2011.10.21

今回の「ルグランルーム」・『Convince & Convert ~買いたくなるキモチにさせるしくみとシカケ~』事前対談は、以前にも「Digital Marketing College 」にて講師としてご協力をいただいている、コミュニケーション・ラボの佐藤達郎さんです。

『教えて!カンヌ国際広告祭』の著者である佐藤達郎さんは今回、ルグランルームでは、「これからのソーシャル・クリエイティビティ ~伝えるから繋げるへ~」と題したセッションにてスピーカーとして登場していただきます。

では、早速対談の模様をお楽しみください。

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泉浩人(以下、):達郎さんには、7月に弊社の「Digital Marketing College」でゲスト講師として「ソーシャルメディア時代に求められる広告」というテーマでお話をしていただきました。そしてまた今回、アドテックのルグランルームでお話をして頂くことになりまして、ありがとうございます。

今回のアドテックでは、テーマは、「ソーシャル・クリエイティビティ」になっていますね。

佐藤達郎(以下、佐藤):ソーシャルメディアの時代になって、広告のクリエイティビティが変わってきているという話をしようと思っています。今までは、どんでん返しがあってとか何がどうなってみたいなストーリー性や、美しい映像が出てくるようなアート性が大事だったのが、伝播性が大事になってきています。人から人へ伝わるってことですね。僕は、この「ソーシャル・クリエイティビティ」という言葉を、2010年10月に広告学会で初めて使ったんですけれど、たまたまその同じ10月にDDBというグローバル・エージェンシーが”Introducing Social Creativity”という文書を出していて、彼らがその表紙に書いていたのは、今まで広告コミュニケーションというのは、ブランドと消費者を繋いでいたけれど、それに加えて、これからは人々と人々を繋がなければならない、ということ。つまり、その商品の良さを、僕が広告を作る人としてお二人にどう伝えるかということを考えるだけじゃなくて、二人がそれについて語るようなことを考えなければいけないってことなんですよ。それが、これからの広告がやっていかないといけないことなんですよね。

山辺仁美(以下、山辺):その話は、是非詳しく伺いたいですね。達郎さんのブログをいつも拝見しているんですが、面白い話ばっかりで、このお話も聞きたい、あのお話も聞きたいって思っちゃうんです。例えば、ブランドウィルのお話も面白いですよね。最近は特にソーシャルで声をリスニングすることがフォーカスされすぎているように感じますが、その企業のウィルって大事だと思います。

佐藤:ブランドウィルの話は、やはり広告主の方々、特に商品開発の方々は興味を持って下さいます。ジョブズが亡くなって、ネットでいろんな話が出ていますが、ジョブズが「消費者に自分の欲しい物を聞いたってわかるわけない」って言っていて、それはその通りだと思いますね。

あと、前回、泉さんとお話しした時には、クリエイティブジャンプって言葉に反応されていましたよね。

この言葉は外資のクリエイターが好きで、広告代理店のクリエイターからすれば当然の話で、論理で詰めて作れるならクリエイターはいらないじゃないかという話なんです。ベースは論理で作るけど、どこかでジャンプしないといけないんですよ。

山辺:そういう論理と感覚の話は、デジタルマーケティングでも一緒で、データは大事なんだけど、データは全てじゃないっていうことも私たちはお客様にお話ししています。

佐藤:そうそう。最近考えていることがあるんですが、総務省の調査などで、10年前と比べて情報量が400倍になっているという話があって、大体結論は、情報過多で情報がありすぎるのが嫌になっているということに落ち着くんです。でも、それは、ネットがない時の人が、ネットが出来て感じていることで、二十歳の子たちはそうは思っていないんじゃないかと思うんです。

実際に手を挙げさせて聞いてみると、6:4から7:3で、情報が多くても自分で取捨選択するので情報過多とは思わないと言うんですよ。実際、うちの子供たちも4歳くらいからYoutubeでいろんなものを検索していますしね。それが普通な環境で育てば、今の情報量が普通なんですよね。

:弊社アドバイザーでもあるITジャーナリストの佐々木俊尚さんがどこかで書いていたんですが、情報が過多で大変だって言っている人たちの特徴は、スルー出来ないことなんだそうです。全てを読もうとしちゃうし、ちょっとでも自分にネガティブな情報があると、そこにズーンと入っちゃうような人は大変に感じちゃうんですよね。デジタルネイティブな人は、最初から全部読もうなんて思わない。

佐藤:誰かがTwitterで書いていましたけど、テクノロジーの発展って言う人は、それがない時代を知っている人なんだ、と。だって、電話で声が聞こえてすごいとか、テレビが映ってすごいとか思わないですからね。

