2011.5.01

いま、ゴールデンウィークの真っ最中に、このブログを書いていますが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

今年は、5/2(月)や6(金)をくっつければ、かなり連続して休みが取れる曜日の配置になっていますが、震災の影響や、その後の自粛ムードの中で、ゴールデンウィークに旅行をする人は、前年比で大幅なマイナスは避けられない、といった悲観的な予測が多かったように思います。

ところが、いざフタを開けてみると、各地の高速道路は大渋滞。東海道新幹線も、4/15の時点での予約状況は前年比マイナス25%の約69万席と発表していましたが、それから10日間で約111万席まで増えるなど、ゴールデンウィークが近づくにつれて、需要は急速に回復しているようです。

また、4/29には、東北新幹線も全線で運転が再開されたことで、東北地方への旅行者も大幅に回復し、「弘前さくらまつり」が開催されている青森県弘前市では、震災後、ホテルや旅館へのキャンセルが相次いだそうですが、現在は、どこも、ほぼ満室の状態だそうです。

しかし、検索ユーザーの動向を見ると、こうしたゴールデンウィーク前の「駆け込み」ともいえる需要の急回復の予兆は、データにはっきりと表れていたことが分かります。下図は、日本国内の検索ユーザーが、2〜4月の間に「旅行」というキーワードが検索された回数の推移を示したものです。

これを見ると、震災を機に、一気に冷え込んだ旅行関連の検索ですが、特に4月中旬以降、急速に回復し、4月末には、ほぼ震災前の水準にまで検索が戻っている様子が分かります。

また、海外に旅行をしようとする人も、順調に増えているようです。下図は、同じ期間に「海外旅行」というキーワードが検索された回数の推移をしていますが、こちらも、4月以降、徐々に回復傾向にあり、4月末には、震災前の8〜9割くらいの水準にまで達しています。

ゴールデンウィークが終わると、今度は夏休みのレジャーに向けた計画や情報収集が始まります。この検索のトレンドが続けば、今年の夏休みを海外で過ごそうと言う人は、かなり増えるのではないでしょうか。

(by Rod Hiroto Izumi, Founder & Co-CEO, Le Grand)



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2011.4.19

先週のInteractive Advertising Bureau (IAB) とSearch Engine Marketing Professional Organization (SEMPO) からの相次ぐ発表によると、2010年の米国インターネット広告市場は記録的な売り上げとなり、さらに、検索連動型広告に関しては2011年も前年比で16%の売上げの伸びを予測している事が分かりました。IABとSEMPOはほぼ同時にこれらの調査発表をリリースし、IABは主に2010年度のデータの総括し、SEMPOは2011年度の見通しを発表している点が異なるものの、どちらもネット広告業界にとっては明るいニュースだと言えるでしょう。

IABの“IAB Internet Advertising Revenue Report”の発表では、2010年の米国のネット広告市場は15%の伸び率で、売上げは過去最高の 260億ドルとなり、一方、SEMPOから発表された2011年のSEM市場の現状と動向を予測する“State of Search Marketing”によると、北米の“検索連動型広告市場”の伸び率びは約16%と予測され、総売上げも193億ドルになるとの予測が立てられ、2010年の166億ドルを大きく上回る事になる模様です。

internet advertising revenue report
“IAB Internet Advertising Revenue Report”より、ネット広告の売り上げの推移(米国)(c) IAB

state of search
“State of the Search”より、検索連動型広告の市場規模の推移と予測(北米)(c) SEMPO

IABの発表内容からいくつかの注目すべきポイントをピックアップすると、近年ディプレイバナー広告の売上げの急成長が注目を浴びている中、引き続き2010年中で一番ポピュラーなオンラインマーケティングの広告フォーマットは去年に続き検索連動型広告(Search)で、伸び率ではディスプレイ広告に及ばなかったものの、全体の46%のシェアと12%の伸び率を記録しました。また、2010年よりデータの集計が始まったモバイル広告市場に関しては、細かい広告形態での分析は無いものの、5.5億ドル~6.5億ドルの売上げがあったと発表されています。

internet advertising revenue report
“IAB Internet Advertising Revenue Report”より、ネット広告の広告フォーマットの構成比率(c) IAB

さらに、今回の調査が行われた2010年の第4四半期をもって、ネット広告市場は2009年の金融ショック以降、5期連続での売上げの伸びを見せ、経済、金融市場の低迷期の困難を乗り越えて、確実に成長を取り戻し、回復している事を確信づけています。

また、SEMPOが毎年発表する“State of the Search”でも明るい見通しのデータが目に着きます。特記事項としては、ソーシャルマーケティングの分野でのFacebookのプラットフォーム上のクリック課金(PPC)広告の利用率の伸びや、IABの発表と同じく、成長を続けるモバイルプラットフォームを使ったマーケティングや、PCでの行動ターゲティングが注目視されている事が挙げられています。

そして、SEMPO側の興味深い発表内容としては、米国ではインハウス(自社内)でのSEO、PPC、ソーシャルメディアマーケティングの自社での運用が減り、アウトソース(外注)に頼る傾向にあると言う事です。この背景には、市場の拡大とともに複数の媒体、プラットフォームでの広告マーケティング効果を横断的に管理し、なおかつ最適化を行うには、専門知識を持った広告代理店に管理、運用業務を委託する事が効率的と考える広告主が多いのでは無いでしょうか?

IABが2010年の記録的な売り上げを発表し、SEMPOが2011年の伸びを予測した形となった今回の発表についても、どちらも好調な数値が見込まれる内容となっているのは、この業界に携わる者にとっては嬉しい事です。今回の発表は北米、米国を中心としたリサーチとなっていますが、これまでも日本の市場は北米地域の動向をフォローする傾向があるので、期待が持てます。

しかしながら、現在の日本国内の状況を踏まえると、日本のネット広告市場が米国と同様の成長を見せる事は厳しい状況にあるのは事実ですが、日本市場全体のネット利用者数やネットでの検索数に関しては震災での悪影響は最小限にとどまったのかとも思われます。また、逆に色々な情報収集の為に検索やソーシャルメディアの活用が注目され、緊急時のスマートフォンでのコミュニケーションの利便性などが各種メディアでクローズアップされ、検索やネット利用者は増えている傾向にあると思われます。

個人的な感想としては、震災後、日本のネットユーザーはネットの活用方法をみずから次のステージにレベルアップさせ、ネットを活用する能力を押し上げたと思います。今回の体験を機会に、ネットの速報性の早さ、検索の利便性や、ソーシャルネットワークのコミュニティの力はこれまで以上に日本人をネットに近づけたので無いでしょうか。そんな状況の中、ルグランではこれからもネットを使って皆さまのお役に立てるように、頑張らせて頂きます。

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今年で調査開始から7年目を向え、66カ国の900社の広告代理店、広告主を対象にしたオンラインでの市場調査を基に作成されたSEMPOの“State of the Search”はサンプルが一部無料で、正式版は有料にてダウンロードする事が可能です。詳細はこちらから
http://econsultancy.com/us/reports/sempo-state-of-search

IABの“IAB Internet Advertising Revenue Report”は無料でダウンロードが可能です。下記のサイトからPDF版とWebinarにアクセスが可能です。
http://www.iab.net/insights_research/947883/adrevenuereport

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(by Kenta Umezu, Chief Operating Officer, Le Grand)



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