、どんなに手間ひまをかけて最適化をしても、得られる報酬は限られることになりますので、当然、そうした案件に時間やお金を「投資」することには消極的にならざるを得ません。

「成果報酬型課金」を考える広告主は、代理店に対して「報酬を得たいのであれば成果を上げる義務」を課すと同時に、「成果が見込めない案件には取り組まない自由」も与えるという側面もあることを、充分に理解しておく必要があります。

3. 報酬を払いすぎるリスク

最後の問題は、「成果」に対して支払う妥当な報酬を決定することの難しさです。一般的には、アフィリエイトプログラムと同じような形で、1件あたりのコンバージョンから実現もしくは期待できる売上高の一定割合を代理店に支払うことが多いようです。しかし、厳密に言えば、社名や商品名などブランド名に関するキーワードと、「化粧品」「牛肉」「スイーツ」といった一般ワードとでは、コンバージョンを獲得する難易度や獲得コストは、通常、後者の方が高くなるはずです。特に、ブランドの認知を高めるために、広告主がオフライン広告やPR活動に投資をしてきたというような場合、どこまでが、代理店・SEMの成果なのかの見極めは、より難しくなるでしょう。

以上を踏まえ、先にご紹介した米国のSEM代理店では、色々と問題はあるものの、実は「マークアップ方式」の方が、「成果報酬型課金」よりは、広告主にとってメリットは大きいのではないか、という提言もしています。

もちろん、「マークアップ方式」の場合、代理店の報酬は使った広告費に比例して大きくなりますので、広告主は、代理店との間で、獲得コストやコンバージョン数に関する数値目標を設定し、広告費に見合う成果が上がっているのか、上がっていない場合には、代理店側で、原因の分析や改善のための提案がきちんと行われているかどうかについても、しっかりと見ていく必要があることは、言うまでもありません。

SEMの管理・運用を外注して成果を上げるためのポイントについては、こちらのエントリーもあわせてお読み下さい。

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