2013.2.21

先日2/18に開幕したばかりのSES London 2013。既にTwitterやブログなどでセッション内容の様子が語られていますが、それらをみていくと、「Google Video Adsが十分に活用されておらず、もったいない」という意見が述べられているセッションもあるようです。

Googleによれば“YouTube は世界最大規模のオンライン動画サイト”であり、“全世界で毎月 8 億人のユーザーが YouTube にアクセス”し、さらには“18~34 歳のユーザーは、テレビを観るよりオンライン動画を観る時間の方が長くなって”いるとのことですから、確かにGoogle Video Adsをデジタルマーケティングの一つの有効な手法として活用しない考えはありません。

一方で、十分活用されていない背景には動画そのものを作成する手間もさることながら、Google Video Adsに関する知識が煩雑化し、導入の妨げになっていることも少なからず挙げられるのではないでしょうか。(「YouTubeプロモート動画」、「動画広告向けAdWords」、「ディスプレイ広告ビルダー」、「True View動画広告」、「Google Video Ads」・・・。新しい名前が次々に現れ、いったい何が何なのか、体系的に理解するもの大変で困っている方も多いかと察します。)

そこで今回は一度YouTubeを活用した動画広告について歴史を振り返りながら改めて整理したいと思います。

【YouTubeプロモート動画の登場】
そもそもAdWordsよりYouTubeを活用した動画広告サービスが日本でリリースされたのは2009年10月で、その時には「YouTubeプロモート動画」という名称で活用されていました。

YouTubeプロモート動画は“動画をプロモーションするためのプログラム”として登場し、こちらの記事にある通り、関連動画欄や、動画再生中にオーバーレイとして動画再生を促進する広告を表示したり、インストリーム動画広告(ユーザーが見ようとする動画が再生される前に再生される広告)として動画を実際に見てもらったりすることが可能になりました。

そしてこれらの配信設定を行うために、ディスプレイ広告の作成を支援するために提供された「AdWordsディスプレイ広告ビルダー」を活用し、出稿作業を行う必要がありました。

【動画広告向けAdWords(Google Video Ads)への移行】
プロモート動画広告の登場から数年後の2012年4月、Googleは全ての広告主に「動画広告向けAdWords」をリリースしました。これはGoogle Video Adsとも呼ばれており、現在Googleでは自らも動画広告を行うなど積極的に活用を促しています。

動画広告向けAdWords(Google Video Ads)では、動画広告に特化したキャンペーンを簡易に作成することができるようになりました。([新しいキャンペーンを作成] > [オンライン動画]より設定できます。)

【動画広告向けAdWordsでの動画広告キャンペーン設定】

プロモート動画が登場した際に利用していた従来のディスプレイ広告ビルダーでは、[新しい広告を作成] > [ディスプレイ広告ビルダー]を選択する広告単位での設定が必要であったため、非常に便利になったといえます。

また、視点を変えるとYouTube プロモート動画ではAdWordsの通常のディスプレイネットワーク配信用キャンペーンで配信する広告に、YouTubeにアップされた動画宣伝の広告を設定するという「AdWordsを活用して動画をプロモートする」という位置づけでしたが、Google Video Adsではキャンペーンそのものが動画広告に特化したものとなっているように「動画を活用してビジネス全体を拡大する」という考えが当てはまるといえます。

【True View動画広告とは】

Google Video Adsでは「True View」と呼ばれる広告フォーマットを利用します。(このフォーマットで配信される広告は「TrueView 動画広告」とも呼ばれています。)
こちらの記事 に紹介されているようにTrue View動画広告には4種類の配信形態が存在し、プロモーションに合わせて適切な広告を選択することになります。
・TrueView インストリーム広告
・TrueView インサーチ広告
・TrueView インスレート広告
・TrueView インディスプレイ広告

「True View」の直訳は「本当の視聴」ですが、これは、動画を“本当に見た”ときに広告料金が発生するという仕組みに基づいたものであり、ユーザーが能動的に広告を選択することを望むGoogleの考え方から来ているものと思われます。(TrueView インサーチ広告等では広告をクリックした時点で再生が始まるため、クリック=視聴開始=課金、ということになり、もちろん動画を全て見たという意味でのTrue Viewではありませんが。。)

※なお、Google Video Adsでは、True Viewフォーマットで統一していますが、現在でも、ディスプレイ広告ビルダーを活用した動画広告の設定も可能です。設定方法の違いはありますが、YouTube上でみられる両者の配信に大きな違いはありません。(詳細についてはこちらを参照ください。)

