2010.1.04

昨年末のエントリー【米国発】2010年のマーケティングは「原点回帰」がテーマでもご紹介した通り、2010年も、広告支出に関しては、多くの企業が、引き続き慎重な姿勢を崩そうとはしていません。このような中、米国では、広告支出に関しても、企業のマーケティング部門に代わって、購買部門が積極的に関与するケースが増えているようです。

実際、昨年、話題になったダノンやフォルクスワーゲン、UPSといった大手企業における広告代理店との取引関係の見直しには、購買部門の意向が強く働いたと言われています。また、Advertising Age誌によれば、2008年から2009年にかけて、代理店の平均マージンは12.2%から10.5%まで縮小したという調査結果もあり、これも、企業の購買部門が、積極的に取引関係の見直しに乗り出した「成果」と考えられています。

企業の購買担当者にとっては、常に複数の業者を競わせることで、最も良い取引条件を引き出すことが最大の「使命」ですから、中には、物品の購入と全く同じRFP(=Request for Proposal:見積依頼書)を使って広告代理店の選定を行うところもあるようです。また、購買部門で働く人の多くはマーケティングの経験がほとんどないため、個々の代理店が、どのようにして、自社のブランド価値を高めてくれるか、といった点については、代理店の選定にあたって、なかなか考慮の対象とはなりにくい、という問題もあるようです。

こうした動きに対して、代理店サイドからは、行き過ぎた価格偏重は、中長期的な視点で考えれば、必ずしも企業側の利益にはならないといった声も上がっています。

ただ、ある意味、これは非常にアメリカ的な動きとも言えると思います。すなわち、景気の低迷が続く中、特にCEOやCFOの立場からすると、四半期毎の決算で、業績不振に不満を募らせる株主を納得させるためには、「コスト削減」に真剣に取り組んでいるという姿勢を見せる方が「得策」という計算があり、広告支出についても、例外を設けず、購買部門にメスを入れさせることが、短期的に広告費を縮減するには有効であり、かつ、株主に対するメッセージ効果も高いという判断が多分にあると思われます。

従って、こうした動きだけを見て、多くの米企業が、目先の利益ばかりを見て、「マーケティング」活動が企業にもたらすであろう、中長期的、あるいは間接的なリターンの価値を全否定してしまった、と結論づけるのは短絡的に過ぎるでしょう。ただし、以前、本ブログの【ノウハウ】SEMの外注先を選ぶ時に大切なことって何ですか?(Part 1) というエントリーでも書いた通り、欧米では、以前から、広告代理店の選定や交渉にCFOを始めとする財務部門が関与すること自体は珍しくありません。

先般、日本で行われた事業仕分けを例に出すまでもなく、たとえ、それが中長期的、あるいは間接的なものであったとしても、予算を申請する側が、何らかの「ロジック」を用いて、その「効果」を正当化できない限り、そのような広告支出は認められないという点は、企業価値や株主の利益を重視する米企業においては、今も、そしてこれからも変わることはないでしょう。

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2010.1.02

元旦にアップした『一年の計は元旦にあり』というエントリーの中で、このお正月休みは、今年のSEM運用にあたっての目標設定や運用方針を考えてみる良い機会であると書きました。私自身も、箱根駅伝を横目でみながら、SEMに関する海外のサイトやブログを読んでいたところ、参考になる記事を見つけましたので、その内容を簡単にご紹介しながら、みなさんと一緒に、改めてSEMで効果を上げるための基本動作について、おさらいをしてみたいと思います。

1. 全てはキーワード選びからはじまる

キーワード探しのコツは、「自社の商品やサービスを必要としている検索ユーザーなら、どういうキーワードで探すだろうか?」という観点に立って、幅広く、可能性のあるキーワードを探してみることが大切です。SEM関連サイトやMLなどを見ていると、「ビッグキーワードだけで充分」とか、反対に「効果を上げるためには20万ワード以上は必要」といった、『都市伝説』とも言うべき諸説が流布しているようですが、本ブログ読者のみなさんは、こうした俗説に惑わされることなく、検索ユーザーの視点に立った「キーワードマイニング(=発掘)」に努めてください。

2. 常に複数の広告文を掲載して効果を比較・検証する

自社でSEMの管理・運用をしている場合、ともすると広告文の内容も「業界の常識」にとらわれて、画一的な表現になってしまうことがあります。ですが、みなさんの広告を目にする人の多くは、業界とは無縁の「シロウト」であり、彼らは、みなさんが思いもよらない意外なポイントに反応して広告をクリックしてくる可能性もあります。従って、キーワードの発掘同様、予断を持たず、さまざまな表現や訴求ポイントを含んだ広告文を試してみることで、「機会損失」の可能性を最小限に抑えることができます。

3. 明確な目標を設定する

元旦のエントリーにも書きましたが、SEMを実施する目的は、企業やショップによって様々でしょう。ただ、より多くのトラフィックも欲しいが、受注も獲得したいし、その場合の獲得コストはできるだけ小さくしたい、といった風に、あまりに多くのことを一度に望むと、結局、キーワードの選定や広告文の作成をする際に、どっちつかずに終わってしまう可能性が高くなります。時間の経過や企業・ショップの成長ステージによって目標の優先順位が変わること自体は全く問題ありませんが、その時々においては、できるだけ具体的かつ明確な目標を設定し、それに対して最適化策を実施していくことが、成功への近道となります。

4. 仮設検証のサイクルを回し続ける

コンバージョン数や獲得コストなどについて、期待するような数値が達成できたとしても、残念ながら、その状態が永遠続くことはまずありません。競合企業が値下げをしたことで、自社の商品が売れにくくなったり、あるいは、これまでSEMを実施してこなかった競合相手が、みなさんの成功をどこかで聞きつけて、同じようなキーワードに入札した結果、クリック単価が上昇してしまう、といったことは日常茶飯事です。また、季節や気候の変化によっても検索ユーザーの気分や動向は変わりますので、SEMの担当者には、常にこうした変化に対応しながら、キーワードや広告文、あるいはリンク先ページの見直しを行い続けることが求められます。

5. 情報収集は貪欲に

少し検索をしてみるだけで、SEMやネットマーケティングに関する最新情報やノウハウを提供しているサイトやブログは無数に見つけることができるでしょう。また、この分野では、日本よりもSEMの歴史の長い、アメリカやイギリスの方が一歩進んでいますので、情報収集の対象を英語圏まで広げれば、更に多くの有益な情報を手にすることができるでしょう。前述のような『都市伝説』に惑わされないためにも、できるだけ幅広い情報源から、多くの情報に触れるよう心がけて下さい。

本ブログにおいては、2010年も、SEMやネットマーケティングに関する最新情報を発信して参ります。また、Twitterを利用している方々は、ぜひ、こちらのアカウントもフォローしてみてください。

http://twitter.com/rod_izumi

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