山辺:そう考えると、私たちはものすごい変化の時代を見てきているということですね。

佐藤:僕は、メディアの歴史をまとめて学生たちに教えているんですが、ずっとそうなんですよね。電話もそうだし、新聞もそう。印刷という技術が生まれる前は手書きだった。新聞が出始めた頃は、ヨーロッパでも文盲の人が多かったから、読み聞かせの場所に、お金を払ってもニュースを聞きたいと言って集まってくる人たちがいた。また、メディア論的に言うと、革命があったり、新大陸の発見があったりして、人々がニュースを聞きたかったんですよね。

山辺:なるほど。今は、ラジオを聞く若い人たちはいるんでしょうか。

佐藤:学生たちに聞いてみると、100人に10人くらいはラジオ大好きな子たちもいるんですよ。メディア論には、もちろん電話も出てくるんですが、昔は、固定電話しかなくて、電話も大変でしたよね。学生の頃は公衆電話に並んだりして。(笑)それが、親機と子機に分かれるようになって、携帯電話が出来て、スマホになって、データがクラウドで共有まで出来ちゃう。Wi-Fiなんてすごい技術だよね。

:今は、ワイヤレスで充電まで出来ちゃうみたいですよ。

佐藤:そうなんですか!?びっくりですね。

山辺:本当に達郎さんとお話ししていると話題が尽きませんが、アドテックではこんなにいろいろお話し頂いて、お時間足りるでしょうか。

佐藤:いやいや。ソーシャル・クリエイティビティの話は必ずしますけど、それ以外は、まだ何を話すか決めていません。(笑)

山辺:ところで、達郎さんは、近々、また新しい本を出されたり、大学でもお忙しいところなんですよね。

佐藤:そうそう、本は今週出ます。「自分を広告する技術」というタイトルで、自分ブランドというか自分マーケティングを、広告のテクニックを使ってやろうという本です。若い人が参考にして、就職活動や仕事で活用してくれると良いと思うんですよ。

大学の方は、今、多摩美術大学の他、非常勤で青山学院大学、東京女学館大学で教えています。その他にも最近バンド始めちゃいましてね。

山辺:え~っ!すごいですね。

佐藤:なんだかね、見に行ったバンドが、ロックバンドなんですけど、オリジナル曲やっていて、良いなぁと思っていたら、ベースがいないってことでやることになっちゃって。物置から腐ってるベースを引っ張りだしてきましたよ。でも、もう使えなくて、新しいのを買っちゃいました。

最近は、シンガー・ソング・プロフェッサーを名乗っています。(笑)

山辺:すごいですね。さすがコピーライター。そういう名前を付けるのお上手ですね。

アドテックでのワークショップでも、是非、歌ってください!持ち時間は自由にお使い頂いて構いませんので。(笑)

佐藤:僕、2006年くらいかな、アドフェストで歌ったことありますよ。セミナーで、テーマを考えていた時に思いついた曲があって、それをやっちゃえと。セミナーの最初にギターを持って出て行って、弾きながら歌ってね。良い掴みになりましたよ。

それでね、この間、韓国のエージェンシーの人と会った時に、「おまえはADKにいたのか?タイで歌ってなかったか?」って聞かれたんです。5年も経ってるのに驚きました。(笑)

山辺:それは、またすごいですね!こうやってお話を伺っていても、次から次へといろいろなお話が出てくるのが達郎さんの魅力です。

当日、一体どんなことになってしまうんでしょうか!ものすごく楽しみです!

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アドテック東京」 まで残すところ、あと1週間を切りました。ご存知の方も多いと思いますが、「アドテック東京」は、最先端企業によるセミナーやワークショップが開催さ れ、変化し続けるマーケティングに関する最新情報が発信される場として、年々規模が拡大している国内最大のデジタルマーケティングのカンファレンスです。

今年は、弊社CEOの泉が「ソーシャルリスニングによるサーチキャンペーンの最適化」をテーマにセッションを持たせていただくことになり、それに加え、アドテック会場内にルグラン専用セミナールーム「ルグランルーム 」を開設し、国内外のマーケティングの業界で活躍する識者やメディア関係者を招き、『Convince & Convert ~買いたくなるキモチにさせるしくみとシカケ~ 』をテーマに海外を含む業界の最新動向や、集客・売上を上げるための施策作りなど、2日間で10以上のセッションを開催することになりました。

