2011.10.07

爽やかな秋晴れが広がる9/28(水)、第2回目となるルグランと株式会社ロフトワーク さんが運営するウェブエキスパート との共同セミナーを開催しました。

「データの統合と分析〜ビッグデータをつかまえろ〜」をテーマにした今回は、第1回 でお話したデータの分析・活用から一歩踏み込んで、統合的にデータをみてコンバージョンアップにつなげる方法を、グループワークを通して考えていきました。

データは断片的ではなく統合して見ることが重要です

【データは断片的ではなく統合して見ることが重要です】

まずは、ご参加者の皆様に自己紹介をして頂いた後、前回の復習からスタート。データとはゴールではなく、迷った時に戻るべき場所であり、次の方向を導くコンパス代わりであることを確認しました。その上で、クライアントや代理店、制作会社の間のトラブルを避けるために、データという共通言語を持っておくことが大切であることお話しました。

続いては、いよいよ3チームに分かれてのグループワークです。各チームには、それぞれ違うデータ(1.ECサイト(架空)のアクセス解析データ、2.売上データ、3.リスティング広告運用データ)をみてもらい、最近の傾向や問題点などを発表して頂きました。その結果、各チームの発表では、3チームとも同じECサイトの結果を見ているはずなのに、検証するデータが違うために様々な意見がでました。

データを見ながらディスカッション

【データを見ながらディスカッション】

たとえば、アクセス解析のデータだけを見ると、直帰率が急激にあがり、何か問題が起こっているように見えます。しかしながら、リスティングのデータだけを見ると、CPAは安定しコンバージョンもとれているので、良い結果ではないかという一方で、売上データを見ると、売り上げに占める広告費の割合が増えているので、広告費がかかっているように見えます。このように、ばらばらにデータを見ると、すべて正しい意見、分析といえます。それでは、すべてのデータを一緒に見るとどうでしょうか?

リスティングは良かったが、売り上げに対する広告費率があがったというのは、実はアフィリエイトやSEO等、他のチャネルが悪かったために、単純に広告費を割った時に広告費率あがっているように見えるのではないか?といったポイントは、データを統合しないと本当の問題がどこにあるのか見えてきません。

その結果、個々のデータを見ている人とすべてのデータを統合して見ている人とでは、処方箋(対策)が変わってくるのは必然的で、時にやらなくても良いことを行ってしまい、細部に入り込んで深堀しすぎて、間違った方向進むパターンに陥る危険があるとお話しました。

次に、ロフトワーク さんでデジタルマーケティングをご担当されている、Webマスターの山口謙之介 さんにご登壇いただき、「間接効果を評価してコンバージョンアップ!」と題して、全体最適についてお話いただきました。

ロフトワーク Webマスターの山口さん

【ロフトワーク Webマスターの山口さん】

ロフトワーク さんは、CMSを使ったサイト構築、イラスト素材制作や印刷物などを制作する総合制作会社で、見積もり依頼と問い合わせをリスティングのゴールとして運用しています。これまで、目標とするCPAとコンバージョンアップのために、長いスパンでデータを検証し、色々な施策を実施してきました。その中で、山口さんはコンバージョンが出ていない不採算キーワードに着目し、思い切ってビッグキーワードを停止したところ、CPAに一定の効果がみられたものの、サイト全体のアクセス数が減少し、コンバージョン数も減少する、という新たな問題が浮上しました。

そこで、コンバージョンにつながらなくても認知拡大に貢献しているキーワードがあるのではないか?と仮説をたて、アクセス解析ツールを使って検証したところ、直接効果よりも間接効果のほうが多いキーワードを発見、再出稿を開始しました。現在のところ、流入数やCPAなど全体に改善されているという傾向が出ています。しかしながら、季節要因やその他いろいろな要因が影響するので、すべての改善要因が、間接効果のあったキーワードの再出稿にあるとは断定はできず、本当の価値を見るためには、長期的にモニタリングする必要があるともおっしゃっていました。

その後は、ご紹介頂いた事例を基に、山口さんと弊社代表 泉がディスカッションを行い、断片的にデータを見るのではなく、データと少し距離を置き、全体を俯瞰して見ていくことの重要性を語りました。

最後に、泉より8月にサンフランシスコで開催されたSESカンファレンス の様子やQRコード、Twitter、Facebookを利用した最新のマーケティング手法をご紹介させて頂きました。中でも、今後日本でも普及すると予想される、オンラインで施策を行い店頭購入に誘導する(オフラインでコンバージョンが発生する)、「ON2OFF」キャンペーンや、来年日本に来るだろうといわれているGoogleが提供する新しい広告管理ツールなど、ご紹介しました。

カンファレンスを通していわれていたことは、やはり、データの一部ではなく全体を見よう、ということ、データを統合してみることの重要性を再確認して、2回目のワークショップを終了しました

尚、ルグランでは、今後もこのようなワークショップを定期的に開催していく予定です。開催の時期については、弊社ブログやニュースレター、あるいはフェイスブックページ などでご連絡をさせて頂きます。

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2011.9.21

FacebookやTwitterの台頭により、今や企業のマーケティング戦略はWeb・ソーシャルメディアといったデジタルマーケティングなくして語ることはできません。「スピード」が成功の鍵となるこの領域では、的確に自社に適したメディア・手段を把握し、施策を打てるかどうかで集客や売上の効果は異なります。一方で、巷にあふれる膨大な情報から最適なメディア・手段を取捨選択することは容易ではありません。

そこでルグランでは、Digital Marketing Collegeを開講。毎回、マーケティング業界で活躍中の方をゲスト講師としてお迎えし、「海外を含む業界の最新動向」をはじめ、「具体的な成功事例・失敗事例」等、デジタルマーケティングを実践するために役立つ生の情報を提供していきます。

