2007.8.08

ご存知の方も多いと思いますが、検索連動型広告やコンテンツ連動型広告は、別名「PPC広告」とか「P4P広告」などと呼ばれています。

「PPC」「P4P」はそれぞれ、”Pay per Click”、”Pay for(=4) Performance”の頭文字を取ったもので、両方とも意味するところは「クリックされた時に初めて料金が発生する」広告ということになります。

従来のオフライン広告や(クリック保証のない)バナー広告では、本当に広告が視聴されたどうかに関係なく、「掲載された」ということに対してコストが発生します。このため、多くの広告主にとっては「PPC」広告の方が、より安心感が高く、それが市場の急速な拡大を後押しした要因ともなっています。

しかし、発生したクリックには、購買や申込につながる可能性が全くないクリックも含まれているとしたらどうでしょうか?

7/20に米国のClick Fraud Network(直訳すると「不正クリック対策ネットワーク」という感じでしょうか)が発表したレポートに、少し気になる数字が出ていましたのでご紹介します。

同ネットワークの調査結果によると、PPC広告全体で発生したクリックの内、誰かが特別な目的や意図をもってわざと発生させたクリック(以下「不正クリック」と呼びます)の比率は15.8%にも達しているそうです。更に、個人のブログなどに広く配信されるコンテンツ連動型広告だけを見ると、不正クリックの比率は更に高く25.6%、つまり4回に1回は不正クリックという計算になります。

こうした不正クリックが発生する背景は、2つの大きな要因があります。まず、コンテンツ連動型広告の場合、クリック料金の一部が、広告の配信場所を提供しているブログのオーナーに配分されますので、そこに不正にクリックを発生させる「動機」が存在します。一方、検索連動型広告では、上位掲載を巡って争っているライバル企業の予算消化を早めるためにわざとクリックを発生させるといった「動機」も存在します。

言うまでもなく、こうした不正クリックの増加は、PPC広告に対する広告主の信認を根底から覆すおそれがありますので、オーバーチュアやグーグルでは、独自の監視システムを使って、不正と判断されたクリックについては、クリック料金から控除するといった対策を講じています。また、コンテンツ連動型広告についても、例えばグーグルでは、アドセンス広告による収益のみを目的とした、品質の低いサイトMFA (Made for AdSense)サイトはGoogleインデックスから削除する、といったことも行っているようです。

この調査結果は、主に米国の広告主を対象としたものですが、日本においても、中国のIPアドレスを経由した不正クリックの被害なども確認されており、決して「対岸の火事」ではありません。検索エンジンだけに対策を任せっきりにするのではなく、広告主自身も、普段から目を光らせておくことが必要です。

そのためには、日頃から広告の効果測定をきちんと行い、不自然なクリックの急増や、コンバージョン率の急低下などがあった場合には、オーバーチュアやグーグルなどに調査をお願いしてみるといったことも必要ですね。


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2007.7.20

オーバーチュアをご利用の方々は既にご存知の通り、「新スポンサードサーチ」移行の最終段階として、先週(7/12)から、新しい掲載順位の決定方式が導入されました。今後はクリック単価のみならず、クリック率を中心とした広告の「品質」も掲載順位の決定に大きな影響を与えるようになります。

新方式の導入が、みなさんのキャンペーンにどのような影響を与えるかを見極めるには、もう少し時間が必要と思われますが、今後の動きを予測するには、既に今年の2/5から新しい方式に移行している米国の状況が参考になると思われます。

本年4/6発行の弊社ニュースレターでは、新方式への移行後6週間で、クリック率が平均約10%上昇したという、米国の広告代理店AQuantive社のレポートをご紹介しましたが、今般、米国NYに本拠を置くSEM代理店reprisemedia社が先月公開した、より詳細なレポート”INSIDE YAHOO PANAMA”を入手しましたので、ご参考までにそのエッセンスをご紹介します。なお、更に詳細をお知りになりたい方は、同社のホームページから必要事項を入力すれば、レポート全文のPDF(英語)も無料で入手可能です。

本レポートでは、新方式導入直前の2007年1月と、導入後2ヶ月目にあたる3月との間で観測された変化を、同時期のグーグル(アドワーズ)、MSN(アドセンター)の数値とも比較しながら検証しています。

1. クリック単価は6.2%低減

同時期のグーグル、MSNのキャンペーンでは、クリック単価がそれぞれ2.8%、9.6%の上昇を示していることから、新方式下のヤフーにおいては、クリック率を高めるよう、キャンペーンや広告グループの設定を適正に行うことでクリック単価の低減が図られることが実証されたと結論づけています。

2. クリック率は32%改善しグーグルとほぼ同水準に

グーグルでは既に提供されていた広告配信地域の指定やキーワードの自動挿入機能などが新スポンサードサーチでも利用可能となったことが、クリック率をグーグルと同程度の水準まで大幅に改善させる大きな要因となったと見られています。

3. 最適化ノウハウの有無が広告効果に影響

新スポンサードサーチで導入された「キャンペーン」や「広告グループ」などの新たなアカウント構成に即したリスティングの再編や、タイトル&説明文の作成ノウハウの有無によって、特にクリック単価の削減効果にはバラつきも出ており、特に大手企業や代理店が管理するキャンペーンと、一般的にはこうしたノウハウに乏しいと考えられる中堅・中小広告主を比較すると,後者では逆にクリック単価が5.7%も上昇してしまったという結果が出ています。

これらの結果を総合すると、新スポンサードサーチによって提供された様々な機能は、特にクリック単価の低減によって、多くの広告主に広告効果の改善をもたらすと考えられる反面、これらのメリットを充分に享受するためには、新方式に即した最適化ノウハウをしっかりと身につけておくことが不可欠であると言えそうです。


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