ご来場の際は、ぜひお気軽に「ルグランルーム」お立ち寄りください。

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2011.10.14

弊社ウェブサイトにてもお知らせをさせて頂いておりましたが、10月5日(水)に株式会社ルグラン、株式会社アスキー・メディアワークス共催による第二回「Digital Marketing College(以下DMC)」が開催されました。

今回で第二回目となるDMCでは、アスキー・メディアワークス / Web Professional編集長である中野克平さんをゲスト講師に迎え、「デジタルマーケティングの効果を最大化するWebライティング~ストーリーを作ろう~ 」というテーマで、広告やWebにおけるライティングスキルの重要性についてお話を頂きました。なお、開講に先立って行われた中野さんと弊社代表泉の対談の内容はこちらをご覧ください。

当日はあいにくの雨模様の天気となりましたが、広告に携わっておられる方や、実店舗を営んでいらっしゃる方など、多くの方々にご参加を頂き、会場は開始前に既に満員で、急遽補助椅子が必要となるほどの盛況となりました。また、参加者の方々からは実際にこのケースではどのようなライティングをするべきか?といった具体的なご質問もあり、第一回DMC同様、参加者の方々の意識や関心の高さがうかがわれました。

以下、第二回DMCセミナーの内容についてご紹介いたします。

■「デジタルマーケティングの効果を最大化するWebライティング~ストーリーを作ろう~」アスキー・Web Professional編集長 中野 克平氏

中野さんからは、ライティングにおけるストーリーとは何か?なぜストーリーを必要とするのか?を軸に、実例を交えながら、効果的なライティングの構成やこれからの求められるライティングについてお話頂きました。

人はなぜストーリーを必要とするのか?という点について、中野さん曰く、それは”現代の豊かな社会では人生が退屈だから”であり、「起承転結」の「転」を欠いた退屈な日常から逃れるためには、人々は「転」のあるすストーリーに惹かれるのだ、と話されていました。

そして、この「転」について、具体的な事例を交え、ストーリーに「転」を作る方法についてご説明を頂きました。例えば、iPhoneには、これまで常識であったボタンを”取り除く”という「転」が存在しています。また、iPhone誕生後、スマートフォン市場は大きく成長し、遂には、我々のライフスタイルにまで「転」を生み出したといえます。

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【ストーリーがイノベーションを作る】

また、ストーリー作りは、コンバージョンを促す上でも重要ですが、組み立て方によっては、消費者に感動や納得を与える大きなストーリーを作ることも可能であり、さらにそこから、人々の生活や文化を帰るようなイノベーションが生まれることさえある、というお話で締めくくられました。

■「なぜ、ライティングが重要なのか?ネット先進国アメリカの最新事情」 泉浩人

続いて、泉からは主に検索エンジン対策の視点から、”なぜ、ライティングが重要なのか?”についてお話をさせて頂きました。

本講演では、今年の8月にアメリカで行われたSESでも大きなトピックの一つであったコンテンツの重要性について、既に米国などでは導入が始まっているグーグルの新アルゴリズム「パンダ」が生まれた背景や検索エンジンの歴史なども交えて、お話をさせて頂きました。

検索エンジンの歴史については、人々がウェブサイトを見つけやすくするためにと考え出されたYahoo!の「ディレクトリ」に始まる検索エンジンの生い立ちや、検索エンジンの信頼性を高めるための10年以上にも渡るスパムとの闘い、その中で、グーグルが、外部リンクによるサイト評価手法「ページランク」を産み出した経緯などが紹介されました。

そして今日、「伝統的」なスパム手法については、検索エンジン側での対応が進む中、何とかして検索結果の上位に掲載されたいと願うサイト運営者は、できるだけ手間ひまをかけずに、サイト・コンテンツを量産することで、検索エンジンにひっかかる可能性を高めようという動きに出ています。

この結果、検索結果の中には、情報としての価値に乏しいサイトも数多く含まれるようになり、こうしたサイトをできるだけ検索結果から排除することを目的に生まれたのが、グーグルの新アルゴリズム「パンダ」であるといえます。

このアルゴリズムが導入されたことにより、例えば外部コンテンツを組み合わせて自動生成されているために、情報として内容が浅薄だったり、あるいはオリジナリティに乏しいコンテンツで構成されるサイトやページに対する評価が大きく下げられるということが起きています。

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【コンテンツファームサイトはパンダの対象に】

こういった環境の変化を踏まえ、サイト運営者の間では、これまで以上に”Content is King”、即ち、コンテンツこそが要であるという意識が高まっており、米国では、より良いコンテンツの作成をサポートするための様々なツールやサービスも誕生しています。

もちろん、「パンダ対策」というのは一つのきっかけに過ぎず、目の肥えた消費者を納得させるためには、今後、日本においても、サイト上で、どのようなコンテンツを提供できるのかが、ビジネスの成否を左右するようになるということは言うまでもありません。

■ 対談「雑誌ライティングとWebライティングの違いについて」中野 克平氏 × 泉 浩人

最後に中野克平さんと泉による対談です。

泉浩人(以下、):中野さんはもともと新聞社のご出身で、今はWebの世界にいらっしゃるわけですが、先ほどお話し頂いたストーリーの作り方について、紙とWebの世界で共通する部分や異なる部分についてお聞かせ願えますか?

