2008.5.22

マイクロソフトは、同社が提供するLive Searchエンジンを使って商品を検索・購入したユーザーに対して、購入金額の2〜30%相当額を還元する「Live Search cashback」というプログラムについて、昨日、正式発表を行いました。

cashback

検索ユーザーは「Live Search cashback」のページから検索を行うか、あるいはLive Searchの検索結果の横に表示されるアイコンをクリックすると、キャッシュバック対象商品を検索することができ、そこから商品を購入した場合に、キャッシュバックを受取ることができます。

なお、キャッシュバックを受取るためには、予め、本プログラムへの参加登録を行い、キャッシュバックの受取方法などを設定しておくことが必要となります。また、返品によるキャッシュバックの「過払い」を防ぐため、支払が行われるのは購入から60日目以降、5ドル以上の残高がある場合といった制約事項もあります。

既にオンライン書店のバーンズ&ノーブルやオフィスデポなどが、キャッシュバック対象商品の「出品者」として、このプログラムへの参加を決めており、これら出品者には、実際に購買が実現した場合にのみ費用が発生する「成果報酬型」課金が適用されます。

先日、米国で発表されたNielsen Online社の調査によれば、米国の検索市場においてGoogleは史上最高となる62%のシェアを獲得する一方、MSN/Live Searchは、検索数こそ前年比で30%の増加と健闘はしているものの、市場シェアは9.7%に留まっています。Yahoo!への買収提案も実を結ばず、ついに、カネにモノを言わせて検索を買う、という最終手段に出たという見方もできそうです。

確かに、キャッシュバックが欲しいユーザーは、Live Searchを利用するかもしれませんが、購入前に必要となる商品や価格情報の収集には、普段から使い慣れたGoogleやYahoo!を使うといったことも充分予想されますので、果たして、このプログラムが、検索ユーザーの行動や検索エンジン間のシェアにどの程度のインパクトを与えるかは不透明と言わざるを得ません。むしろ、このサービスは、商品の比較サイトやアフィリエイト事業者にとって、広告主やユーザーの獲得競争が激化するという点で、大きな脅威になるのかもしれません。

日本においても、同様のサービスを提供するのかどうかも含め、今後の動向を見守りたいと思います。


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2008.5.01

嘘のような本当のお話です。

これはアメリカのフロリダにあるオリオン銀行(Orion Bank)という銀行が、オリオン住宅金融(Orion Residential Finance)という会社を相手に、「オリオン銀行」という商標を巡って起こした裁判で下された判決です。

この中で、裁判所は、オリオン住宅金融に対して、「オリオン」という名称を広告などに使用することを禁ずると共に、検索連動型広告を利用する際には「オリオン」という言葉を対象外(除外)キーワードに登録することを命じています。原文(英語)の記事はこちら

ここまで読んでピンとこない方は、検索連動型広告の管理・運用担当者としては、ちょっと勉強不足かもしれません。(笑)

そんな方のために解説しますが、もしオリオン住宅金融が、「住宅ローン」というキーワードを部分一致で入札している場合、検索ユーザーが「オリオン 住宅ローン」と検索すると、オリオン住宅金融の広告も表示されてしまいますよね?そこで、裁判所はこれを禁ずるための手段として、オリオン住宅金融に対して、検索連動型広告を利用する際には「オリオン」という言葉を対象外(除外)キーワードとして登録するよう命じたという訳です。

この判決は、オリオン銀行とオリオン住宅金融とのケースにのみ適用されるものではありますが、もし今後、広告主は、他社の登録商標に入札しないだけでは済まされず、それらを対象外(除外)キーワードにも登録しておかないと訴えられる可能性もある、ということになれば、広告の管理は非常に煩雑なものになり、検索連動型広告の利用自体を阻害する可能性もあります。

また、オーバーチュアやグーグルなど、検索エンジン側では、収益の拡大を目的に、部分一致の適用範囲を積極的に拡大し、検索キーワードと広告文やサイトのコンテンツに関連性があると認められれば、入札キーワードと必ずしもマッチングしていなくとも広告を表示するということも行っていますが、こうした戦略も見直しが迫られることになるかもしれません。

とはいえ、対象外(除外)キーワードが判決に登場してしまうことに、日米間の検索連動型広告に対するリテラシーについて彼我の差を感じてしまうのは私だけでしょうか。。。


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