前回 は『教えて!カンヌ国際広告祭』の著者である佐藤達郎氏をお迎えし、カンヌの最新情報を交えながら、「ソーシャルメディア時代に求められる広告 」というテーマで、講義・ディスカッションを行いました。

そして、10月5日(水)に開講する第二回目は、アスキー・Web Professional編集長である中野克平氏をゲスト講師に迎え、「デジタルマーケティングの効果を最大化するWebライティング~ストーリーを作ろう~ 」というテーマで、ライティングスキルの重要性についてディスカッションを行います。

開講に先立ち、中野氏と弊社代表 泉との間で行われた対談の模様をお伝えしながら、デジタルマーケティングにおいて、ライティングがなぜ重要なのかについて考えてみます。

中野克平氏と泉浩人が語る「アリストテレスに学ぶWEBライティング」

泉浩人(以下、泉):中野さんは、元々は新聞社のご出身なんですね。

中野克平氏(以下、中野):はい。地方に住んでいた友人に新聞社の支局に応募書類をもらってきてくれないか頼まれて、ついで自分の分をもらった私の方が受かってしまいました。(笑)

:新聞社では記者として事件を追いかけたり?

中野:いや、記者を志望すると、色々なところに転勤させられるのがイヤだったので、新聞社といいながら出版部門の採用枠に応募したんです。

:そうでしたか。ということは、新聞社時代から今日まで、一貫して、出版に関する仕事に携わっていらっしゃるわけですね。

中野:ただ、新聞社の中にある出版部門ということで、「新聞社的なノウハウ」を叩きこまれたという点では、ちょっと変わっているのかもしれません。中野克平氏

:といいますと?

中野:たとえば、書籍や雑誌の「タイトル」と新聞の「見出し」の考え方の違いなどは、人々の興味・関心を惹く記事やコンテンツを書く上で、今でも役に立っていると思います。

:面白いですね。

中野「見出し」は英語では「ヘッドライン(=直訳すると「頭の一行」)」と言われますが、これって、大衆を煽るために、新聞記事の1行目がだんだん大きくなって独立したものから来ているんですよ。それに対して、「タイトル」というのは、書籍や雑誌など「商品名」を表したもので、人々の注意を惹くには「見出し」の使い方が重要になる訳です。

:なるほど。今日、ウェブ上には、膨大な数の情報が流通しているので、その中から、いかに自分のサイトや記事・コンテンツに注意を向けてもらうかが非常に重要になっています。そういう意味では、WEB上でのライティングにも応用できることは多そうですね。

中野:そう思います。

泉 浩人:8月にサンフランシスコで開催されたSESというデジタルマーケティングに関するカンファレンスでも、ライティングの重要性は、多くのセッションで強調されていました。

中野:それは興味・関心を惹くためのライティング手法みたいな話ですか?

:はい。ただ、商品やサービスあるいはターゲットユーザーによって、興味・関心を惹くポイントは違いますから、こう書けばうまくいく、いうような「具体例」が語られている訳ではないんです。

中野:なるほど。

:これは海外のカンファレンスに多く見られる傾向なのですが、参加者の多くは、個別の企業や商品に関する成功事例だと、普遍性がないので、あまり興味を持ちません。日本だと、具体的な社名を出した事例の方が喜ばれることが多いので、正反対ですね。

中野:確かに、事例ネタの人気は高いですよね。

:なので、ライティングについても、たとえば、マッチョになりたい男性の興味・関心を惹く「決めゼリフ」が何だったのか、という話はどうでもよくて、その「決めゼリフ」を見つけるために行ったテストや検証の方法についての考え方やロジックを持ち帰ろう、という人が多いんです。

中野:ロジックは大事ですよね。実は、ライティングというと、とかく職人芸的な要素が注目されがちですが、実は基本的なロジックを身につけることで、誰でも、ある程度のところまでは面白いストーリーが書けるようになるんですよ。

:そういうロジックは、いつ頃から確立され始めたんでしょうか?

中野:2,400年前には確立してたと思いますよ。

:え、2,400年前ですか!?

中野:はい。みなさん歴史の教科書なんかで聞いたことあると思いますが、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが書いた『詩学』という本には、ウケるストーリーを書くためのロジックが書かれています。

:読んだことないです。。。(汗)

中野:普通の人は読まないですよ。(笑)たとえば、悲劇なら、正直で真面目な人がヒドイ目に遭った方が涙を誘いやすい訳です。

:その方がギャップが大きいから?

中野:そういうことです。起承転結って言いますけど、要はこの「転」の部分をどう作れるかで、ストーリーとしての面白さが決まる訳ですよ。

:なるほど。第1回のデジタルマーケティングカレッジに登壇頂いた佐藤達郎さんも、ソーシャルメディア時代には、オフライン広告にも「伝播性」というクリエイティビティが求められるというお話をされていたんです。

中野:はい。

:そこで大事になのは「何これ?」と思わせる「クリエイティブジャンプ」なんだというお話があって、中野さんがおっしゃる「転」も、実は同じことを指しているんじゃないかと思いました。

中野:「イチゴ大福」などは「転」がうまく作用した成功例だと思いますよ。

:確かに、イチゴとアンコって、一歩間違うと、アブナイ組合せですよね。(笑)

中野:でも恐る恐る食べてみたら、これが予想以上に美味かった。そのギャップがイチゴ大福を、一気に和菓子の定番にまで押し上げたんだと思うんですよ。

:なるほど。10/5(水)のセミナー当日は、他にも色々と面白いお話がうかがえそうですね。

中野:はい。まだ内緒ですが、19時開始ということもあるので、「オトナ限定」ネタでいこうかな、なんて思ってます。

:私も聴衆の一人として、今から楽しみです。よろしくお願いします。

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