中野克平さん(以下、中野):共通する部分では、紙でもWebでもストーリーであることに変わりはないので、結局のところ楽しませるものでないといけないですよね。泉さんがお話したコンテンツを重視するグーグルのアルゴリズム「パンダ」でも、結局は見る人・読む人を楽しませるコンテンツでないといけないことですよ、ということだと思います。中身のないコンテンツは広告主の為にも読者の為にも、誰のためにもならないですよね。

:では違う部分はどういったところですか?

中野:紙の媒体では、WebのようにコンテンツのA/Bテストができるわけではないですし、どっちのコンテンツがいいのかといったことは、結局数字として評価できないですから、そういう点では大きな違いがあると思います。

:今Webのコンテンツというのはどのように作られていると見ておられますか?企業によっては、サイト運営者自身が、コンテンツの多くを自ら用意する場合もあれば、制作会社に任せているというところもあると思います。特に、制作会社に多くを委ねる場合、例えば、デザイン案については、サイト運営者と制作会社の間で、多くの時間をかけて検討が進められることが多いと思いますが、一方、そこに掲載される文章などのコンテンツにおいては、あまり注意が向けられないケースもあるように思うのですが。。。

中野:会社にもよりますが、プロモーション系のWebサイト制作に強い会社とネットショップ系に強い会社を比較すると、これは私の個人的印象ですが、後者の方が、コンテンツの作り方が上手だなと思います。例えば、アパレルの実店舗では、季節の商品を最も手前に陳列する一方で、季節に関係なく売れるものはお店の奥においてあります。こうした店舗作りの経験は、コンテンツを作る上でも、役に立つところが多いのではないでしょうか。

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【雑誌とWebでのライティングの違いや共通点は?】

:なるほど。一方で、リアルの店舗の導線をそのままイメージして、ネットの店舗を作るということについては、気を付けるべき点も多いですよね。例えば実店舗では、奥に置かれてあるパンツが欲しい場合、手前にある季節商品の前を通ることになりますが、ネットの場合は、いきなりパンツ売り場に行くことができます。にもかかわらず、サイトに来た人たちには、実店舗のようにいろんな商品を見てもらいたいという理由で、パンツを探していることが明らかな人も、お店のTOPページ(入口)に誘導しようとする方も少なくありません。

中野:店舗を作った方の意図やノウハウを汲み取り、体系化しておけばそういった思い込みは生じないと思います。私はどちらかというと生意気な新入社員で(笑)、何においても、人の言うことを鵜呑みにするのではなく、何故そうなっているのか?と常に自分で考えていました。サイトの動線やコンテンツを考える上でも、「なぜそうあるべきなのか」ということを考え抜くことが大切なのだと思います。

本セミナーには多数の方々にご参加頂き、誠にありがとうございました。また、貴重なご講演をしてくださった中野克平さん、セミナーの開催にあたり、会場の提供や企画・運営にご協力を頂いたアスキー・メディアワークス様にも改めて御礼申し上げます。

「Digital Marketing College」は今後も定期的に開催予定ですので、内容が決まり次第弊社ブログやニュースレター、あるいはフェイスブックページなどでお知らせを致します。

なお、来たる10/27、28に開催されますad:tech Tokyoにおいて、今回”ルグランルーム“を設け、「Convince & Convert ~買いたくなるキモチにさせるしくみとシカケ~」をテーマに、第一回DMCのゲスト講師である佐藤達郎さん、今回ご講演頂いた中野克平さんの他、国内外のマーケティング業界で活躍する識者やメディア関係者をお招きし、『Convince & Convert 』に必要なしくみとシカケとは何かについて、考えていきます。また、今回のDMCのダイジェスト版を、初日の午前中にビデオセミナーという形で上映します。

ルグランルームは、スピーカーの方々や、参加される方同士が気軽に意見交換やネットワーキングできる「リビングルーム」のような空間です。是非、お気軽にお立ち寄りください。

※ルグランルームでのセッションの詳細は下記でご覧いただけます。

ルグランルームスケジュール一覧

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