2013.12.13

前回の記事 ではタグマネージャの導入でつまずきやすい点についてご紹介しましたが、今回はタグの一元管理から一歩踏み込んで、ROI向上のためのタグマネージャの活用法をご紹介します。

Google Think Insights 」より

一例として、アフィリエイト広告とリスティング広告を運用するときの、媒体評価、各種データを計測するためのタグマネージャ活用法を考えます。

ご存じの方も多いと思いますが、アフィリエイト広告の世界では、以前から”ワンタグ”として、複数ASPのコンバージョンを一元管理するタグが提供されていました。複数のアフィリエイトからのコンバージョンを一つのタグで測定できるだけでなく、アフィリエイト間でのコンバージョンの重複を排除したり、中にはリスティング広告も含めて管理することができるワンタグも存在します。

しかし、ワンタグの場合、単純なラストクリック評価を採用する方式が大半なため、各メディアの特性を考慮した全体最適化のための評価モデルを設計することが難しいのが現状です。

ここでは、話を簡単にするため、ラストクリックを重視したアトリビューションモデルを前提に、コンバージョンが発生したときには、『有料広告』の中でのラストクリックとなった媒体を評価するモデルについて考えてみます。(つまり、有料広告でのサイト訪問後、再度自然検索等からの訪問によりコンバージョンを計測した場合、直前の有料広告に対してコンバージョンを計上します)

これに以下の条件を加えましょう。リスティング広告では、キーワードや広告グループ単位でのチューニングを機動的に行うという側面から、より多くのコンバージョンデータを収集することが重要であるため、リスティング広告に関しては、あえて媒体間の重複を認め、リスティング広告が「ラストクリック」でない場合にもコンバージョンを認識させることにします。

少し考えるとわかりますが、一般的なワンタグでは上記のような、リスティング広告に対しては重複評価を許しつつ、アフィリエイト広告ではラストクリックのみ評価するという計測を実現することはできません。

一方、タグの発行条件を細かく設定できるタグマネージャでは、リスティング広告のコンバージョン測定タグは常に発行されるように設定し、アフィリエイト広告のコンバージョン測定タグに関しては、ユーザの来訪ごとのリファラー情報をもとに、真に(有料広告の中で)アフィリエイト広告がラストの参照元となってコンバージョンが発生する場合にのみタグを発行するといった、柔軟な設定が可能となります。

ご存じのように、アフィリエイト広告は、コンバージョンの発生に対して費用がかかる成果報酬モデルですから、上述のようなタグマネージャの設定を行うことで、アフィリエイト広告をクリックした後、リスティング広告を経由して再来訪しコンバージョンに至った場合には、アフィリエイトに対してコンバージョンを計上しないことで、費用の発生を回避させることも可能になります。

スクロール等のサイト内でのユーザ行動をもとにしたタグ発行もタグマネージャの大きな特徴ではありますが、基本となるタグの一元管理に関しても、既存の”ワンタグ”サービスでは対応しきれない柔軟な設定が可能となります。

弊社では、クライアント様のニーズをヒアリングさせて頂きながら、最適なコンバージョンやROIの評価方法や測定基準を設計するお手伝いを致します。

リスティング・ディスプレイ・アフィリエイト広告など、複数の媒体・流入元からの成果を総合的に管理するアトリビューションモデルや、コンバージョンの測定・評価システムの構築についてお悩みの方は、ぜひ、お気軽にご相談下さい。

【お問い合わせ】
メール:info@LeGrand.jp
電話:0120-066-898

(by 林愛空・コンサルタント)

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2013.11.14

先月AdWords公式ブログより、AdWordsでデバイスをまたいで発生した推定のコンバージョン数が計測できるようになったとの発表がありました。

既に多くのAdWordsアカウントで「クロスデバイスの推定コンバージョン」という指標が確認できるようになっていると思いますので、一度見てみることをお勧めします。

クロスデバイスの推定コンバージョン
【クロスデバイスの推定コンバージョン】
([表示項目の変更] > [コンバージョン]から[クロスデバイスの推定コンバージョン]を表示項目に追加)

この指標により、広告がクリックされたデバイスと異なるデバイスやブラウザで達成されたコンバージョンを推定することが可能となります。

AdWordsが紹介しているデバイスをまたいだコンバージョン例として、下記の2例を紹介していますので引用させていただきます。
<デバイスをまたいだコンバージョンの2つの例>

  • 家族旅行を計画中のユーザーが、朝の通勤電車を待っている途中に携帯電話を使い、Google で行き先候補を検索します。このユーザーは「ホノルルのホテル」の広告をクリックし、表示されたウェブサイトが気に入りました。仕事を終えて帰宅した後、今度はタブレットからウェブサイトにアクセスし、滞在するホテルの予約を行いました。
  • 仕事場のパソコンを使用しているユーザーが、映画のチケットの購入に関する広告をクリックします。その後、どの映画を見るか決めてから、自宅のパソコンを使用して広告のリンク先ページに戻り、チケットを購入しました。

当指標は“Google にログインしたユーザーの集計データ”から推定されているとのことです。一例として下図キャンペーンをデバイス別掲載結果に分けて、クロスデバイスの推定コンバージョンを見てみます。

クロスデバイスの推定コンバージョン例
【デバイス別掲載結果でクロスデバイスの推定CVをみる】

PC、スマートフォン(フルインターネットブラウザ搭載の携帯端末)の全体の総クリックスルーコンバージョン(以下、総CV)に占める割合としてはPCが多い(全体98件中74件)ので、PCが主なCV貢献デバイスであることは明確です。

一方で、各デバイスの「総CV:クロスデバイスの推定CV」の比率をみると、
・スマートフォン:総CV20件+クロスデバイスの推定CV4件(総CVの20%)
・PC:総CV74件+クロスデバイスの推定CV5件(総CVの6.8%)
となっています。

つまり、スマートフォンでは総CV 20件とは別にさらに+20%のクロスデバイスの推定CVが発生しており、PCに比べてクロスデバイスの推定CVの割合が高いことが分かります。

換言すれば、この場合スマートフォンはPCに比べて、これまで把握できていた総CV以上にCV貢献をしている可能性が高く、成果を評価する際には、「総CV + クロスデバイスの推定CV = 推定合計CV」で算出される推定合計CVをみることが必要といえます。

あくまで推定指標ではあるものの、スマートフォンがコンバージョンの“起点”となる一方、最終的にPCで購入手続きが行われるケースが多い商材においては、これまでは数値上スマートフォンのコンバージョンは少なく、「貢献度が低い」、「効果が不透明」と言わざるを得ませんでしたが、当指標によって、スマートフォンへどれほど広告予算を投資すべきかどうか判断しやすくなります。

(by 桑原 達彦・コンサルタント)

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