2008.11.06

広い国土をカバーする為の効率の良い情報配信手段として、米国ではネットを使ったセミナーが盛んに行われています。そんな中先日、 Search Engine Watchが提供するウエブキャストを使った無料PPCセミナーに参加する事ができました。スピーカーは SEW Expert and CEO of Clix MarketingのDavid Szetela氏で、SEWではおなじみのコラムライターです。

セミナーの題名の“Profitable PPC: The Fundamental Secrets”は日本語に訳すと、『だれも教えてくれなかった、損をしないPPC基礎』という感じでしょうか?基礎的な情報といえども、PPCの本場アメリカでの情報がどれだけ日本でも使えるのか、興味があったので参加してみました。なお、セミナーの開催時間はアメリカ東海岸時間の昼間でしたが、終了後にはオンディマンドでプレゼンテーションが提供されているので、時間を選ばずに見る事が出来ました。

それでは、内容を見てみましょう。

【キャンペーンセットアップ時の注意点】
まずは、Google AdwordsとOvertureの管理画面の設定について、特にコンテンツマッチと広告配信の最適化に関連した注意点が挙げられていました。David の意見では、サイトへの誘導方法の特性の異なるスポンサードサーチとコンテンツマッチは同じキャンペーンで運用するべきでなく、独立したキャンペーンで管理します。また、それぞれのサービスが提供する広告配信の最適化のための機能はあえてオフにして、均等な配信での広告テストを行うべきだと伝えていました。

特にGoogle Adwordsのコンテンツネットワークはデフォルトでオンに設定されているので、一度キャンペーンを作成してから、『ネットワークと単価設定』で変更する必要があります。また、広告の最適化は『スケジュール設定と配信』で『広告をより均等に表示』を選択して、均等配信にする必要があります。なお、オーバーチュアではキャンペーンの作成時にコンテンツマッチをオフにする事が可能ですが、システムの提供する『広告表示の最適化』は広告グループレベルで『均等配信』を選択する事が可能です。

【キーワードリストの作り方】
キーワードリストの作成方法では、提供するサービスや、販売する商品の対象となる「顧客プロファイル」のカテゴリー別にリストを作成する方法を推奨しています。

例えば、楽器販売のサイトがギターを売る為の広告のキーワードを作成する場合、それぞれの対象となる顧客のニーズに合わせた訴求ポイントをキーワードに盛り込みます。これにより、若者だったら→「低価格」、プロのアーティストだったら→「高性能」や「高品質」、コレクターだったら→「ビンテージ」として「年代別」などのキーワードが組合せの対象となります。

【広告グループのまとめ方】
広告グループを作成して、キーワードと広告をグループにまとめる際には、広告テキストの中にキーワードが含まれる方法が推奨されていました。これにより、配信先のサイトによっては、広告の中でキーワードが太字で表示される可能性が高くなり、クリック率の上昇や、品質スコアにも良い影響がでて、低い入札価格で上位が狙える可能性が出てきます。

【広告の作成のTips】
広告の作成には自社サイトのサービスや販売中の商品中心の説明ではなく、“顧客に直接問いかける”ようなメッセージ性を持たせる事が大事との事でした。

Davidの意見では、広告を見た検索ユーザーに対してアクションを促し、広告の表示方法にもバリエーションを与え、細かいテストを繰り返す事により効果を測定していきます。例えば、ビックリマーク等の記号の配置やアルファベット大文字の使用、微妙な文字の入れ替えなどもテストの対象となり、説明文の文末にはサイト訪問者となった顧客がサイト上で行うべきアクションの内容を伝える事がコンバージョンに効果的な手法との事です。

参考までに英語でのサンプルはこんな感じでした。【】内はそれぞれの効果となるポイント。

adsample

■検索KW: poker information
■タイトル: Poker Information
【検索キーワードが広告に含まれている】
■説明文1:Get the Must read Secrets – Winning
【命令調の動詞を使う、大文字を使ってメリハリを付ける】
■説明文2:At Poker. Sign Up for Daily Emails!
【サイト訪問後、客がとるべきアクションを伝える。びっくりマークを入れてみる】
■表示URL:www.PokerBlasts.com/Poker+Winning
【表示URLの中にもキーワードを含める(Poker+Winning)実在しないURLでも可能】

ここで興味深いポイントとして、挙げて置きたいのが、最後の表示URLの使い方です。Davidによるとサンプルの「/Poker+Winning」のように、URLに意図的に意味を持たせる事により、検索ユーザーを誘導する効果があり、(ドメインさえただしく表記されていれば)場合によっては存在しない URLを指定する事も、掲載のレギュレーションには違反していないとの事です。これが事実なのか、日本でのサービスに適用されるかは未確認ですが、表示 URLも広告の一部と言うコンセプトは自体は間違っていないので、表示URLの重要性を見なしてみる必要があるかもしれません。

Tipsの中には英語の文法の特性を生かした内容もありますが、結論としては、基本的なPPCに対する考え方は同じで、日本の市場や言語でも当てはまる内容でもあったように感じます。特に広告の作成の手法については、かなり細かい部分まで入念にA/Bテストを繰り返えしている点が、一見大雑把なアメリカ人がやっているとは思えない程、詳細に行われている様でした。

また、ウエブキャストの最後に用意されたQ&Aの多さにも驚かされました。面白い質問が幾つか出てていたので、興味のある方はセッションに参加してみられてはいかがでしょうか?