こうした変遷もあり、GoogleではYouTubeプロモート動画から動画広告向け AdWords(Google Video Ads)への移行を呼びかけており、現在はGoogle Video Adsを中心にプロモーションへの活用が進められています。

最後に、現在開催中のSES Londonのセッションのお話に戻ると、マーケターが2013年に注目すべきトレンドは、
1. フェイスブック
2. モバイル
3. 動画
ともいわれ、特に動画の可能性については「最後の未開拓地」(可能性があるのに、まだ利用者が少ない)といった表現も使われ、複数のセッションでその可能性に注目が集まっています。

(by Tatsuhiko Kuwahara, Consultant, Le Grand)

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2012.8.09

7月31日(火)、株式会社インフォキュービック・ジャパン とルグランの共催によるセミナーが開催されました。
今回は、「変化し続ける市場で一歩先をいくために必要な実践的デジタルマーケティングとは」をテーマに、インフォキュービック・ジャパン代表取締役 山岸氏と弊社代表 泉が、今春参加したSESロンドンとニューヨークで得た最新の業界情報やデジタルマーケティング戦略についてお話しました。
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■「検索エンジンマーケターに求められる意識改革~SEM先進国イギリスから学ぶ~」
株式会社ルグラン 代表取締役 共同CEO 泉浩人

SESロンドンに参加した泉からは、経済規模、広告市場ともに日本の約1/3であるイギリスが、ネット広告市場だけを見ると、日本を大きく上回る高い成長率を続ける点に着目、その要因について、今回の視察から得た知見をお話しました。(イギリスのネット広告市場についてはこちらのコラム をご覧ください)

日本では、ネット広告市場の伸び率が鈍化する原因のひとつに、「検索の枯渇」があげられますが、ネット大国イギリスにおいては、新たなデジタルマーケティング戦略が、その成長を支えているといえます。その戦略の根本となっているのが、SESロンドンの基調講演で登壇したAvinash Kaushik 氏が提唱する「エコノミックバリュー」思考です。直接コンバージョンにつながるマクロコンバージョンだけでなく、間接的に効果のあるマイクロコンバージョンもあわせて評価しましょう、という考え方は、「ディスプレイ+検索」を組み合わせた施策に活かされ、興味・関心を引き起こすディスプレイ広告が検索を誘引する効果が生まれているとお話しました。

そして、RTB(Real Time Bidding)やターゲティングがカギとなる、新たなディスプレイ広告が台頭し始めた今、サーチマーケターは、検索で培った入札やターゲティングといったスキルを、ディスプレイ広告でも活かし、検索とディスプレイを組みあわせて、効果をあげていくという戦略を立てることが大切であるとお伝えし、セッションを終了しました。

■本場、米国のSEO最新事情とウェブ担当者が考えるべき今後のGoogle SEO対策
株式会社インフォキュービック・ジャパン 代表取締役 山岸ロハン氏

続いて、山岸氏から、SEO対策におけるGoogleアルゴリズム(パンダ、ペンギン)とスパムの対応方法についてお話いただきました。
最近日本でも導入されたパンダアップデートでは、Googleの検索結果の品質を高めることが目的であるため、サイトのコンテンツの内容が評価されることがポイントであると山岸氏は言います。これまで、SEO対策というと、裏ワザやテクニックといった検索エンジンの裏をかいた対策に注力しがちでしたが、コンテンツが評価される今、テクニックレベルではなく「有益なコンテンツ」をつくることが重要になってくるとお話されました。

一方で、リンクからのSEO対策が求められるペンギンアップデートでは、リンクの質もさることながら、その貼り方にも注意が必要であることを事例を紹介しながら説明され、スパムと判断され警告を受けたときは、警告の解除に向けて早急にアクションをおこし、その後のランキングに影響を与えないことが大切であるとアドバイスされています。

そして、今後は、SEO対策にはテクニックだけでなくコンテンツ戦略が求められることから、SEO運用部隊は、企業の中で技術部門のトップであるCTO(chief technology officer)ではなく、CMO(chief marketing officer)の傘下に置かれるべきだとして、講演を締めくくりました。

最後のパネルディスカッションでは、会場からの質問に2人の登壇者が回答する形式で進められ、「ディスプレイ広告+検索」の効果がでるまでの期間や予算等の具体的なお話や欧米のネット広告に関する話題が取り上げられ、盛況のうちにセミナーが終了しました。

なお、ルグランでは、ロンドンに引き続き9月に開催されるSES香港への視察旅行を企画しました。現地では日本語でのTwitter解説があるので、英語が苦手な方も安心してご参加いただけます。ご興味がある方はぜひ、ご参加ください。

「ルグランと参加するSES香港」の詳細はこちら

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