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2008.10.30

SERP(検索結果)ページに検索結果以外に何の情報を表示するかは、各検索ポータルが頭を悩ますところだと思います。

もちろん一番大事なのはウエブサイトの検索結果ですが、各サーチエンジンは自社の検索技術の精度を競い合うかの様にキーワードとウエブサイトのマッチング結果を表示します。各エンジンの技術者としては、ここが研究成果の見せ所とばかりに、高度なアルゴリズムを駆使して検索結果を表示しているのがよくわかります。

検索結果の次に何を提供するか?これはポータルによって違います。皆さんの関心の高い、GoogleとYahoo! Japanを見るとわかると思うのですが、この二つのトップクラスの検索技術を提供する会社は、全く異なる方向性を示していると言っても良いでしょう。違いを見て行きましょう。

例えば、それぞれのポータルにて、『1000円を米ドルに』と検索したとします。この場合、検索ユーザーの意図としては手っ取り早く、為替レートを調べたいので検索をしてみたと言うケースが考えられます。

Googleで『1000円を米ドルに』と検索

googleserp

Yahoo Japanで『1000円を米ドルに』と検索

yahooserp

Google が検索結果の一番最初に最近の為替レートを使って換算結果:『1000円 = 10.16 米ドル』を表示して、その下のGoogleの検索アルゴリズムを使った自然検索の結果を表示しているのに対して、Yahoo! Japanの場合は、一番最初にスポンサードサーチの一位表示の資産運用関連の広告(10月29日現在)とYahoo! Japanの検索エンジンアルゴリズムによる検索結果が表示されます。

Yahoo! Japanにも自社のコンテンツから為替レートを使って、換算結果を出す技術があるはずなのですが、同様の情報は提供しません、これはそれぞれの検索ポータルのポリシーなのでしょう、真似をしたくないだけかもしれません。しかし、ここで一番興味深いのは、両社の広告の表示件数の違いです。『ドル』や『円』などのキーワードに部分一致でマッチしたスポンサードサーチを8位まで表示したYahoo! Japanに対して、Googleはスポンサードサーチ広告の表示はゼロでした。

この結果の違いには色々な要因があると思います。また、キーワードによって結果も異なるので、すべての結果にあてはまる回答は無いと思いますが、それぞれの検索ポータルが持つ広告とコンテンツに対する考え方の違いというのが一番わかりやすい解釈だと思います。

Google の検索結果はUniversal Searchと呼ばれ、昨年あたりから、SESなどでも大きく取り上げられている、検索結果表示の新しい手法の流れです。Googleは関連性が高ければ、自社の提供しているコンテンツはもちろん、画像・動画・ニュース・ブログ・書籍などの情報も検索結果に盛り込む手法をとり、場合によっては広告の表示をしない事を選びました。また、広告が表示されていたとしても、画像や動画などのリッチな情報を含んだ検索結果へクリックを奪われてしまう事を承知でこのような手法をとっています。

一方、Yahoo! Japanはスポンサードサーチのリスティングも、検索ユーザーにとって、とても価値の高いコンテンツとして提供しているように思います。また、スポンサードサーチの表示結果の“質”にも自信とこだわりがあるのだと思います。かれらにも自社のコンテンツはもちろん豊富にあり、それを使う事は簡単な事ですが、今や巨大なメディアとして成長をしている事を考えると、サイトに広告を掲載したいと思っている、膨大な数の広告主のリスティングも平等に一つの情報として提供する事にためらいは無いはずです。また、Panama以降、広告の掲載順位の決定にも品質の要素が加わり、より広告の表示結果もアルゴリズムミックになっている事を考えると、有意義な広告をユーザーに提供するという意味ではでどちらも間違ってはいないと思います。

最後に、つい最近発表された、米国のCompete社の検索連動型広告のクリックシェアに関する調査を紹介しましょう。彼らの調査では、検索回数全体に占める広告クリックの割合を見ると、米国では依然としてGoogleが一位だが、クリックに至った検索回数に占める広告クリックの割合を見るとYahoo!が一位という結果が出ています。記事が解析する要因は、やはり、検索結果の表示方法の違いが大きく影響しているようですが、残念ながら、米国ではシェア一位のGoogleとYahoo!の検索数には大きく開きがあり、広告主への貢献度はあまり認知されていないようです。

The Undiscovered Best: How Yahoo! Actually Leads Paid Search

この調査はあくまでも米国のGoogleとYahoo!間の結果ですが、同じ現象は日本でも起きている可能性は高く、日本のYahoo!は検索市場でも絶対的なシェアをもっているので、もしかすると世界中のどの検索ポータルよりも、広告主への貢献度が高いポータルなのかもしれませんね。


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